講演会シリーズ「世界の書棚から」第14回「オランダの絵本と読書文化」に行ってきました (2023.4.22)@板橋区立中央図書館
4月は 3月の韓国に引き続き 新年度からは土曜午後の開催となり トップはオランダです:
オランダといえば ミッフィーのディック・ブルーナや レオ・レオニが有名ですね
児童書週間/子どものブックウィーク(Kinder Boekenweek)が毎年10月に行われており 金・銀の筆(イラストに対して)&石筆(テキストに対して)という賞も授与されます 金はオランダの作家のみで 銀は翻訳も対象とのこと 小さな国なので翻訳物が多いそうです
ブックウィークのおくりものとして 一定額以上本を買うと絵本等をプレゼントしてくれたり 初日のブックボール(Kinder Boekenbal)で子供たちがダンスを踊ったり 小学校などにブックウィークのおくりものという20タイトルのパックが無料で配布され 使い方の載った指導書もついているそうです
オランダの絵本いろいろ
オランダではブルーナより読まれているのが アニー・M.G.シュミット(作家)と フィープ・ヴェステンドルプ(イラストレーター)です 自立した子どもがテーマの作品が多いですね
『イップとヤネケ』 『猫のミヌース』 『ペテフレット荘のプルック』『オッチェ ~コックのパパとホテルを作る~』等が出ています
次のテーマは「自分らしさを大事にする」です:
ルース・リップハーゲンの『いっしょにいこう』は パパとコンサートに行く途中あれこれより道して...というお話
同『Coco kan het!』は オランダでは小鳥を親鳥が巣立ちさせるため木から落とすそうです
ピム・ラマースの『ぼく、ひつじじゃなくて ぶたなんだ』は 豚に似た子羊のお話で LGBTを意識したテーマです
イヴォンヌ・ヤハテンベルフの『だれがいちばん?がんばれ、ヘルマン!』は 黒ブタが主人公で 知らず知らずのうちにレースに巻き込まれるお話です 最後は黒いブタに対する偏見が取り去られるように作ったとのこと
同『Ik ben Pipi niet!』は 私はピッピじゃない!という意味のタイトルで 長靴下のピッピのイメージから脱却しようとしているヤギの主人公です
美術とデザインにふれる:
オランダでは 美術やデザインに幼い頃から触れられる土壌があります
『ジバンシィとオードリー —永遠の友だち』 『ココとリトル・ブラック・ドレス』『ねずみのマウリッツ』『おしえて、レンブラントさん』『ケープドリとモンドリアンドリ』『エーディトとエゴン・シーレ』等 オランダの有名人がぞくぞく...
そして 「ハーグ派(Leopold & Kunstmuseum Den Haag」:
『In de tuin van Monet 』『Puzemuze of op weg naar Rothko』『Nadir en Zenith in de wereld van Escher』『Cristobal Balenciaga de jongen die froomde van haute courture』『Holland op z'n mooist』『Meneer Kandinsky was een schilder』等々...日本での翻訳が待たれますね📖
女の子のロールモデル:
『ココとリトル・ブラック・ドレス』 ココ・シャネルの半生を追いながら...
『Ik ben Pipi niet!』は強い女の子が主人公です
『Aziatische sprookjes: verhalen uit China, Japan, Zuid-Korea en Vietnam』はアジアのおとぎ話です オランダでは昔から男勝りの女の子が主人公のお話がありました
『Mama is minister president』オランダではまだ女性の首相はいません
窓と鏡: オランダ文学基金からカタログが出ています 「窓」は他の生活を知る、「鏡」は自分を見つけるがテーマです
『Omdat ik je zo graag mag』は あなたを見るのがすきだから という意味で I love youの言い方です
『王さまと王さま』 LGBTがテーマです
『Waar is mijn noedelsoep』は ぼくのラーメンはどこ?という意味で 多民族の子の通う学校のお弁当にラーメン🍜を持ってきた男の子の話です
『Teckel Tom』は 犬とサラちゃんが主人公ですが サラにはパパが2人いるという設定がさりげないですね
『Hangoor』は たれ耳という意味で ディック・ブルーナのミッフィーの絵本です
『Op de rug van Bigi Kayman』は カイマンのせなかにのって という意味で スリナムの奴隷がワニに乗って逃げるストーリーです
『De schoen van tien milijoen』は貧困がテーマ
『Uit elkaar』は別れがテーマで 離婚した両親のその後の展開に悩む子どもが主人公です
『Misjka』は アフガンからの難民がオランダの難民センターを出て家を買い ペットのウサギを飼って そのウサギが逃げる姿に自分をイメージさせて...
最後に 講師の先生のおすすめ:
『おばあさんとトラ』寒い国でトラのもようがうすくなり インドに行き...『猫のミヌース』は世界的に有名なA.M.G.シュミットの書いたお話です
『Zeb』はしまうまの意味で しまうまがアリアンナという女の子になって学校に行き...
そして オランダの児童書を扱う有名な本屋さんをご紹介いただきました:
Kinderboekenwinkel Amsterdam
Boekhandel Dominicanen Maastricht 大聖堂の本屋さんで 本屋さんとは思えない荘厳な建物です
Boekhandel Scheltema Amsterdam くつろげるソファーや キッチンもあります
ちなみにオランダ語ってドイツ語によぉ~く似ているので 親近感湧きますね😊
次回は 台湾です
「世界の書棚から」は こちら