「しもつかれ/すみつかれ」
主な伝承地域 西部地域
主な使用食材 サケ、大豆、大根、油揚げ、人参、酒粕
歴史・由来・関連行事
「しもつかれ」は、正月の残りのサケの頭に、節分でまいた豆の残り、そして根菜などを酒粕で煮こんだ西部地域に伝わる郷土料理である。正月からの残り物を大事に使い、また、冬場の栄養摂取や保存性に優れた先人の知恵がつまった料理といえる。地域によっては「すみつかれ」とも呼ばれている。
「しもつかれ」は、栃木県や埼玉県、千葉県の一部でもつくられている。鎌倉時代に書かれた「宇治拾遺物語(うじしゅういものがたり)」などの説話にも記述されているなど、歴史は非常に古いため、その名の由来については諸説ある。「下野国(しもつけのくに:現栃木県)の家例としてつくる料理」から「しもつかれ」と呼ばれたという説や、つくり方の「酢み漬け」から「すみつかれ」と呼ばれたという説などがある。
大鍋で大量につくるからこそ味が出る料理といわれ、家庭ごとの味がある。そのため、余った「しもつかれ」は近所に配るのが習わしで、7軒分の「しもつかれ」を食べると病気をしないという言い伝えがあった。
食習の機会や時季
初午(はつうま:2月最初の午の日)の日に、よくつくられている料理で、昔はこの日以外につくることは忌み嫌われていたという。初午の日につくった「しもつかれ」を新しい藁苞(わらづと)に入れ、「赤飯」と一緒にお稲荷さんに供える。そして火の用心、家内安全を祈る風習があった。サケの頭は悪いものを追い払うとされ、節分の豆も“魔滅(魔を滅する)”を意味することから、「しもつかれ」は縁起物として食べられていた。
飲食方法
「鬼おろし」と呼ばれる竹製の鋭利な刃がついたおろし器で粗くすり下ろした大根と人参、短冊切りにした油揚げを、大豆およびサケの頭とともに、酒粕、だし汁で煮こんでいく。鬼おろしは、竹製のため素材に熱が伝わりづらく、さらに一般的な大根おろしよりも粗くおろされていくため、野菜の余分な水分が出ず、食べるときにしっかり食感を感じることができる。サケの頭がない場合は、サケの切り身でも良い。
食べ方もさまざまで、ごはんにかけたり、茶請けとして食べるところもある。また酒の肴として、こたつに入りながら凍った「しもつかれ」を熱燗と一緒に楽しむ地域もある。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
独特の風味や見た目から、非常に好みが分かれる郷土料理であるが、ていねいに下ごしらえをして生臭さをおさえ、食べやすくする工夫がなされている。いまでも近所で「しもつかれ」をやりとりをする地域がある。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shimotukare_ibaraki.html より
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