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<経産大臣指定伝統的工芸品> 山口 赤間硯

2021-08-22 15:20:57 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「赤間硯」

 Description / 特徴・産地

 赤間硯とは?
 赤間硯(あかますずり)は、山口県下関市や宇部市周辺で作られている硯です。赤間石という硯に適した石が原材料で、赤間硯を用いれば墨を細かく磨ることができ、発色も伸びもよい墨汁ができると評されています。
 赤間石の特徴は、緻密な石質にくわえて、墨をするために必要な石英(せきえい)や鉄分を多く含んでいることです。赤間石は粘り気が強いため彫刻がしやすく、原石を活かした野面(のづら)硯に加えて、美しい彫刻を施した彫刻硯や蓋つきの硯などもあります。
 赤間硯は、職人自身が採石を行うことでも知られています。赤間石はほかの硯石と比べても乾燥しやすいため、露天掘りではなく、坑内に入って採石を行わなければなりません。職人には石を見極める目に加えて、火薬を取り扱う技術も必要とされ、採石ができるようになるためにも10年以上の歳月がかかるとされています。
 職人の技術が息づく、実用的でありながら、美術的な価値も高い硯です。

 History / 歴史
 赤間硯 - 歴史
 赤間硯の歴史は古く、鎌倉時代には製造が始まっていました。鎌倉にある鶴岡八幡宮には源頼朝公が奉納したとされる赤間硯が残っており、800年以上の歴史があります。現在の下関市にあたる赤間関で製造が開始されたことが、赤間硯の名前の由来です。
 江戸時代に入ると赤間石の採掘は長州藩の許可が必要となり、簡単には手に入らない貴重な品になったため、藩主への贈答用に用いられていました。
明治時代に入ると識字率の向上と相まって、記録用の手段として書道は普及し、赤間硯の生産も盛んになります。この頃は、赤間硯の職人も200名から300名ほど存在していたと言われています。現在は当時に比べると職人の数は大幅に減っていますが、昔からの伝統が今なお守られています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/akamasuzuri/ より

 石を磨き、彫る。匠の技で輝く赤間硯
 書をたしなむ人にとって「文房四宝」と呼ばれ、大切な道具の一つが硯(すずり)。中でも赤間硯は、豪華な装飾が施された高級品として名高い。赤間硯の第一人者である下井百合昭さんに、自然の石に命を吹き込む匠の技についてお聞きした。

 
 赤間硯だからこそできる豪華な彫刻
 日本の硯の三大産地の一つ、山口県楠町。赤間硯の歴史は、鎌倉時代にさかのぼると言われている。その歴史にこの楠町が登場するのは、江戸時代。楠町で採掘された石が、下関(赤間関)に出荷され、硯に加工されていたという。明治の初め頃、下井さんの祖父が、この地で硯作りを始めて広がり、今では楠町の岩滝地区が赤間硯の里といわれほどになった。
 褐色のチョコレートを想わせる、柔らかく滑らかな石肌は優美さを醸し出し、一言で書道具として片付けられない輝きを放つ。赤間石の石質は、きめ細かく、しかも適度な粘りがある。だからこそあの精緻な彫刻ができるのだ。
 「祖父も、父もシンプルな硯を作っていました。私は、硯作りというより、赤間石で何かいろいろと作ってみたいという思いがあったので、下関の職人や絵画の先生に学んで、彫刻を施すようになったのです。」


 匠の技は、石の見極めから彫刻・磨きまで
 硯作りと言っても、磨き・彫る工程だけでなく、石を見極め採石する技術での比重が大きい。石は層になっているため、その方向性を間違わずに採掘しなければならない。また採掘した石が、硯に適しているかいないかの見きわめも難しい。せっかく切り出しても無駄になる石も多いのだ。
 「いい石を見つけたとして、この石のどこにタガネを打ち込もうかと、打ち込む瞬間にためらいや迷いがあると、石をダメにしてしまうこともありますね。」選りすぐられたわずかな石が、匠の技によって硯として命を吹き込まれるのだ。


 硯石を超えた赤間石の魅力を伝えたい
 多忙な現代人の生活において、筆ペンや墨汁、またワープロやパソコンも普及し、硯で墨をする時間は贅沢とさえ思える。そんな時代にむけて、下井さんは、高額になりがちな大きな硯だけでなく、ミニ硯や、オブジェとして使える硯、ペーパーウェイトなど、新しい商品開発にも意欲的である。
 「石でありながら、暖かみがあり柔らかい。この石の魅力をみなさんに知っていただきたい。山の採掘場にいくと原石がゴロゴロある中で、どうにもならないと思うような石でも、その自然の形を生かし、自分の力で美しさを引き出だせた時、もっといいものを作りたいと欲が出る。それが職人の性なんですな。」

 <コラム>

 約10年かけて作り上げた、下井さん愛用のノミ。今も暇があれば、道具を作る。山で拾った木の枝を柄に加工した、独特の形状がおもしろい。カラダになじむ加減など、一番使いやすいのは柿の木だという。柄のところを肩にあてると、安定して体重がかかり、削りやすい。
 下井さん手作りノミ。柄がえぐれているのは、木に葛がまきついたあと。木の枝をそのまま生かした大小のノミ。刃先も微妙に異なる。

 

 職人プロフィール

 下井百合昭 (しもいゆりあき)

 硯作りにたずさわって48年。楠町で祖父から3代続く硯職人。


 こぼれ話

 赤間石の美しさを引き出す新しい形

 間違って食べてしまいそうなほど、質感が似ている栗のペーパーウェイト。大きい方は、セラミックと組み合わせたペーパーウェイト。別の素材との組み合わせなど、新しい発想はどんどん広がる。下井さんには、この道に入った時から「赤間石は、石質を活かせば、硯だけでなく他に何かできるのでは」という気持ちがありました。日本建築の家が減ってきた現代の住空間にもなじみ、この石の滑らかな肌や深い色合いを生かした作品ができないものか?そんな思いの中で作りだしものが、ペーパーウェイトやオブジェなど、モダンアート的な作品。赤間硯の歴史が育んだ伝統の技を生かしながらも、新たな魅力が引き出されています。後継者となる息子さんの若い感覚も取り入れながら、固定観念にとらわれず豊かに発想を広げる下井さん。赤間石の美しさは、これからまた新しい輝きを放つことでしょう。

 カッパの硯なんともいえない愛嬌のあるカッパの顔。頭の皿をはずすと硯として使え,蓋をしておけば観賞用としても楽しめる。下井さんの息子さんの作品。

*https://kougeihin.jp/craft/1009/ より


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