ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

帰って来ました~。伊豆へ!(その2)

2009-04-13 01:25:39 | 能楽

昨日は師家の別会で チビぬえが『望月』の子方の大役を無事に勤めさせて頂きました。稽古は万全のつもりでしたが、まあ ぬえの期待を裏切ることなく、また舞台上のとっさの判断を求められる場面もありましたが、それもソツなくこなしていたようで、ああ、安堵。だいぶコイツも頼もしくなってきたもんだ。。ところが子方の仕事が一段落したあと、舞台の上では別なトラブルも起こって。。ああ、やっぱり舞台というのは怖いものだと考えさせられましたけれども。。

さて日が変わって今日は伊豆の子どもたちのお稽古に行って来ました。

前回、今年の狩野川能に出演する子どもたちとの初顔合わせに行ったときは、東名高速の渋滞に悩まされて東京から伊豆まで なんと5時間掛かりました。うん、同じ轍は踏まない ぬえ。そこがプロってもんです。えっへん。昨日は帰宅が遅かったのですが、今日は渋滞を見越して朝6時30分に東京を出発! 起床してインターネットで渋滞情報を見たところ渋滞はないようでしたが、それでも念には念を入れて早朝に出発しました。それでこそプロってもんだ!

。。ところが、都内の一般道も東名高速も、それはそれはすいていまして。。あれよあれよと、2時間ちょっとで伊豆に着いてしまった。。渋滞には巻き込まれなかったものの、こ。。これはこれでムカつく。。(`´メ)

でも、ぬえには今日は稽古の前に絶対にしておかなければならない仕事がありました。それは市内最高峰の葛城山に上って(あ、いや、ロープウェイを利用して、ですが。。)、山頂に鎮座する「葛城神社」に詣でること。

もう昨年で9年目を迎えた狩野川薪能ですが、予算不足から昨年末に、とうとう翌年。。つまり今年からは実施不可能と意見が出て、そうしてとうとう狩野川薪能は廃止、と市の決定が下されてしまったのです。いつかはこの日が来るとは分かっていたものの、現実にその状況に直面すると。。つらいですね~。 もうあの子たちに会えなくなる。。

薪能の中止(=廃止)を、年末に伊豆に行った折りに申し渡された ぬえは、もう絶望状態で。。もう、ここに来るのも最後か。。と思いながら、ロープウェイに乗って、市内でもっとも見晴らしのよいこの葛城山に上がったのでした。山頂には葛城神社の小さな祠があって、ぬえはこの神様に、いつの日にか薪能が再興できるようお願いしたのでした。

ぬえはその後も殷々鬱々とした正月を過ごしましたが、ところが年が改まると薪能の突然実行委員会から 失望した ぬえに連絡が入りました。いわく、これまでに出してきた薪能の成果の灯火を、むざむざと諦めて捨て去ってしまうのは忍びがたい。。このような意見が改めて提出されたのだそうです。(@_@)

こうして伊豆の国市での能の催しはみごとに復活したのですが、いろいろな条件も出されまして、これからは舞台を野外に設営する薪能の形式は諦めて、市内のホールに会場を固定して上演する「狩野川能」として生まれ変わること。。など。これはこのまま中止になってしまうことを考えたら、決して無理な条件ではありませんで、ぬえは即刻 条件を承諾させていただきました。

それで今日。葛城山頂の神様に「願ほどき」に参拝してきたんです。これだけは心を尽くして御礼を申し上げないと。やっぱり神様っているのねえ。。特定の宗教に属しているわけではない ぬえですが、今回の事も含め、経験として「神様」の存在は強く感じていて、要するに「信心」だけは持っておりまして。今回も神様にお礼だけは申し上げなければイケナイです。

そんで、予測よりもずっと早く伊豆に到着した ぬえは、葛城神社にお礼を申し上げたのです。狩野川能参加の子どもたちの一部に呼び掛けて、なんだか楽しい参拝になりましたが~

ちなみにこのページの画像は葛城山頂から見たものです。絶景!