銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

永遠のゼロ

2013年05月25日 | Hの生きる喜び、それは
自慢じゃありませんが、本は滅多に読みません
本屋に行っても、立ち寄るのは
「旅行」のコーナーばかり
私にとっては、活字よりも地図を見ている方が、
夢がぐんっと広がるのです

けれども、今回はなぜかこの本の前を素通りできず
買ってしまいました
“日本中が号泣!”“200万部突破”
こんな、ありきたりのポップに惹かれただけでは
ないと思います

『永遠のゼロ』とは、一体何なのだろう
ゼロ、とは数字のゼロのことなのか、
「無」の意味なのか

読み始めて暫く、零戦パイロットにまつわる話であることが
分かってきました
太平洋戦争中、日本が世界に誇る名戦闘機として
その名を轟かせた海軍零式戦闘機
ゼロに乗って文字通り命を賭けて戦い
散華したカミカゼ特攻隊
その悲惨すぎる時代の話でした

聞いたことはありましたが、ゼロが何者か
恐らく、私の世代でピンとくる人はほとんどいないでしょう
ゼロ、と聞いて何かしらの想いを抱ける人も
どんどん減っていっているに違いありません

しかし、ほんの65年前です
過去というほど昔の話ではありません

ところが、その時代、人間の命は塵よりも軽く
扱われていたのです

物語は一人の若者が帝国海軍パイロットとして戦死した祖父、
宮部久蔵の人物像を解き明かしていくかたちで進みます
非常に優秀で、素晴らしい腕を持つ戦闘機乗りだった祖父

「何があっても生きて帰る
 それが妻との約束だからだ」

この言葉が当時、どれだけの意味を持った言葉か

日本国の為に、命を賭けて戦い、潔く散る
国民が必死(まさに“必ず死ぬ”)で闘っている時に
自らの死を恐れ、帰還するとは何と臆病者か!

そんな時代です
生きて帰る、なんて言葉は口が避けても言えないはずです

ところが、どんな戦いに出ても
攻撃することより逃げることを優先し
必ず戻ってくるのです
妻との約束を守るために

そんな男が、終戦間際、自ら特攻隊に志願し、
命を落とします
死を選んだのです

そこに隠された祖父の思いとは…

十死零生という、極限の肉体と精神状態の中で、
果たしてどれだけ生に対して執着できるでしょうか
生きるか死ぬかを選択できない状況なんて、想像できるでしょうか
それも自らの意志で死に突っ込んで行くのです
愛するもののために、生きるのか、死ぬのか

読み進めるのも、息苦しいほどの展開
でも、そこに書かれたのは紛れもない事実
私は、何も知りませんでした
数え切れない多くの犠牲のもと、生きているということ
決して、遠い過去の話ではないということに

最後は、金槌で頭をゴーンと叩かれたような衝撃で、
しばらく呆然としてしまいました

「零戦」とは、生き残る可能性「ゼロ」を暗示
しているのでしょうか
つまり、永遠の「ゼロ」の意味とは…

単なる、悲惨な戦争を伝えるためだけの話ではありません
ましてや、お涙頂戴、なんて軽々しいものではありません

生きるとは、死ぬとは、戦争とは、
そして人を真に愛するということは

自分がいかに豊かで幸せな時代に
生きさせてもらっているかを知ることができました

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