ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

敵基地攻撃能力 - 4 ( 伊藤元海将と岩谷元防衛相 )

2020-08-09 20:33:07 | 徒然の記

 《 2. 新聞のスクラップ帖 ( 6月16日以来の、千葉日報の記事 ) 》

 6月16日の記事は、6段組みの大きな扱いです。「地上イージス計画停止」「技術に問題、費用考慮」と、大活字の見出しです。

 「河野太郎防衛相は15日、秋田県と山口県で進めてきた、」「地上配備型迎撃システム、『イージス・アショア配備計画』を停止すると、」「防衛省で、記者団に表明した。」

 これが書き出しの部分で、停止の理由説明が続きます。

 「迎撃ミサイルを発射したのち、ブースター部分を、自衛隊演習場内に確実に落とせない、」「技術問題が分かり、周辺民家などの安全確保に、ハードウェアーの改修が必要になったと、」「理由を説明。」

 「コストと配備時期に鑑みて、プロセスを停止する、と述べた。」「安倍首相には、12日に報告した。」

 長い記事ですが、伊藤氏の談話とは違った話が書かれています。突然の発表とは言え、防衛省は、なぜこんな内容で、説明を始めたのでしょう。

 その翌日6月17日の記事は、二段組みの小さな扱いになり、しかもこの記事は、見出しと本文がつながりません。

 「地上イージス断念へ」「首相、計画止められない」という見出しで、本文が続きます。

 「安倍首相は16日、『イージス・アショア配備計画』停止について、」「地元への説明の前提が違った以上、進めるわけにはいかないと、」「官邸で記者団に語った。」

 首相は説明の前提が違ったから、計画を進められないと語っているのに、なぜ見出しでは「首相、計画やめられない」となるのか。私は何度か、読み返しました。

 「河野防衛大臣は、代替え地を検討しない考えを示し、」「政府は、計画を断念する見通しとなった。」「米側と契約した関連費、約1800億円の扱いを巡り、」「日米で協議する方針だ。」

 「代わりの抑止力として、敵基地攻撃能力を保有すべきだとの意見が、相次いだ。」

 ここで初めて「敵基地攻撃能力」という言葉が出てまいります。

  1. 技術的不具合問題

  2. 地元説明の内容変更問題

  3. 費用と時期の問題

 軍事アレルギーの強いマスコミを意識したのか、政府は前記3つの理由を持ち出ました。「敵基地攻撃能力」の必要性だけは、国民に知らせたかったのだと推察します。

 「首相は、防衛に空白が生じてはならない、日本を守り抜くために必要な処置について、」「国家安全保障会議 ( NSC ) で議論すると、強調した。」

 小さな記事ですが、この日の報道は、日本の安全保障計画の、基本変更に関する重要な発表でした。説明したかったのは、『イージス・アショア配備計画』をやめても、「日本防衛計画」そのものは止められない、ということなのだろうと思います。記者が理解しないまま書いているのか、わざとそうしているのか、分かり難い記事です。

 中国、北朝鮮、ロシアなど周辺国が、日本に照準を合わせ、何発のミサイルを設置しているか、何発の核弾頭を保有しているのか、そういう前提条件が、何も説明されていません。これでは、知識のない国民の中の何人が、事態の緊急性を、正しく理解できるのでしょう。

 「敵基地攻撃能力の話が出るのは、迎撃ミサイルでは、」「北朝鮮や中国の、ミサイル技術向上に対応できず、」「報復能力で思いとどまらせる、懲罰的抑止能力が必要、」「との認識がある。」

 読んでいますと、次第にまどろこしくなってきます。相手が、日本を壊滅させる核弾頭を設置しているのなら、「やられる前に、やり返す」準備をして、何が悪いのか。私ならそのままを説明しますが、政府の発表は、「相手を思いとどまらせる」とか、「懲罰的」とか、柔らかく、おとなしい表現になります。それでは、ますます危機的状況が伝わらなくなります。

 相手に思いとどまらせるためだけなら、敵基地攻撃はやり過ぎだろうと、そんな意見が出てくる可能性があります。

 「憲法改正を進めたい」と、安倍首相が一言言うだけで、「前のめりの首相」、「歴史の針を逆回しする、独裁者」と、反日・左翼のマスコミが大騒ぎします。だからと言って、こんな記事を読まされていますと、「懲罰のため、敵基地攻撃などとんでもない。」「憲法無視の安倍総理だ。」と、きっと話はおかしな方向へ進みます。「懲罰」どころか、反撃しないと日本の国が壊滅させられるというのに・・、です。

 これでは伊藤元海将が、無念の思いを噛み締めたはずです。

 参考のため、私がスクラップしている記事を、一覧で紹介します。

 1.  6月20日 国家安保戦略改定を政府が検討することへの批判記事

 2. 6月23日 安倍政権の変質批判記事

 3. 6月27日 日本の決定に驚く米国の記事

 4. 7月  9日 河野防衛相による、敵基地攻撃に関する説明

 5. 7月10日 河野防衛相による、北朝鮮の攻撃手段多様化に関する説明

 6. 7月16日 敵基地攻撃で、公明党が自民を牽制

 7. 7月23日 自民党がヒヤリングした、有識者4人が肯定的回答

 8. 7月25日 前防衛大臣 岩屋毅インタビュー

 9. 7月26日 前官房副長官補 兼原信克インタビュー

  10. 7月29日 自民党ミサイル防衛検討チーム座長  小野寺五典元防衛相

  11. 8月  1日   自民党国防部会

 小さな記事から大きな記事まで、目につく限り切り抜いていたら、11 件になりました。私が怒りを覚えたのは、8.番目の「7月25日 前防衛大臣 岩屋毅インタビュー」記事でした。なぜこんな人物を国防の大臣にしたかと、安倍総理にまで八つ当たりしました。

 岩屋氏は、自民党を出て「新党さきがけ」から「新進党」へ移り、また自民党へ戻った「風見鶏 ( かざみ鳥 ) 議員」です。現在は麻生派に属していますが、経歴からして、反日・左翼親派だと想像できます。そのうち、落選させなくてならない、「獅子身中の虫」議員の一人です。

 伊藤元海将の談話を知っているだけに、新聞記事の不正確さが目につき、どこまで記事を追っていけるのか、どこまで私の忍耐が続くのか。分からなくなりつつあります。

 「過去を批判するより、目覚めた私たちの時から、日本の再出発をすれば良いのです。」

 自分が言い出した、朝日新聞的綺麗ごとですが、記事を転記していますと、我慢の糸が切れそうになります。大切な息子と、可愛い孫たちの顔を思い浮かべ、辛抱しなくてならないと言い聞かせ、次回は、6月20日の記事です。

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敵基地攻撃能力 - 3 ( 元海将伊藤氏の言葉と、千葉日報の記事 )

2020-08-09 07:02:20 | 徒然の記

 ブログの書き方を決めました。

 1. 元海上自衛隊海将伊藤俊幸氏が語った、言葉のメモ ( 虎ノ門ニュースの動画から走り書きしたもの  )

 2. 新聞のスクラップ帖 ( 6月16日以来の、千葉日報の記事 )

 この順番で、ブログを書きます。的確な伊藤元海将の説明を先にすると、新聞報道がいかに曖昧であるのかが、息子たちにすぐ伝わると、そういう考えに落ち着きました。

 《 1. 元海上自衛隊海将伊藤俊幸氏が語った、言葉のメモ  》

  ・ 自衛隊における、弾道ミサイル防衛体制について、世間には誤解が生じている。

  ・ ミサイルなら、何でもかんでも防衛対象にしているのではない。

  ・ 核弾頭が搭載されているミサイルのみが、敵基地攻撃の対象となるのである。

  ・ 通常の高さで飛んでくるミサイルなら、今の航空自衛隊は、全て打ち落とせる。

  ・ 核を搭載したミサイルは、遠くへ飛ばすため、いったん宇宙空間へ上がり、そこから落ちてくる。

  ・ 自衛隊の弾道ミサイル防衛体制とは、核を搭載したミサイルへの対応手段である。

  ・ 相手が核弾頭ミサイルを打ってくれば、自衛隊は、発射場所がピンポイントで探知できる。

  ・ その場合に、敵基地を攻撃するということであるから、先制攻撃にはならない。

  ・ 相手に撃たせた直後に、敵基地を攻撃し破壊するのであるから、「攻撃」でなく、むしろ「反撃」というべきである。

  ・ 国民が間違いやすい「攻撃」という言葉を、不用意に使うから混乱が生じる。

  ・ 自衛隊は常に、国策である「専守防衛」を守り、先制攻撃はしない。

 元航空自衛隊の空将である伊藤氏を、私は今回初めて知りました。通常のミサイルなら全て打ち落とせるという言葉も、初めて聞きました。自衛隊がそれだけの装備と訓練をしているから、こういう意見が言えるのでしょうが、心強く思いました。

 中国や韓国・北朝鮮を刺激してはならないと、現在の政府は、自衛隊の装備や能力について全て秘密にしています。中国の潜水艦が、日本の近海のどこにいて、艦の名称と性能がどのようなものか。日本を狙う中国と北朝鮮のミサイル基地の、位置と数がどうなっているか。おそらくそのようなことは、把握しているはずで、だからこそ伊藤氏の発言があるのだと思います。

 もしかすると、氏の発言も、自衛隊に関する秘密情報の一部なのかもしれません。「攻撃」と「反撃」の言葉の間違いに我慢ができなくなり、説明する決意をしたのかもしれません。戦前の軍人は、「誰の意見も聞かず独走した」と言われていますが、戦後の軍人 ( 自衛隊員 ) は、控えめで、大人しく、公の場では意見を言いません。たまに本音を言うと、田母神氏のように、マスコミと国会議員から袋叩きにされますから、一層そうなのでしょう。

 だから私は、氏の意見を、貴重なものとして聴きました。息子たちにも、聞かせたい国を守る軍人の話です。

 「戦略兵器というのは、相手にとどめを刺す、最終兵器のことを言います。」「これを所有していると分かれば、お互いが使えなくなります。」「つまり抑止力としての武器、でもあります。」

 「この戦略兵器が日本に飛んできたとき、どうするのかという議論が、」「弾道ミサイル防衛体制の、根っこにあります。」

「ここを言わずに、当たる当たらないの議論や、」「通常ミサイルについての話を一緒にするのは、間違っています。」「敵基地攻撃能力を持つというのは、抑止論のことでもあります。」「相手に、撃たせないための、工夫なのです。」

 氏はここで、簡潔な話を披露しました。「敵基地攻撃能力」というのは、

  1. 相手の核搭載ミサイルを、必ず撃ち落とすこと。

  2. 撃ち落とすと同時に、相手の国も破壊させること。

 核弾頭ミサイルは、一発で何十億円もするものなので、これが確実に撃ち落とされ、次の瞬間に、発射基地の近隣全部が壊滅させられると分かれば、相手は日本攻撃ができなくなる。

 氏の説明を聞き、私は眼から鱗の思いをいたしまた。同時に慎重な自衛隊の将軍たちに、敬意の念が生まれました。中国、北朝鮮、ロシア等が、日本に照準を合わせた核ミサイルを設置しているのですから、伊藤氏の話に何の疑問もありません。全て当然です。「敵基地攻撃」でなく、「敵基地反撃」という意味も理解しました。氏が、言葉の間違いにこだわる意味も、理解しました。

 息子たちに言います。父はこれから、新聞記事のスクラップを、一つずつ紹介します。伊藤氏の言葉に照らしながら、よく読んでください。浮かび上がってくる疑問があるとしたら、それが戦後日本の問題点なのです。国民に肝心なことを知らせない、曖昧な言葉で議論の本質を避けてしまう、反日・左翼だけでなく、保守自民党勢力も、同じようなやり方をしている・・・・と、これが戦後74年間続いた、日本の言論空間です。これでは、国民が、目を覚ませるはずがありません。

 しかしここで、政府批判や攻撃に転じたら、反日・左翼と同じ穴のムジナになります。国を大切にする庶民なら、別の物差しを取り出さなくてなりません。「戦後の日本人が、全ていい加減だった。」のでなく、私たちの諸先輩は、日本の伝統精神を守ってきたのです。

 「和をもって、尊しとなす」と、聖徳太子の言葉通り、世間に波風を立てない努力をしてきたのです。激しい議論のため、日本人同士が敵味方に分かれ、切り結ぶ事態を避けたのです。しかしいかんせん、現在の国際情勢は、教えを守っていると、日本が壊滅する時点にまで来てしまいました。過去を批判するより、目覚めた私たちの時から、日本の再出発をすれば良いのです。

 朝日新聞みたいな綺麗ごとを、私は言っております。反日・左翼を嫌悪する、強い思い込みを持つ自分が、果たして何時まで、こんな建前論が続けられるのか、自信はありません。しかし、国内の騒乱を防止するという意味では、綺麗事も必要でしょう。

 今回は、伊藤氏の意見の紹介で終わりましたが、次から、切り抜いた千葉日報の記事を、紹介いたします。正確に言いますと、千葉日報に掲載された、共同通信社の配信記事です。

 「過去を批判するより、目覚めた私たちの時から、日本の再出発をすれば良いのです。」

 息子たちや、「ねこ庭」を訪問される方々が、果たしてこのような冷静さで、一連の記事を読み通せるのか。それも確かめたくなってまいりました。

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