UCIグランフォンドワールドシリーズの公式予選大会となった2016年の「ニセコクラシック 140km」に参加させていただきました。
第1回、第2回大会は、70kmコースに参加しましたが、北海道車連上位カテゴリーの選手達が140kmコースの暑さと登りに苦しみながらも達成感いっぱいでゴールする姿を羨ましく感じていました。
それでも「自分は完走できないな」と別世界のことのように感じており、140kmは自分にとって現実的ではない夢のレースでした。
今シーズンは北海道車連のS2クラスに昇格したため140kmに参加する資格を得まして、このレースを完走する事を今シーズンの最大の目標にトレーニングを続けてきました。
昨年のシーズンは冬の間にじっくりとLSDに取り組みましたが、高い出力でのトレーニング不足だったのか、道新杯では完走で精いっぱい、得意のTTですら結果を出せない状態でした。
その反省を活かして、SST強度でのトレーニング時間を増やし、シーズンが進むにつれて強度を上げてゆき、ニセコクラシックにピークを持ってこれるようにスケジュールをたてました。
そのため、道新杯ではラップアウトとなってしまいましたが、それ以降、毎朝20分だけですがSST強度でローラーを回し、夜にマイクロバーストなどVO2Max以上のインターバルを実施し、週末にはできるだけ距離を乗り、チームの練習会にも積極的に参加するようにしました。
そのおかげで、手稲山で2年ぶりに自己ベストを更新する事ができ、コンディションが上向いている事を感じられました。
コンディションが上向きと言っても、毎日のローラーや練習会で楽に走れるわけではなく、常にいつもの脚の重さやだるさを感じながら、それでも「継続は力なり」と言い聞かせてトレーニングを続けました。
自己流なので正しいのかどうかわかりませんが、5月以降にポジションも大きく変更しました。
ペダルに力を伝えやすくなるようにシューズの中敷きをオーダーメイドで作ったり、サドルをcm単位で上げ、ハンドルも下げ、クリート位置も何度も見直しました。
ペダリングの意識も母指球から踵に変更し、脚腰の裏側を意識するようにしました。
手ごたえを感じたのは、ニセコクラシック本番1週間前のコース試走でした。
時間が合わず単独で走ることになり、相当の疲労を覚悟していたのですが、気温が低かったせいもあるかもしれませんが、登りでタレることもなく、70kmコースで地獄のように苦しんだ登り区間もさして苦しむことなく「あれ?もう終わり?」と感じたくらいで、翌日以降も疲労を感じる事がありませんでした。
もしかしたら、コンディションがかなりよい状態になってきているのではないかと、喜んだ反面、本番前に興奮して疲労を自覚していないだけで、実際は疲労が蓄積していてガクンとコンディションが落ち込んでしまうのではないかという不安もありました。
レース前の食事も「おはぎ」一辺倒から「赤飯」に換えて、血糖値が急激に上がるのを防止したり、レース前日は自転車に乗らなかったのを、前日に心拍を一定レベルまで上げるために自転車に乗ってみたり、補給ジェルを自作にして塩分をはじめとするミネラルやクエン酸などを加えて足攣り対策をしてみたり、タイヤにはシーラントを入れてパンク対策をしたり、ほんの少しずつですが変えられるところは変えて本番に臨みました。
前日受付なのでニセコに宿泊することになりました。
ライダーズミーティングでは、日本語でしゃべる内容と英語で通訳される内容に差があって、危険個所の説明では英語の方を聞いていた方が情報量が多いこともありましたが、日本人以外の選手達も多く参加されていて、国際大会らしい雰囲気で盛り上がりを感じました。
枕が変わると寝付けない自分にとっては、前泊は好ましくありませんでしたが、札幌~ニセコ間を2往復するのも無駄なような気がして・・・。
心拍計のベルト部分を忘れてしまったのですが、宿の奥様にゴム紐をいただいてしのぐことができました。感謝です。
木造のペンション素泊まりだったので、お子様が飛び跳ねる音もしゃべる声も気になって、ベッドに入ってから1時間半ほど寝付けませんでしたが、起床時には寝不足を感じることはありませんでした。
スタート前に50歳以上の選手達の並ぶ位置について混乱があったようですが、結局、自分は最後尾からのスタートでした。
最後尾からうねるように進んでゆく大集団の選手達を見ていると、ものすごく貴重な景色を見ているのではないかという気になって、隣の選手と「すごい景色ですよね!」と盛り上がりました。
徐々に位置を上げてゆくつもりでしたが、リアルスタートがきられても、300名以上の選手達がひしめき合う状態では、なかなか前に上がることはできず、花園への登りではやむをえず右側車線を使って少しずつ前に上がってゆきました。
既にこの段階で、自分的には脚がキツかったのですが、ここで遅れたら足切りにひっかかってしまうという恐怖心から、脚が攣らない程度にできるだけ頑張って登ることにしました。
ニセコヒルクライムのコースに出てからは、自分のいる位置あたりでは少しずつ選手がバラけ始めていましたので、ここがチャンスとばかりに位置を上げて、下りで大人数に埋もれないように位置取りを変えました。
ここでサングラスが曇って前が見にくくなったので、外して背中のポケットに入れようとしたときにフレームが外れてしまい、サングラスを装着する事が出来ない状態になってしまいました。停車して直す事も出来たのですが、停車する事=集団から遅れることなので、そのままポケットに入れて走り続けました。このことが後に悲劇を生むことになろうとは。
604号線まで降りたところで、K野さんがいる集団に追いつき、登りも下りもペースが合っていたのでそのままご一緒させていただくことにしました。
老古美駐車場までの間に、E本さん等の集団にも追いつき「完走ギリギリだよ!」とはっぱをかけてスピードアップを促しました。
パノラマラインでも同じ集団内で走りました。
パノラマラインでときどき現れる平坦気味の区間や山を降りてからの平坦区間で補給をとっているタイミングでK野さんの強烈な牽きによる中切れを起こしそうになることが数回あって、「ここで遅れたら完走できない!」と全力でダッシュして追いつくことが何度もありました。
補給のタイミングは一旦前に上がってからの方が良いという事を学びました。
S4だったら後ろに下がって補給してからでも余裕で追いつけたのですが、S2やエリートともなるとそうはいきませんでした。
パノラマラインの登りでは、楽ではなかったものの、ドリンクや補給を積極的に取っていたことがよかったのか、攣りやエネルギー切れの兆候は感じず、そのまま下りまでなんとかなりそうな体調で登り続ける事ができました。
きっと、大雨のため暑さによる消耗がほとんどなかったので、体力の低下が抑えられたのだと思っています。
霧のため神仙沼駐車場がどこだったのかわからないまま平坦区間に突入し、いつのまにか下りに入り始めました。下りではK野さんが先行し、見える範囲で遅れないように、叩きつける雨の中「痛い、痛い」と言いながら日の出分岐まで下り、さらに吉国に向かって集団が縦に伸びながら下ってゆきました。
大雨のため眼にどんどん雨水が入ってきますし、前走者の車輪が跳ね上げる泥水も顔にかかってきますので、サングラスが無い状態では眼を開けているのがやっとの状態で速度を上げられずにイライラしていました。
雨が当たって「痛い」という体験は、このときが初めてでした。
サングラスの無い状態で雨でコンタクトレンズが流れなくてよかったと思います。
この段階でパノラマを一緒に登った集団は、かなりバラバラになっていたようで、知り合いも何名か見えなくなっていました。
下りきってからは、いよいよ初体験の「補給」でした。
さすがに集団はバラけていましたし、補給所を前にスピードが緩んだため、あまり苦労もせずに目的のドリンクをゲットする事ができました。
捨てたボトルは最初から捨てるつもりで安い物を買っておいたので未練はありませんが、あの捨てられたボトル達はどこに行ってしまうんでしょうね?
ドリンクをケージに収納するのに手間取っている間に前の選手達と少し離れてしまい、肝を冷やしましたが、全力ダッシュで集団に復帰することができました。
この集団で豊国の登り口までスピードを上げて・・・と思っていたのですが、この集団は前を牽かない選手がたくさんいて、その選手達が前に出た時にスピードがサイクリングペースにまで落ちてしまい、道内選手達が積極的に前に出てスピードアップを促すのですが、道内選手達が後ろに下がったらとたんにペースが落ちる事の繰り返しで、時間を大きくロスしてしまいました。
ここで頑張って牽き続ければよかったのかもしれませんが、そうすれば日の出までの登りに苦労する事が見えていたので、ぐっとこらえて自重しました。
川沿いをゆるゆると進み、日の出への登りが始まりました。
70kmコースに出場した時は、ここでダメージを受けてヘロヘロになっていたのですが、気温が低い事もあって、今年はまったくタレる気がしません。
自分としては速いペースで新見分岐を右折して日の出まで登り切りました。
ここでチームニセコのT淵さんに追いつかれたのですが、この選手をエリートの選手だと思いこんでおり、競るべき相手ではないと勘違いしていました。T淵さんより前にゴールすればS2で10位以内だったので、ちょっぴり悔しさもあります。
残り2つの登りに備えて脚を休めながら下り、第2補給所を通過しました。
ここで白の水ボトルをもらおうと思っていたのですが、係の人達が持っているのはすべて黒ボトル・・・白が見えた時は時すでに遅し・・・限定ボトルをセットでゲットできませんでした。
ここからの登りは真っ直ぐ坂道が見えて気持ちが負けてしまう区間です。
登り切ったと思っても、もう一段登りがあり、そこで毎年脚を攣らせてしまってペースダウンしていたのですが、今年は攣りもせずチームニセコの選手について登りをクリアできました。
黄色い橋の下をくぐって最後の登りに入り、急勾配に心が折れかけますが、最後の関門をクリアすることだけを考えてペダルを踏み続けました。
最後の関門を通過した時点で、もう周りの選手達と競るのはやめましたが、後ろに追いつかれるのも悔しいので少しペースアップをしましたが、基本的にサイクリングモードで走りました。
T淵さんが先行しているのが見えましたが、「エリートの選手だから」と見送って、道内選手3人で並んでゴールゲートをくぐりました。
ゴール後にT光さんが声をかけてくださり、完走した実感がわいてきました。
着替えてから無料のマッサージで腰のケアをしてもらって、総合リザルトを確認してからお土産(ミルク工房でシュークリーム、湧水の里で豆腐)を買って札幌に戻りました。
心残りが一つ。
去年のニセコクラシックとツールド北海道でほぼ同じ位置でゴールした神奈川のN山さん夫妻にお会いする事が出来なかった事。
ニセコクラシック140km
4:43:34
男子140kmオープン 167位
50歳以上カテゴリ 9位
北海道車連S2 11位
大会関係者の皆さん、お疲れ様でした。
一緒に練習してくれた皆さん、ありがとうございました。
アドバイスを下さったチームメイトの皆さん、ありがとうございました。
写真をとってくださったノンタナさん、ありがとうございました。
来年も元気だったら出場したいと思います。
僕はそれほど寒さは感じませんでした。
雨は痛かったですが。笑
涼しかったので、脚も攣らず、走りやすかったですね。
来年は参加してみませんか?
下りではガクガクと震えるほどだったとか…
その中で完走おめでとうございます
今年はTDHの開催が短くなったりしていますが、ニセコは力を入れていますねぇ
来年は参加してみたくなってきました
お疲れ様でした