海に行くか、桜を見るか

それは、台湾旅行で最南端の地を出発する朝でした
ホテルでＮＨＫチャンネルを見ていると

あの番組「プロフェッショナル仕事の流儀」が始まりました
ふ～んと、番組自体に興味がなかったので、それよりも
ホテル前のビーチを歩きにでも行こうと出ようとしたのですが
タイトルを見て急遽引き返しました

弘前公園の桜を守る、樹木医
「桜よ、永遠に咲け」

弘前公園の桜と聞いて、放ってはおけません！

でも…
ここは台湾、それも滅多に来られない最南端
ホテル前の青い海ときれいな砂浜
ここに来たなら絶対外せない写真スポット
人の少ない静かな朝にこそ歩きたい～

ホテル出発の10:00までは１時間余り
外に出て、海岸線を歩くべきか
部屋に残って、日本のテレビ番組を見るか

く～　どっちも捨てがたい

この機会を逃すと、もう来ないかもしれない台湾最南端
ミスミス日本の番組のために見過ごすか？

いや待て、日本一の弘前公園の桜の秘密を明かされる
毎年春の弘前に行って、見事な満開を見られたのは
ただの一度だけですが、その一度で私は弘前公園の桜に一目惚れ
それ以来、桜と言えば弘前公園　弘前公園と言えば桜
そう自負しています（部外者が勝手に！？）
こんな特番、むざむざ見過ごせる？！

う～
う～
葛藤とはこういう心の状態を言うのだ、と実感しました

とことん悩んだ挙げ句
もう、私にはテレビを消す勇気がなくなり
テレビの前にドシンと座り込みました

すみません
今だから言えますが、
５日間の台湾旅行の中で
この時唯一、台湾からすっかり気持ちが離れていました

弘前公園の桜が日本一と呼ばれる所以、分かりますか
美しさ？規模？樹齢？

もちろん、それも立派です
でも何より、どこの桜の名所より手入れが行き届いている
つまり、人の愛をいっぱいに受けて
一生懸命育てる人と、一生懸命生きる桜が
呼応しあっているその心が日本一なのです！

咲いていないサクラを見て、
あ～残念　そう思っていた自分が恥ずかしい
桜はまさに盛りの時に向かって
必死に花を咲かせようと努力している
或いは耐えている姿が何より美しいではないですか

先ほどの、つまらない私の心の葛藤など、
ちっぽけ過ぎて、どうでもよくなってきました

台湾で日本の桜を見て感傷にひたる…
不思議な時間でした

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