下剋上のなか・・・

何の縁でか銀のステッキに入社し、
私のもとで「指導」を受けることになった
ウガンダ帰りの新入社員、Ｎ。

早いもので入社から１年あまりが過ぎました。

いつもは私にありとあらゆる注意を受け、
シュンとしていることも多い彼女。

何せ、添乗、電話応対、受付事務、営業活動、原稿作業…。
いずれにおいても突っ込みどころ満載ですから。

犬のしつけではないですが、
そのときその都度言わないと…という気負いがこちらにもあり、
自分でもうんざりしながら、いちいちの注意となります。

「添乗のアナウンスがヘタ」
「声が小さい」
「敬語がなっていない」
「事務が雑。私より雑ってどうなん？」
「文章に起承転結がない」
「で、オチは？　オチのない話を聞かせるつもり？」

いつもうなだれ、神妙に聞いています。
ちょっとかわいそう。


それにしてもいつから私、こんなに口うるさくなったんだっけ。

学生時代に所属していた体育会系クラブでは
注意のできない先輩で、同級生からは
「後輩に対して甘い。
　自分だけいいかっこして、ずるい」
と文句をいわれた時期もあったというのに。

きのうなどは
「個性が足りない。寂聴さんの個性を見ならうように」
と、我ながらどうかと思う無理難題まで言っておりました。

この後輩Ｎが、今日はみるからにイキイキ、堂々としていました。

そう、今日は毎月の旅サロン便りの発送日。
月に一度のＤＭ作業の日です。

この日ばかりは彼女が主役。
いつもとは立場逆転で、彼女の指示のもと、
私も作業のお手伝いをするのです。

毎度おどろかされるのですが、
彼女のＤＭ作業における段取りの良さ、的確な指示、
そして手さばきの速いことと言ったら！！

こっちは指サックのサイズがなかなか合わず、すぽっと外れたり、
そうかと思うと親指が紫色になったりでもたもたしているというのに
私のゆうに１．５倍速ぐらいのスピードで腕が動くのですね。

もし毎日がＤＭ作業だったら、完全に立場逆転です。

「手が遅い！」などと叱られながら
シュンとするのは私のほうなのでしょう。

よかった。
下剋上は月に１度で十分です。


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