第179回 2017年12月19日 「透明な輝きの小宇宙~愛知 尾張七宝~」リサーチャー: 生方ななえ
番組内容
宝石をちりばめたようなイヤリングや、深い青のグラデーションの腕時計。金属にガラス質の釉薬を焼き付けた「尾張七宝」が人気だ。銀線で模様の輪郭を作ってデザインを際立たせる、尾張ならではの技。「波」をデザインしたモダンなアクセサリーを作るのは、気鋭の女性作家。さらに、今まで不可能と言われた“装飾を文字盤に施した腕時計”も紹介。七宝の可能性に挑む職人たちの技を、モデルの生方ななえがリサーチする。
*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201712191930001301000 より
愛知県あま市七宝町は、加賀藩主前田利家の正室まつの生誕地です。
「七宝焼き造り」が盛んだったことから「七宝町」と名付けられたそうです。
なお、あま市には、「七宝焼」について、見て・触れて・学んで・体験することができる「あま市七宝焼アートヴィレッジ」という施設があります。
あま市七宝焼アートヴィレッジ 愛知県あま市七宝町遠島十三割2000
「七宝焼」とは、金属で作られた器の表面に、陶磁器の仕上げに用いられる釉薬と同様の色とりどりのガラス質の釉薬を塗り、高温で焼成してガラス質の被膜を作る技法とその技法によって作られた作品のことです。
紀元前から古代メソポタミア文明や古代エジプト文明に似たものを見つけることができます。
こがねむし(黄金虫、スカラベ)は、童謡でも歌われているように、お金が貯まる縁起物として有名です。
また、古代エジプトでは、「再生・復活・永遠」の象徴とされ大切にされていました。
これがヨーロッパからシルクロードを通り、中国を経て日本に伝わったと言われています。
「七宝」という語は、仏教(法華経)の経典にある七つの宝物「金・銀・瑠璃・蝦蛄・瑪瑙・真珠・玖瑰(まいえ・まいかい)」を表し、その「七宝」に匹敵するほど美しいことから、この名付けられたと伝えられています。
日本の七宝で最も古いものは、日本では奈良県明日香村の牽牛子塚古墳(けんごしづかこふん)から出土した
「七宝亀甲形座金具」(しっぽうきっこうがたざかなぐ)(飛鳥時代・7世紀)や正倉院宝物の「黄金瑠璃鈿背十二稜鏡」(おうごんるりでんはいのじゅうにりょうきょう)(奈良時代・8世紀)が古い例です。
しかしながら、それ以降は、日本における七宝の製作はここで一旦途絶えてしまったと考えられています。
それまでの間、日本国内での製作こそ行われてはいませんが、七宝そのものが日本社会で忘れ去られていた訳ではありません。
特に室町時代においては明から、水墨画や陶磁器と共に七宝の存在も伝えられていたと思われます。
17世紀、京都の平田道仁が、江戸時代初期に朝鮮半島の工人に七宝の技術を学び、刀装具に使われたり、
城や寺社仏閣などの釘隠し、襖の引手などの装飾に使われましたが、その技術は平田家の秘伝であり、万人に広まることはありませんでした。
日本で七宝が広く作られるようになったのは名古屋市に住んでいた「梶常吉」という人物が天保4(1833)年にオランダより輸入された七宝の皿を手掛かりにその製法を発見し、改良を加えたのが始まりとされています。
以後、急速に七宝の製造は広まり、愛知県尾張地方は日本の七宝製造の中心地となります。
そして、慶応3(1867)年の「パリ万博」で初めて日本の七宝焼が紹介されて以来、各地の万博に日本から沢山の七宝焼が出品され、愛知県からは林小傳治など沢山の工人が出品して受賞し、「尾張七宝」の名を広めました。
19世紀後半から20世紀の初めにかけて「尾張七宝」は様々な工夫を加えて作品を作り続けてきましたが、
第二次世界大戦中は生産の中断を余儀なくされてしまいます。
日本を代表する伝統的な工芸品として、平成7(1995)年に経済産業省指定の「伝統的工芸品」となりました。
尾張七宝の最大の特徴は「有線七宝」という技法です。
銅や銀などの素地に下絵を描き、その下絵に従って細いテープ状の金属線(主に銀線)を立てて輪郭を作り、
その間に釉薬を差して焼成し、研磨したものを言います。
1.CREDOR GBAQ961
高級ウオッチブランド「CREDOR」が老舗七宝メーカー「安藤七宝店」の協力を得て製作された深い青のグラデーションの腕時計です。
平成29(2018)年にセイコーから七宝ダイヤルの数量限定モデル「セイコー プレザージュ」が出ました。
海を想わせる透明感が魅力の七宝ダイヤルを載せた数量限定モデルです。
こちらも「安藤七宝店」製作、尾張七宝の最大の特徴「釉薬差し」という重要な工程を担う施釉師の戸谷航氏が監修しています。
2.「波」をデザインしたモダンなアクセサリー
このアクセサリーを製作したのは、明治16(1883)年創業の尾張七宝の窯元「田村七宝工芸」の5代目 田村有紀さん。
シンガー太田ゆうきとしても活躍されています。
*http://atmarymead235.seesaa.net/article/455650852.html より
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