「木村敬一」 金2-競泳 100mバタフライ(視覚障害S11)、競泳 50m自由形(視覚障害S11)
*https://www.asahi.com/paralympics/2024/results/profile/?qrkydpg_paris2024_page2=PROFILE-2016636-------------------- より
木村 敬一(きむら けいいち、1990年9月11日 - )は、滋賀県栗東市出身の日本の競泳選手。2021年開催の東京パラリンピック 競泳 金メダリスト。愛称は「キム」。
東京ガス株式会社の人事部に在籍。日本パラリンピアンズ協会(PAJ)の理事も務める。
*Wikipedia より
パリパラ 競泳“全盲のエース” 木村敬一が金メダル 50m自由形 2024年9月1日 5時11分
競泳の男子50メートル自由形、視覚障害のクラスで、5大会連続出場の木村敬一選手が金メダルを獲得しました。
”全盲のエース” 力強い泳ぎで金メダル
競泳の全盲のエース、木村選手は50メートル自由形の予選、全体4位のタイムで決勝に進みました。
決勝のレースは序盤から複数の選手が激しくトップを争う展開となりましたが、木村選手は力強い泳ぎで終盤、わずかに抜け出して1位でフィニッシュし、金メダルを獲得しました。タイムは出場選手の中で唯一の25秒台となる25秒98で、みずからの持つ日本記録を0秒07更新しました。
木村選手は東京大会の100メートルバタフライに続いて2大会連続の金メダルで、メダルの獲得は4大会連続、通算9個目となりました。このあと、100メートルバタフライにも出場する予定で、この種目の2連覇にも期待がかかります。
木村敬一「ゴールタッチまで完璧にいった」
みずからの持つ日本記録を更新して金メダルを獲得した木村敬一選手は「すべてがはまらないと自己ベストがなかなか出ないところまできていたが、ウォーミングアップから最後のゴールタッチまで完璧にいった」と振り返りました。
木村選手は5大会連続での出場となりますが「何回出場しても緊張するものはするし、その度合いが下がっていくことはなく、まだまだ自分に闘争心があることがわかって、すごくうれしい。最高の観客の前で泳ぐことができてすごく幸せだ」と充実の表情で語りました。
*https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240901/k10014567821000.html より
抜群の調整力で“本職以外で金メダル” 競泳 木村敬一【解説】 2024年9月1日 9時14分 NHK NEWS
パリパラリンピック、競泳男子50メートル自由形、視覚障害のクラスで金メダルを獲得した木村敬一選手。全盲のエースにとって「本職以外」と言えるこの種目での金メダルは、パラリンピックだけでなく世界選手権でもなかった初めてのことです。
その最大の要因は大会前、そして、本番当日の予選後からの「調整力」の高さにありました。
(パラリンピック取材班/持井俊哉)
【詳しくはこちら】競泳“全盲のエース” 木村敬一が金メダル 50m自由形
フィニッシュした直後に激戦を制したことを知った33歳の全盲のエース。
パリのアリーナに右腕を高々と突き上げると水面にたたきつけ、何度も全身を上下させながら喜びを表現していました。
「本当にすべてがうまくいったレースだった」
その完璧なレース運びを実現させた要因の1つが「大会前の調整」です。
ただ、それは、「副産物」と言ってもいいものでした。
木村選手の「本職」、最も得意とするのはバタフライです。
パリ大会の1年半ほど前からは特にバタフライでの泳ぎで上半身が立たないような「水中姿勢の安定」をテーマに取り組んできました。
これが泳法が異なる今回の種目の自由形でも生きたといいます。
中でも今回の50メートルという最も短い距離のレースでは、25~6秒で決着がつくため少しのフォームの乱れが順位に大きく影響しますが、この日の木村選手は安定した姿勢で泳ぎ切り自己ベスト更新につなげました。
さらに「予選から決勝に向けた調整力の高さ」も大きな勝因と言えます。
大会直前の事前合宿で万全の状態を作り上げて「いい記録が出せるだろう」と臨んだ本番当日。
ただ、無観客だった東京大会から一変し大勢の観客が集まる会場に、5大会目のパラリンピックの木村選手でさえ「思ったよりも緊張していた」といいます。
予選は全体の4位
このため「落ち着こうと思っていたら落ち着きすぎてしまった」ということで、予選では自己ベストより0秒69遅い26秒74のタイム。
全体の4位でした。
その予選終了直後からおよそ9時間後の決勝に向けて特に立て直したのは「心」でした。
「ここまで完璧にやってきたので勝てないわけがない」
東京大会のあとからコーチを務める古賀大樹さんにもそうハッパをかけられ、一気にスイッチが入りました。
「リミッターを外した」と好スタートから飛び出しテンポよく腕を回転させてスピードに乗っていきました。
もつれたレースは残り数メートル。
視覚障害のクラスでタッチのタイミングを知らせる「タッパー」を務める古賀コーチが、あうんの呼吸でそのタイミングを伝えると速度を緩めることなく最高のタイミングでタッチしフィニッシュしました。
「自己ベストに向けてしっかりやりきることができた」と胸を張ったパラリンピック通算9個目のメダルで2個目の金メダル獲得。
そこで改めて際だったのは、大舞台を知り尽くした木村選手ならではの体と心を整える力でした。
次の種目は前回大会で金メダルを獲得した「本職」の100メートルバタフライです。
6日後のレースへ、どんな調整力を発揮するのか、待ち遠しい日々が続きます。
*https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240901/k10014567921000.html より
“がむしゃら×美” の連覇 競泳 木村敬一【解説】 2024年9月7日 9時54分 NHK NEWS
パリパラリンピック、競泳男子100メートルバタフライ、視覚障害のクラスに出場した木村敬一選手は、この種目で2連覇を果たし、今大会2つ目の金メダルを獲得。
パラリンピック新記録で圧倒的な強さを世界に見せつけたその泳ぎは、自分らしい「がむしゃらさ」と、新たに身につけた「美しさ」を兼ね備えたものでした。
(スポーツニュース部 記者 持井俊哉)
パラリンピック新記録でレースを制した木村選手。
6日前に金メダルを獲得した時と同様に腕を高々と突き上げましたが今度は左腕を3秒ほど上げ続け、その存在感を世界に強烈にアピールしました。
木村敬一 選手
「もうこれ以上ないくらいのレースだった」
またも完璧なレース運びができたのは、「自分らしさ」へのこだわりと、一見、正反対の「柔軟性」という双方を木村選手自身が持ち合わせていたためでした。
まず、「自分らしさ」とは「がむしゃらな泳ぎ」です。
水の抵抗を受けやすく体力の消耗は激しいというデメリットはあるものの、木村選手は徹底的に肉体を鍛え上げることで推進力を生む長所として、その泳ぎを貫いてきました。
その結果、前回の東京大会での初の金メダルという成果につながりましたが、生まれてきたのは「自分がどこまで記録を伸ばせるのか挑戦したい」という探究心。
新たな自分を求める中で「柔軟性」も持ち合わせていた木村選手が追求し始めたのが「美しい泳ぎ」でした。
星奈津美さんが指導(2023年3月)
そこで頼った1人がオリンピックのメダリスト。
2大会連続で銅メダルを獲得した星奈津美さん、10年来の友人です。
見えなくても星さんの腕を触って正しい腕のかき方を学び、水中での姿勢の保ち方をことばにして伝えてもらう日々。それらを受けて地道な基礎練習を続ける日々でした。
「がむしゃらな泳ぎ」での課題は後半の50メートルでの減速でしたが、2人で「美しい泳ぎ」を身につける中で改善。
それから1年半ほどたって迎えたパリ大会直前の合宿でフォーム改良の完成度を尋ねた時には「8%くらいですかね」と苦笑いしながらも「調整は順調で調子がいい」と自信を見せました。
そのワケが「がむしゃらな泳ぎ」と「美しい泳ぎ」のいいところを取ったいわば“ハイブリッド型の泳ぎ”でした。
金メダルを獲得した決勝、後半の泳ぎに特徴がありました。
前半の50メートルでの2位との差は0秒52でしたが「美しい泳ぎ」によって体力の消耗を抑えられたことで、後半の「がむしゃらな泳ぎ」が可能に。
ぐんぐんと前に行く力強い泳ぎで後続の選手を一気に突き放しトップでフィニッシュしました。自己ベストを0秒27更新し、1分0秒90のパラリンピック新記録で、2位との差は2秒近くに広がっていました。
後半だけのタイムを見ても2番目の選手より1秒2速くトップでした。
銅メダルの富田選手と
「いろいろな人の知恵を借りて技術的な部分の練習も体力的な部分もどちらも粘り強く逃げなかったことで最高の泳ぎができた」
事前合宿で「8%」と答えていた泳ぎの完成度を再び尋ねると「100点満点で言えば10点くらいかな」と再び苦笑いしていました。
では、いつ「100点」になる日が来るのか。
ただ、どれだけ輝く色のメダルを取っても、記録を更新し続けても、みずからの泳ぎに向き合い続ける木村選手にとっては、その日が永遠に来ないのかもしれません。
*https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240907/k10014575391000.html より