いいもの見ぃ~つけた!

「いいもの」は探せばいっぱいあります。独断と偏見による個人的「いいもの」情報発信所です。

<経産大臣指定伝統的工芸品> 香川 香川漆器

2021-08-22 17:16:44 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「香川漆器」

 Description / 特徴・産地

 香川漆器とは?
 香川漆器(かがわしっき)は、香川県高松市を中心に生産されている漆器です。菓子器や盆、座卓、飾り棚など多岐に渡る商品があり、様々な生活シーンで幅広く愛されています。
 香川漆器の特徴は、多彩で優雅な色漆が美しく、製作される商品の種類が豊富であることです。使い込むうちにしっとりした手触りと美しい艶が出て、割れにくい漆器となります。
 代表的な技法は、江戸時代後期に玉楮象谷(たまかじぞうこく)が中国やタイから伝来した漆器を研究し確立しました。古来の漆器技法から生まれた、「蒟醤(きんま)」、「存清(ぞんせい)」などは現在も受け継がれている技法です。
 「蒟醤」という名称は、タイの植物の実の名前が由来と言われ、紋様を線彫りした窪みに、色漆を色ごとに充填する作業です。繰り返し作業を行い、全ての充填が終わると表面を平らに研ぎ出します。
 「存清」は東南アジアから中国を経て日本に伝わった技法で、黒、赤、黄の地の漆面に色漆(いろうるし)で絵を描き輪郭や絵の主要部を線彫り、毛彫りをして仕上げます。

 History / 歴史
 香川漆器は江戸時代の藩政の保護を受け、品質と生産量ともに着実に発展してきました。1638年(寛永15年)に水戸から高松へ松平頼重が入られ漆器製作や彫刻を奨励します。名工や巨匠と呼ばれる職人を排出しており、中でも玉楮象谷(たまかじぞうこく)が有名です。
 1806年(文化3年)に高松市で生まれた玉楮象谷は、20歳になると京都へ遊学しました。京都で塗師・彫刻師・絵師らと交友し、中国から伝来した漆塗技法を研究開拓します。1869年(明治2年)に64才で逝去するまで、藩主3代に仕えて漆器製作に尽力しました。
 他にも、「後藤塗(ごとうぬり)」と呼ばれる塗手法を創り出した後藤太平も著名な名称の一人です。重要無形文化財醤技術保持者に指定された、磯井如真(いそいじょしん)、音丸耕堂(おとまるこうどう)などの巨匠も香川漆器の発展に功労してきました。
 1949年(昭和24年)に重要漆工業団地の指定を受け、香川漆器の年間生産額は約250億円にまで発展しました。展示会などに入賞する漆芸作家は70人以上で、漆器関係の仕事に従事する人は約2,000名と言われています。
 また、キンマ、存清のほか彫漆、後藤塗り、象谷塗りなど五品目が香川の伝統的工芸に指定されている。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/kagawashikki/ より

 漆芸の最高峰、漆器王国(香川のぬりもの)
 海外では陶器をチャイナ、漆塗りはジャパンと呼ばれ愛好家たちの賞賛をあびている。近年、縄文遺跡からも鮮やかな漆塗りの用具が発掘され注目されたが、日本での漆の歴史はそれほどに古い。香川の漆器は徳川時代、茶や花を愛した殿さま「松平頼重公」奨励の下、漆器王国といわれるまでにあでやかに花開いた。

 
 使うほどに深まる漆黒の漆塗りの魅力
 香川の漆器は通常の工程の仕上げ段階である上塗りを終えた漆器に、さらに加飾(かしょく)という作業が追加されるのが特徴。何回も塗り重ねられた漆の上に花鳥風月やデザイン化した模様を色を刷り込むようにして工程を重ねて最終仕上げされる。今回は香川県独自に伝わる手法、蒟醤(きんま)で伝統工芸士の認定資格をもつ西岡春雪(にしおかしゅんせつ)さんの工房をお訪ねしてお話を伺った。


 偶然でしかなかった漆との出会い
 「私は、はじめからこの道に入ろうと思っていたわけでないんです。」学校を出て印刷屋に就職しようとしたらすでに募集が終わっていた。仕方がないので、友人五人と同級生の親がやっていた漆の座卓などを作る漆塗家具会社に就職したという。当時、香川漆器の座卓は生産高が日本一を誇り需要も多く景気がよかった。「でも、勤めて三日目に漆にかぶれて、体中が真っ赤にはれあがり二週間寝込みました。」漆に関して何の予備知識もなかった西岡さんは最初は驚いたが、仕事を止めようとは思わなかったという。以来50年、この道一筋に歩いた西岡さんと漆との付き合いは今も続いている。


 名工との出会いにより技術に磨きをかける
 「会社の社長がとても理解があって、若い我々にも技術を磨かせるために漆芸のコンテストにどんどん作品を出させてくれました。」さらに香川県立漆芸研究所が設立され、その一期生として学ぶことができ、のちに人間国宝になった名工、故磯井如真(いそいじょしん)先生や故香川宗石(かがわそうせき)先生たちとの出会いがさらに西岡さんの技術に磨きをかけた。おかげで西岡さんは、蒟醤(きんま)の技法だけでなくほかの漆塗り技法のすべてをこなす。その実力が認められて昭和54年、伝統工芸士に認定された。


 繊細な技術を伝える香川漆器の特徴
 香川の漆器工芸は江戸時代、水戸から松平頼重(まつだいらよりしげ)公が高松藩に入封。殿さまの理解と保護のもとで手間隙かけた絢爛豪華な香川漆芸の世界が花開いた。その手法は蒟醤(きんま)、存清(ぞんせい)、彫漆(ちょうしつ)、後藤塗(ごとうぬり)、象谷塗(ぞうこくぬり)の五つにわけられる。なかでも代表的な手法である蒟醤(きんま)の技法はビルマから伝わり、香川漆芸の始祖として知られる玉楮象谷(たまかじぞうこく)が独自の手法をあみだしたといわれる。蒟醤(きんま)とは何回も塗り重ねた漆の上にケンで文様を色ごとに線彫りし、そのくぼみに色漆を充填させる作業をくりかえし象嵌(ぞうがん)していくもので、その作業はおよそ60工程を越えるという。


 伝統のなかに自分独自のデザインを工夫する
 「一番苦労するのが意匠デザインです。正倉院などの文献を見ながら古いものを研究し、いかに新しいものを取り入れていくかが楽しみでもあり、苦しみでもあります。」西岡さんは、昭和33年日本伝統工芸展に初入選して以来毎年のように入選している。平成4年には内閣総理大臣賞に入選。息子さんの龍美(たつみ)さんも漆芸の世界に入り、工芸高校のデザイン科の先生をしているという。「私は本当にありがたい技術を教えて頂いたといつも感謝しております。おそらく最初の希望どおり印刷屋さんに就職していたら、今の人生はなかったでしょう。人の出会いとは本当に不思議なものです。」夕日の差し込む工房の中で、やさしい目をして西岡さんは微笑んだ。

 職人プロフィール

 西岡春雪 (にしおかしゅんせつ)

 昭和33年の初入選以来、工芸展で毎年連続入選している名工


 「こんなすばらしい技術を教えてもらって、ほんとにありがたいことです。」と笑顔の西岡さん

 こぼれ話

 藩士(松平公)の保護と理解のもとに発展した香川漆芸

 漆に関するすべての技法を習得している西岡さんのもとへ、つい最近あるお寺から、ご本尊修復の依頼がありました。その仏像は平安末期に造られた十一面観音様で、痛みがひどい状態。和尚さんは、その本尊を金ぴかにしないで、なんとか古びた雰囲気を残したままで修理してほしいと依頼してきました。西岡さんは仏像からいったん魂を抜いたあと、丁寧に仕上げ、再び漆をかけ、注文どおりに修復することができました。喜んだ和尚さんは、今度は最近買ったばかりのニ体の真新しい金ぴかの仏像をなんとか、古びかせてほしいと頼みにきました。西岡さんは、この注文にも腕を振るい依頼に答えることに成功。今、三体の仏像は並んで、大切にお寺に安置されています。

*https://kougeihin.jp/craft/0522/ より


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« <経産大臣指定伝統的工芸品... | トップ | <経産大臣指定伝統的工芸品... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済産業大臣指定伝統的工芸品」カテゴリの最新記事