ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

石巻・女川町を訪問して参りました(その18…敬老会への出演へ)

2012-08-01 00:54:55 | 能楽の心と癒しプロジェクト
女川町の町民野球場仮設を後にして石巻の宿所に帰る頃にはもう陽も傾きはじめて、朝には冠水して通行止めだった道路も開通していました。いろいろな思いを持った女川町での活動はこうして終わりました。

実際、女川町は深く ぬえの心に印象を残しました。飛び込みで活動をさせて頂いたにもかかわらず。。ぬえらの活動を快く許して頂いた関係者には厚く御礼を申し上げたく思います。また次回の訪問時にも、女川町はぜひ表敬訪問だけでもさせて頂きたいと思っています。

石巻に戻り、スーパー銭湯「元気の湯」で汗を流して、食材を買い込み、「ふれあいサロン」で金田さんと一緒に会食。金田さんはその後も深夜まで電話で打合せ。後で知った事ですが、金田さんは1年に渡る石巻に駐在しての活動に一応の区切りをつけ、今は本拠地は神戸に戻られたのですが、関西で活動報告会があったようで、こうして時には石巻に戻って(?)活動を続けながら、報告会の準備にも奔走しておられるのでした。相変わらず多忙な方。。それでもせっかくの機会ですから鼓を打って頂いたり、ちょっと能の世界にも触れて頂きました~。

そうそう、金田さんの石巻での活動について大阪で行われた講演会の映像が Youtubeにありました。
こちらはその講演の第2部ですが。。ぬえのこともちょこっとだけ話題に出してくださっています!(開始4’40くらいから)
Part2/4混迷の状況下における究極のリーダーシップ チーム神戸金田氏

。。被災地支援について、かなり鋭いお話もあります。ぜひ視聴して頂きたいと思います。

【6月21日(木)】

いつの間にやら眠り込んで翌朝。今回の活動の最終日です。

でも、この日の ぬえはリラックスモードでした。だってこの日は公演がたった一つで、しかもそれは ぬえらの主催公演ではなく、イベントへの出演だったのです。そのうえそのイベントは敬老会への出演で、ぬえらのほかにもフラダンスやらオカリナ演奏やら、幼稚園児のお歌の披露まであるそうです。なんだかごった煮のイベントのようですから、ぬえらもあんまりシビアに考えることなく臨んだ方がよさそう。

どうして ぬえらがこのイベントに出演することになったのかというと、これがなんと、前述の「チーム神戸」のリーダー・金田真須美さんからのオファーだったのです。今回の活動の期間をプロジェクトのメンバーほか能楽師とスケジュールの摺り合わせを終え、さてそれでは現地と活動の場を求めて交渉をはじめた、その矢先だったと思います。突然 ぬえの携帯に金田さんからお電話を頂きました。「ぬえさん、こういう話が来ているんやけどな。。そうそう、主催者が今目の前にいるの。こういう話なんやけどな。これは ぬえさんたちのプロジェクトが一番適任やと思うて。日取りはこうなんやけど、可能性はあるかなあ?」と。それがまた、ぬえたちのプロジェクトの活動期間とピッタリ一致しているではありませんか! 。。こういうのも何かのご縁かなあ。

伺った話はこういうものでした。毎年行われている敬老会があるが、去年は震災の影響で中止に。今年こそはその敬老会を復活させたい、ということで、それならばそれにふさわしい出し物を求めている。。こういう話が金田さんの元に持ち込まれ、それが ぬえにもたらされたわけです。その後、この話はチーム神戸からは離れて ぬえが主催者さんと独自に交渉して内容を詰めてゆきました。。が、その中で前述のようにいろいろな出し物が出され、能はその中のひとつの演目にしか過ぎない(失礼!)ということがわかってきて、あまり ぬえたちの活動が前面に出過ぎてもよくない、いうなれば主催者さんの考えるイベントの理想像に沿う形で、イベントのパーツとして演じることの方が重要な催しだったのです。

こんな感じで、責任が ぬえたち自身にはあまりない催しなのか、と思って、なんだか気が楽になりました。
。。実際に ぬえらの上演の位置づけはその通りだったのですが、ところがこの催し、驚くべきものだったのです。