《 2. 新聞のスクラップ帖 ( 6月16日以来の、千葉日報の記事 ) 》
6月16日の記事は、6段組みの大きな扱いです。「地上イージス計画停止」「技術に問題、費用考慮」と、大活字の見出しです。
「河野太郎防衛相は15日、秋田県と山口県で進めてきた、」「地上配備型迎撃システム、『イージス・アショア配備計画』を停止すると、」「防衛省で、記者団に表明した。」
これが書き出しの部分で、停止の理由説明が続きます。
「迎撃ミサイルを発射したのち、ブースター部分を、自衛隊演習場内に確実に落とせない、」「技術問題が分かり、周辺民家などの安全確保に、ハードウェアーの改修が必要になったと、」「理由を説明。」
「コストと配備時期に鑑みて、プロセスを停止する、と述べた。」「安倍首相には、12日に報告した。」
長い記事ですが、伊藤氏の談話とは違った話が書かれています。突然の発表とは言え、防衛省は、なぜこんな内容で、説明を始めたのでしょう。
その翌日6月17日の記事は、二段組みの小さな扱いになり、しかもこの記事は、見出しと本文がつながりません。
「地上イージス断念へ」「首相、計画止められない」という見出しで、本文が続きます。
「安倍首相は16日、『イージス・アショア配備計画』停止について、」「地元への説明の前提が違った以上、進めるわけにはいかないと、」「官邸で記者団に語った。」
首相は説明の前提が違ったから、計画を進められないと語っているのに、なぜ見出しでは「首相、計画やめられない」となるのか。私は何度か、読み返しました。
「河野防衛大臣は、代替え地を検討しない考えを示し、」「政府は、計画を断念する見通しとなった。」「米側と契約した関連費、約1800億円の扱いを巡り、」「日米で協議する方針だ。」
「代わりの抑止力として、敵基地攻撃能力を保有すべきだとの意見が、相次いだ。」
ここで初めて「敵基地攻撃能力」という言葉が出てまいります。
1. 技術的不具合問題
2. 地元説明の内容変更問題
3. 費用と時期の問題
軍事アレルギーの強いマスコミを意識したのか、政府は前記3つの理由を持ち出ました。「敵基地攻撃能力」の必要性だけは、国民に知らせたかったのだと推察します。
「首相は、防衛に空白が生じてはならない、日本を守り抜くために必要な処置について、」「国家安全保障会議 ( NSC ) で議論すると、強調した。」
小さな記事ですが、この日の報道は、日本の安全保障計画の、基本変更に関する重要な発表でした。説明したかったのは、『イージス・アショア配備計画』をやめても、「日本防衛計画」そのものは止められない、ということなのだろうと思います。記者が理解しないまま書いているのか、わざとそうしているのか、分かり難い記事です。
中国、北朝鮮、ロシアなど周辺国が、日本に照準を合わせ、何発のミサイルを設置しているか、何発の核弾頭を保有しているのか、そういう前提条件が、何も説明されていません。これでは、知識のない国民の中の何人が、事態の緊急性を、正しく理解できるのでしょう。
「敵基地攻撃能力の話が出るのは、迎撃ミサイルでは、」「北朝鮮や中国の、ミサイル技術向上に対応できず、」「報復能力で思いとどまらせる、懲罰的抑止能力が必要、」「との認識がある。」
読んでいますと、次第にまどろこしくなってきます。相手が、日本を壊滅させる核弾頭を設置しているのなら、「やられる前に、やり返す」準備をして、何が悪いのか。私ならそのままを説明しますが、政府の発表は、「相手を思いとどまらせる」とか、「懲罰的」とか、柔らかく、おとなしい表現になります。それでは、ますます危機的状況が伝わらなくなります。
相手に思いとどまらせるためだけなら、敵基地攻撃はやり過ぎだろうと、そんな意見が出てくる可能性があります。
「憲法改正を進めたい」と、安倍首相が一言言うだけで、「前のめりの首相」、「歴史の針を逆回しする、独裁者」と、反日・左翼のマスコミが大騒ぎします。だからと言って、こんな記事を読まされていますと、「懲罰のため、敵基地攻撃などとんでもない。」「憲法無視の安倍総理だ。」と、きっと話はおかしな方向へ進みます。「懲罰」どころか、反撃しないと日本の国が壊滅させられるというのに・・、です。
これでは伊藤元海将が、無念の思いを噛み締めたはずです。
参考のため、私がスクラップしている記事を、一覧で紹介します。
1. 6月20日 国家安保戦略改定を政府が検討することへの批判記事
2. 6月23日 安倍政権の変質批判記事
3. 6月27日 日本の決定に驚く米国の記事
4. 7月 9日 河野防衛相による、敵基地攻撃に関する説明
5. 7月10日 河野防衛相による、北朝鮮の攻撃手段多様化に関する説明
6. 7月16日 敵基地攻撃で、公明党が自民を牽制
7. 7月23日 自民党がヒヤリングした、有識者4人が肯定的回答
8. 7月25日 前防衛大臣 岩屋毅インタビュー
9. 7月26日 前官房副長官補 兼原信克インタビュー
10. 7月29日 自民党ミサイル防衛検討チーム座長 小野寺五典元防衛相
11. 8月 1日 自民党国防部会
小さな記事から大きな記事まで、目につく限り切り抜いていたら、11 件になりました。私が怒りを覚えたのは、8.番目の「7月25日 前防衛大臣 岩屋毅インタビュー」記事でした。なぜこんな人物を国防の大臣にしたかと、安倍総理にまで八つ当たりしました。
岩屋氏は、自民党を出て「新党さきがけ」から「新進党」へ移り、また自民党へ戻った「風見鶏 ( かざみ鳥 ) 議員」です。現在は麻生派に属していますが、経歴からして、反日・左翼親派だと想像できます。そのうち、落選させなくてならない、「獅子身中の虫」議員の一人です。
伊藤元海将の談話を知っているだけに、新聞記事の不正確さが目につき、どこまで記事を追っていけるのか、どこまで私の忍耐が続くのか。分からなくなりつつあります。
「過去を批判するより、目覚めた私たちの時から、日本の再出発をすれば良いのです。」
自分が言い出した、朝日新聞的綺麗ごとですが、記事を転記していますと、我慢の糸が切れそうになります。大切な息子と、可愛い孫たちの顔を思い浮かべ、辛抱しなくてならないと言い聞かせ、次回は、6月20日の記事です。