ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

サイモン&ガーファンクル

2009-07-11 01:35:45 | 能楽

。。のコンサートに行ってきました! こんなに人が集まるんだ~。。

もとはといえば三島在住のマイミクさんの日記によって来日を知ったのでした。もう彼らも67歳なんですね~。ひょんなことから今年デュオが再結成されたそうなのですが、当然一時的なものだろうし、なんといっても年齢的にも二人が揃った来日コンサートに次の機会はないでしょう。そんなわけで衝動的にチケットを買って、マイミクさん(とそのお友だち~初対面でしたが面白い方のうえに音楽事情にも器材にも精通しておられて、楽しい時間を過ごさせて頂きました~)と一緒にコンサートを見にいくことになりました。

感想は。素晴らしい。。のひと言に尽きました。もう1曲目が まさかの「オールド・フレンズ」から始まるとは。。そのまま「冬の散歩道」「アイ・アム・ア・ロック」。。そうして「アメリカ」。。「スカボロー・フェア」「ホームワード・バウンド」。。「コンドルは飛んでゆく」。。本物だ~ (・_・、) ポールサイモンのソロパートでは「時の流れに」。。再び二人で「マイ・リトル・タウン」「明日に架ける橋」。。もう涙腺がゆるんでしかたがありません。あまりに完成度の高い演奏で、アンコールで「サウンド・オブ・サイレンス」「ボクサー」が演奏されるまで、このヒット曲をまだ聞いていないことに気づかないほどでした。

衰えもあるかと思ったのですが(上記マイミクさんの友人から聞いたところでは YouTubeなどに投稿される最近のポールサイモンはあまり良くなかったので心配したそうで。。)、意外や声も2時間を歌い続ける体力も溌剌としたもので。いや、むしろポールサイモンのギターは若い頃よりさらに磨きが掛かったのではないかしらん。ぬえは双眼鏡を持っていったのですがこれは大正解で、あ~本物を見ました。ちょっとお顔の皺が増えたのが気になったけれど。。

ぬえ、じつは前回の二人の来日公演のときも「会場に行った」のです。当時 ぬえはまだ中学を卒業する頃で、会場は同じく東京ドーム。。ではなくて、それが建つ前の後楽園球場でした。お金がなくて、会場の外で音だけを聞いていた。。懐かしい思い出です。そういえば ぬえがギターを弾き始めたのも「スカボロー・フェア」を弾きたかったからだったなあ。。

。。という話を今日したところ、マイミクさんのご友人から「それは。。16年前の来日公演の。。その前の来日ですよ」と指摘されてしまいました。 ooO(゜ペ/)/ひゃ そうなんですか。。 なるほど16年前といえば ぬえは内弟子修行の真っ最中で。。まさかコンサートを見に行くなんて、そんな状況ではありませんでした。。その当時は二人が再び来日したことさえ知らなかった ぬえです。だって~コンサートだって10年ぶり。。?

そういえば先日の「ブルーマン」といい、このところ能とは違う世界のエンターテイナーの催しを見に行く機会が立て続けにあって、意味合いはいろいろ違うと思うけれど。。考えるところは大きい。今日も何百、何千回も演奏している曲だろうに、手抜きは一切ない演奏と、そして自然にあふれる二人の笑顔に、自分たちの進んできた道を信じて、そして愛していることを まざまざと感じることができました。能は600年間、同じ曲を演じ継いできたわけで、ちょっと形は違うのだけれど、曲に対する思いや愛というものがなければ それも受け継がれては来ないわけで。。

プロ意識。。と言ってしまうのには あまりに自然な形で全力投球をする二人の姿に、ある種の嫉妬を覚えた ぬえでもありました。目を吊り上げて最高の舞台を目指すのは。。まだまだ青いのかもしれないです。

彼らのあのようなセンシティブな感性と同じ時代に生きることができる ぬえは本当に幸福だと思います。はからずもこの日は ぬえの誕生日。最高の一日になりました。

ぬえ、明日は研能会で地謡。