「うなぎの帆引き煮」
主な伝承地域 利根川、霞ヶ浦周辺
主な使用食材 うなぎ
歴史・由来・関連行事
国内第2位の広さを誇る霞ヶ浦は、海との交流もあり、プランクトンが豊富なことなどから、ワカサギやシラウオ、うなぎ、フナなど、さまざまな淡水魚に恵まれた。天然のうなぎも例にもれず、霞ヶ浦や利根川流域でよくとれ、うなぎの名産地として知られている。龍ヶ崎市の牛久沼は、うな丼発祥の地ともいわれ、いまでもうなぎ料理の老舗店舗が軒を連ねる「うなぎ街道」と呼ばれる地がある。
うなぎといえば贅沢な食材であるが、かつてはこの地域ではよくうなぎが取れたため、茨城県ではうなぎ料理は一般的によく食べられたという。このとき余ったうなぎを冷凍しておき、急な来客などがあったときに凍ったままのうなぎを手早く、豪勢な料理にできるようにと考えられたのが「うなぎの帆引き煮」である。
「うなぎの帆引き煮」の“帆引き”とは、霞ヶ浦で漁業をおこなっていた巨大で真っ白な帆が特徴的な“帆引き船”を指す。平成30年(2018年)3月には霞ヶ浦の帆引き網漁の技術が国選択無形民俗文化財に選定されている。帆引き船は、風力を利用してひき網を引きながら漁をおこなう。白い帆を広げた何十隻もの帆引き船が湖上に浮かぶ様は、霞ヶ浦の名物であったという。しかし、風がない時は漁ができないことと、帆が非常に大きいため、突風に煽られたときに転覆する危険性も高かったことから、現在では、機械トロール船による漁になっている。その巨大で真っ白な帆が特徴的な帆引き船を模した笹の葉をあしらったため「うなぎの帆引き煮」と呼ばれるようになった。現在、帆引き船は、春から秋にかけて観光用に運用されている。
食習の機会や時季
急な来客があるときや、おもてなしの席などでつくられた。
天然のうなぎは、6月から10月ごろまでが旬といわれている。霞ヶ浦のうなぎは川を下らず、海に出ない珍しいうなぎである。
飲食方法
鍋に酒を入れ、煮立ったところにうなぎを入れ、ひと煮立ちさせたら醤油、砂糖を入れてふっくらと仕上げる。煮汁が煮つまってきたら、うなぎを取り出してさらに煮つめ、煮汁をうなぎにかけていただく。多めの酒で煮ると、よりふっくらと仕上がる。大きめの笹を用意し、帆引き船に見立てて飾ってから食べる。
ごはんにのせてうな丼として食べても良い。また、山椒などの薬味を加えて食べることもある。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
現在は、高級食材のため、昔ほどはつくられていないものの、特別な日につくって食べられることもある。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/unaginohobikini_ibaraki.html より
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます