「里見紗李奈」 金-車いすバドミントン女子シングルス、銀-車いすバドミントン女子ダブルス(車いすWH1)
*https://www.asahi.com/paralympics/2024/results/profile/?qrkydpg_paris2024_page2=PROFILE-2496800-------------------- より
里見 紗李奈(さとみ さりな、1998年4月9日 - )は、日本の女子パラバドミントン選手。千葉県八街市出身。2021年開催の東京パラリンピック パラバドミントン 女子シングルス・ダブルス 金メダリスト。
*Wikipedia より
パリパラ バドミントン 里見紗李奈が金メダル 女子シングルス 2024年9月3日 2時19分 NHK NEWS
パリパラリンピックのバドミントン女子シングルス、車いすの比較的障害が重いクラスの決勝で、東京大会の金メダリスト里見紗李奈選手がタイの選手にゲームカウント2対1で逆転勝ちし、この種目で2大会連続の金メダル獲得を果たしました。
“女王”の座を守った里見選手、ある敗戦を糧に成長を遂げたことで連覇をつかみました。記事後半では担当記者の解説をお伝えしています。
目次
連覇を目指す里見紗李奈 逆転で金メダル
里見紗李奈「女王のまま居続けられるのは私にとって特別な時間」
連覇を目指す里見紗李奈 逆転で金メダル
この種目でパラリンピック連覇を目指す里見選手の決勝は、前回の東京大会でも決勝で対戦した、タイのスジラット・プックカム選手との顔合わせとなりました。
里見選手は第1ゲーム、序盤から相手にリードを許す苦しい展開となり、18対21でこのゲームを落としました。
続く第2ゲームでは、持ち味の体を大きく反らせて打つ力強いショットで得点を重ね、21対13でこのゲームを取り返しました。
勝負の第3ゲーム、里見選手は中盤で相手に4連続ポイントを奪われリードされましたが、直後に連続で5ポイントを奪い、逆転に成功します。
その後も、落差のある力強いショットなどで粘る相手を振り切ってリードを広げ、このゲームを21対18で取り、ゲームカウント2対1として逆転で金メダルを獲得しました。
里見選手は、この種目で2大会連続の金メダル獲得で
▽銀メダルはプックカム選手
▽銅メダルは中国の尹夢※ロ選手でした。
(※ロは王ヘンに路)
里見紗李奈「女王のまま居続けられるのは私にとって特別な時間」
里見選手は「優勝できてすごくうれしい。連覇は東京大会で優勝した人しかできないので、2連覇して女王のまま居続けられるのは私にとって特別な時間だし、女王であり続けたい」と笑顔で喜びを語りました。
接戦となった決勝を振り返り「第3ゲームでは相手に先にポイントを取られてしまったが、ついていけば大丈夫だと思ってやり続けた。1本1本がすごく重く、サーブの時は手が震えていたと思う」と話しました。
また、コーチの存在について聞かれると「私のことをいちばんに考えてくれていることが伝わるし、この日のために二人三脚で頑張ってきたので本当によかった」と涙を浮かべながら感謝の思いを口にしていました。
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【解説】敗戦を糧に連覇引き寄せた“変化”
“女王”の座を守った里見紗李奈選手の連勝記録「59」が途絶えたのは、ことし2月。
日本女子のエースは、この敗戦を糧に成長を遂げ、大舞台で再び“最強”を証明して見せました。
里見紗李奈 選手
「最高にうれしい。連覇できるのは東京パラリンピックで優勝した人にしかできない。2連覇できて女王のままであり続けられる。特別な時間になった」
試合後、とびきりの笑顔を見せてそう答えた里見選手。
転機はことし2月、3連覇を目指した世界選手権。シングルスの準決勝で中国のライバル、尹夢※ロ選手にストレートで敗れ、東京パラリンピックから続く連勝記録が「59」でストップしたのです。
2年以上勝ち続けたことで世界から徹底的にマークされ、みずからの強みや戦術が通用しなくなっていることを痛感した戦いでした。
「自分の中では慢心だとかそういう気持ちはないつもりだったが、たぶんどこかにきっとあって、負けたことで『やっぱそうだよね』って見直すタイミングになった。悔しかったけどプラスに捉えるのであればパラリンピック前にこういう経験ができて良かった」
以来、里見選手は負けた試合の映像を毎日、見直して課題を探り続けました。
基本のチェアワークをいちから見直したほか、男子選手と打ち合いを重ね、シャトルに食らいつく粘り強さを強化。
さらに、最大の強みとしていたコートの奥に打ち込む「クリア」中心の展開を見直しました。相手コート手前に落とす多彩なショットを生かして自分から積極的に仕掛けるプレーを意識するようになりました。
「待つだけのラリーではもう勝てない。私から仕掛けるだけで、いつもと違う展開になってくる。パラリンピックでは私、こういうこともするんだよっていうのを見せたい」
準決勝で尹選手に勝利
迎えたパリパラリンピック。
予選で因縁の尹選手に再び敗れたものの、その後勝ち上がって準決勝に進むと、相手はまたもや尹選手。
パワーで押してくる相手の攻めに食らいつき、巧みなショットで自ら仕掛けて何度も流れを引き寄せました。
準決勝の試合後に握手する里見選手と尹選手
結果はストレート勝ち、大きな壁を乗り越えた瞬間でした。
「尹選手との試合が私の中では決勝戦だと思っていた。すごく成長できたと思った」
翌日の決勝。
コイントスでコートを選べる権利を取り、前日の準決勝までは追い風が吹いてたコートに入ったものの、この日は逆風が吹く不運に見舞われます。
相手をコートの奥に押し込む「クリア」の距離が伸びませんでした。
さらに、予選で右ひじがつり、試合を重ねるたびに右ひじが伸ばせなくなって、車いすをこぐときやロブを上げるときも痛みが出ていたという里見選手。痛みと逆風の中の「クリア」では相手を下げることができませんでした。
逆に奥に追い込まれ、ネット手前に落ちるカットを取れずに失点を重ねて、第1ゲームを落とす結果となりました。
それでも、追い風のコートに移った第2ゲームは、粘り強いラリーで相手のミスを誘い、冷静なプレーでこのゲームを奪い返します。
そして、最終第3ゲーム。向かい風のコートでのプレーを7対11で折り返し、追い風のコートに移ると5連続でポイントを奪って逃げ切り、21対18のゲームカウント2対1で逆転で金メダルをつかみ取りました。
「『里見紗李奈は金メダルを取るでしょ』というプレッシャーと、それに応えなきゃいけないことが不安だった。それでも金メダルが取れて頑張ってきてよかった」
「また4年後、3連覇するので期待していてください」
2連覇の快挙の裏には、1つの敗戦をきっかけに“変化”を貪欲に取り入れ、“成長”につなげた日本女子エースの姿がありました。
*https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240902/k10014569811000.html より
パリパラ バドミントン 里見・山崎ペア 銀メダル 女子ダブルス 2024年9月2日 6時34分 NHK NEWS
パリパラリンピックのバドミントンは、女子ダブルス車いすのクラスの決勝が行われ、里見紗李奈選手と山崎悠麻選手のペアは中国のペアにゲームカウント0対2のストレートで敗れ、銀メダルとなりました。この種目で前回の東京大会に続く連覇はなりませんでしたが、2大会連続のメダル獲得です。
“ゆまさり”の愛称で呼ばれる2人にとって、決して順風満帆なものではなかった2大会連続メダル。記事後半で解説しています。
目次
里見・山崎ペア 連覇逃すも2大会連続メダル
里見紗李奈「納得のいく試合はできたのではないか」
里見・山崎ペア 連覇逃すも2大会連続メダル
前回の東京大会のこの種目で金メダルを獲得し連覇がかかる里見選手と山崎選手のペアは、決勝で、東京大会と同じ顔合わせとなる中国の劉禹※トウ選手と尹夢※ロ選手のペアと対戦しました。
里見選手と山崎選手のペアは、今大会、相手の中国ペアに予選リーグで敗れていて、第1ゲームの出だしから4連続ポイントを奪われると、前後に揺さぶる攻撃や日本の2人の間を狙う巧みなショットに苦しめられ、17対21で落としました。
第2ゲームは、ラリーでの粘りから、里見選手がライン際に落とすコントロールのよいショットで得点を重ねましたが、中国ペアの正確な攻撃に最後まで苦しめられ、19対21で接戦を落としました。
里見選手と山崎選手のペアは、ゲームカウント0対2のストレートで敗れて銀メダルとなり、連覇はなりませんでしたが2大会連続のメダル獲得です。
(※「トウ」は丹+三づくり・※「ロ」は王へん+路)
里見紗李奈「納得のいく試合はできたのではないか」
里見選手は「シングルスとダブルスでの金メダルを目指して3年間やり続けてきたので、やはり悔しい。ただ東京パラリンピック後に差をつけられてしまった相手に対して、ハラハラさせるような試合ができたのは久々だったので、納得のいく試合はできたのではないかと思う」と声を詰まらせながら話していました。
山崎悠麻「自分のミスが増えてしまって悔しい」
山崎選手は「金メダルを取りたかった気持ちはあるが、たくさんの人に応援してもらった中で、銀メダルを取れたことはよかったと思う。自分のミスが増えてしまって悔しいし、あと一歩頑張りたかった」と話していました。
注目
【解説】“ゆまさり” 有終の銀メダル
女子ダブルスの車いすのクラスで2大会連続のメダルを獲得した山崎悠麻選手と里見紗李奈選手。“ゆまさり”の愛称で呼ばれる2人にとって、金メダルに輝いた東京パラリンピックから3年の歩みは、決して順風満帆なものではありませんでした。
ペアとしての力を伸ばせず、ライバルで中国の劉禹※トウ選手と尹夢※ロ選手のペアには国際大会で連敗が続いていました。
36歳でベテランとも言える年齢にさしかかった山崎選手に対し、10歳年下の26歳でまさに選手としてのピークを迎えている里見選手。ふだんから親友のように仲のいい2人でも、ペアとしての課題をうまく払拭できないなかでそれぞれが心のずれを感じるときもあったと振り返ります。
里見紗李奈 選手
「ぶつかるときもあってパラリンピック前には難しいときもあった」
山崎悠麻 選手
「本当にパリに行けるのか、という時期もあった」
それでも、大の負けず嫌いの2人。直前合宿では互いに思いをぶつけて2連覇に向け、気持ちを高めてきました。
迎えたパリ大会では順調に勝ち上がり、中国ペアとの決勝では“ゆまさり”らしさが随所に見られました。
パワーがある相手に対して粘りや多彩なショットで対抗し、障害の重い里見選手がねらわれるなか、山崎選手がカバーしました。
そして、互いに「頑張れ!」と声をかけてパートナーを励まし続け、いいプレーが出たときは満面の笑みを見せて試合を楽しみました。接戦の末に敗れたものの、2人の表情からは充実感に近いものが見てとれました。
里見紗李奈 選手
「力の差があったペアに対して今まで以上に点差を縮めることができて、納得できる試合だった。最後のラリーではどうしてもとれないときにゆまさんがフォローしてくれてこれがダブルスだなと思いながら、最後を終えられた」
山崎悠麻 選手
「負けてしまったことは悔しいけれど、この場に立てたのはうれしかった」
試合後、2人は涙を流しながら、“ゆまさり”として臨むパラリンピックは今大会が最後になると示唆しました。
ペアの結成から6年。苦しみながらともに歩み続け、獲得した2大会連続のメダル。“ゆまさり”の功績は日本のパラバドミントンの歴史にはっきりと刻まれました。
*https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240902/k10014568911000.html より