「鯉の唐揚げ」
主な伝承地域 南部地域、霞ヶ浦・行方市・土浦市
主な使用食材 コイ
歴史・由来・関連行事
国内第2位の湖面積を誇る霞ヶ浦では、主に北浦において、昭和40年頃(1960年後半)からコイの養殖を開始し、現在では養殖生産量は全国トップクラスである。古くからコイはタイと並ぶ高級魚として知られ、奈良時代、平安時代には皇族や貴族の間で好まれた。その後は、庶民の間にも浸透し、さまざまなコイ料理が親しまれてきた。コイは”龍門の滝”をのぼると龍になるという言い伝えがあり、立身出世のたとえに使われる縁起物である。また滋養に富む魚であるため、結納などの祝いの席や妊婦に食べさせる風習があった。
霞ヶ浦におけるコイの養殖は、1年から3年かけて育て上げる。1年目のコイは小骨が口に当たりづらいため、「鯉のあらい」という刺身料理に使われることが多い。また、2歳から3歳のメスは卵を持っているので、「鯉の甘露煮」といった料理に向いている。色々なサイズのコイを手に入れることができるからこそ、その他にも「鯉こく」や「鯉のうま煮」などのコイ料理が浸透していったと考えられる。現在、子どもから大人まで人気があるコイ料理の一つが「鯉の唐揚げ」である。
食習の機会や時季
養殖は特に旬がないため、1年を通して食べられている。「鯉の唐揚げ」は、揚げることで骨までそのまま食べられるので、子どもたちにも人気である。学校の給食メニューにも取り入れられている。
飲食方法
コイの切り身に片栗粉をまぶし、油で揚げる。家庭や店舗によってつくり方はさまざまで、コイに簡単に味付けをして唐揚げにしたり、揚げた後、タレにくぐらせて食べる。
コイ料理で重要なのは、生臭さをしっかりとること。何度も水を取り替えながら洗うことで生臭さが消える。この時、お湯を使ってしまうと風味を変えてしまうので、必ず水でおこなうことが大切である。また、コイを捌くところからはじめる場合は、鮮度が重要なので生きたコイを使うこと。そして、内臓を傷つけないようにすることがポイントである。胆汁や未消化の餌が身についてしまうと、臭みが染みついたり、変色してしまうため、細心の注意を払っておこなう必要がある。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
学校給食では、唐揚げ用に調理・冷凍したものを利用し、郷土料理として提供している。霞ヶ浦地域のスーパーマーケットや道の駅などでも、唐揚げが販売されている。また、霞ヶ浦地域の飲食店などでも食べることができる。現在は、霞ヶ浦北浦のコイ養殖業者が、鮮度の良いうちに下処理して真空包装した「凍結鯉フィレ」をつくって販売し、郷土料理が手軽に食べられるよう普及を図っている。
現在行方市では、小骨を切って骨ごと食べられるように、プロが骨切りし、唐揚げ用に調理したものを冷凍し、学校給食に郷土料理として提供している。「鯉の唐揚げ」は、学校給食で人気メニューになっている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/koinokaraage_ibaraki.html より
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