ねこ庭の独り言

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1994年世界はこう動く - 8 ( トルコ系住民と在日コリアン )

2020-08-05 15:08:29 | 徒然の記

 ドイツ政治・外交の専門家、シュテント氏の「論文」の続きです。

 「ドイツには、在留外国人に関し、市民権をめぐる問題もある。」「外国人襲撃事件の頻発に対して、トルコ系住民の一部は、」「実力で反撃する姿勢を見せているが、彼らの中には、」「自分たちが、極右主義者の標的にされやすいのは、」「選挙権を剥奪され、二流市民の地位に甘んじているためだ、」「と言う不満がくすぶっている。」

 「論文」を読んでいると、私の頭には即座に、在日コリアンのことが浮かんできました。

 「トルコ系住民の多くは、ドイツに移り住んで20年以上になるが、」「本人はもとより、生まれた子供でさえ、」「市民権を有していない。」「ドイツの市民権法は、血統主義に基づいており、国籍は、」「アメリカのように出生地によってでなく、両親の国籍によって決まるとされている。」

 「理論上から言うと、外国人も、自分の本来の国籍を放棄すれば、」「ドイツ国民になれる。」「だが多くのトルコ人は、それを嫌がっているのである。」

 米国人の学者であるシュテント氏は、トルコ人の側に立って意見を述べています。アメリカのように出生地主義にせず、両親の国籍で市民権を与えるのが間違いだとでも言うような、論調です。歴史に的に、アメリカは最初から移民の国です。広大なアメリカ大陸を開拓するには、いくらでも人手が必要で、やる気のある人間なら、誰でも歓迎してきた若い国です。

 ドイツ政治の専門家であっても、氏は歴史には関心が薄いようです。古い歴史を持つ国は文化や伝統を大切にし、誇りを持つ国ほど、異邦人には閉鎖的です。この点において、アメリカは特殊な国で、ドイツの方が一般的だと言えます。

 その国に長く住んでいるからと言って、自動的に市民権が得られるはずがありません。選挙権を得て投票に参加したり、政治家になったりできるのは、当該国の人間だけです。そうしたければ、住んでいる国に忠誠を誓い、その国の国民となり、帰化すれば良いのです。更にドイツ人とトルコ人の間には、宗教の問題があります。

 詳しいことは知りませんが、ドイツはキリスト教の国です。国内にカトリックとプロテスタントの対立があり、東ドイツは宗教を禁止する共産主義国だったとしても、トルコ人の信じるイスラム教とは、相入れません。まして、トルコ人たちがイスラム教で連帯し、居住エリアを部外者から守ろうとするのなら、ドイツの中に、イスラムの国を作るようなものです。

 ドイツ人に寛大になれと語る氏の方が、私には無理強いと見えます。「長く住んで、税金も納めているのに、選挙権もなく、差別されている。」と、在日コリアンも、トルコ人に似た身勝手な主張をしています。もともと神道が寛大な神様なので、幸い宗教的な争いはありませんが、その代わり在日コリアンの多くは、「反日民族主義」と言う、憎しみと恨みの思想に固まっています。

 間違った歴史教科書で、捏造の反日思想を教えられ、根拠のない怒りを燃やし続け、それはまさに、ドイツ国内のトルコ人の宗教に似て、対立と敵対を生じさせています。60万人といわれる在日コリアンが、令和元年のデータで32万人になっている原因は、おそらく半分が、帰化した結果だと思います。

 60万人の在日コリアンのうち、90%は日本の社会に同化し、共生していますが、残りの10%が、過激な反日活動をする韓国・朝鮮人です。数にすれば、わずか5、6万人ですが、本国政府の反日政策と連動し、常に騒ぎを起こします。彼らは日本人から嫌悪されているだけでなく、静かに暮らしている90%の 在日コリアンの同胞からも、迷惑がられています。

 だから私は、 シュテント氏の次の意見に、賛成しません。

 「今世紀になってからのドイツは、ナチス統治期は別として、」「ほとんど何時の時代も、かなりの数の移民を抱えてきた。」「にもかかわらず、大方のドイツ人は、自分の国を単一民族国家とみなしている。」「最終的に彼らは、ドイツが多文化社会であり、」「民族的に単一でないことを、認めざるを得ないだろう。」「さもなければ、人種差別と暴力が、増加の一途をたどるだけである。」

 ここでもまた、ナチスの引用です。しかしドイツの若者や、西ドイツの住民たちの怒りは、民族的なものというより、経済的な問題です。自分たちの国へ無理やり潜り込んで来て、若者の職場を奪い国民の税金をむさぼる、身勝手な外国人への怒りです。

 手厚い保護を受けているのなら、ドイツのために貢献すべきで、永住したいのなら、帰化するのが本当でしょう。嫌なら、自分の国へ帰れば良いだけの話です。郷に入っては郷に従えで巣から、トラブルを起こさず、共存する努力が必要です。他国へ来ていながら、自己主張ばかりするような者たちを、氏はなぜ肯定するのでしょう。

 氏の本の出版後17年経った現在、「アメリカファースト」のトランプ大統領が、押し寄せる難民にノーを突きつけ、メキシコとの国境にとてつもない壁を築きました。氏の言に従うと、排外主義のトランプ大統領は、ナチス民族主義者なのでしょうか。

 私は氏に対し、もう少し別の観点から、ドイツを眺めてはどうなのかと、助言します。氏が教鞭を執るジョージタウン大学は、政治学分野での一流大学と聞きます。ならば一層慎重な意見を述べるべきと、ドイツのためばかりでなく、日本のためにも提案します。

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