氏の本は、金賢姫 ( キム・ヒョンヒ ) のインタビューから始まります。
昭和62年竹下内閣の時、大韓航空機爆破事件がありました。乗客乗員115名全員が死亡し、蜂谷真一、蜂谷真由美という日本人の親子が、犯人として浮かび上がりました。
現地バーレンで警察に逮捕される直前に、二人はタバコを吸うフリをして、服毒自殺を図ります。父親が死に、服毒自殺を阻止された娘が生き残り、それがこの、金賢姫でした。
書評から離れますが、息子たちが事件を知らないはずなので説明することにしました。このような面倒なことをする理由は、落合氏のインタビュー記事に違和感を覚えたからです。
「韓国、国家安全企画部要員の案内で、私はソウル市内の閑静な住宅地にある、一軒の家を訪れた。」「彼女は、居間の中央に置かれた円形のテーブルのそばに立ち、私を迎えてくれた。」「濃紺のワンピースに身を包み、手にハンカチを握っている。」「笑顔が、実に寂しそうだ。」
「その時の印象は、それまで私が抱いていたイメージとは、だいぶ違っていた。」「事件のとき、バーレンからソウル金浦空港に連行され、」「安全部の係官に、抱えられるようにタラップを降りた時の彼女は、」「捕らえられたケモノのような脅えと、疲労感を漂わせていた。」
「しかし目の前に立った彼女は、全く別人だった。」「顔は小さく、両腕は細く、体全体がきゃしゃと言えるほど細身だ。」「その目は深い憂いをたたえながらも、落ち着き払っている。」「深窓の令嬢といったところだ。」「朝鮮労働党調査部の、超エリート工作員という、かっての面影は微塵もない。」
彼女は元死刑囚で、日本人の旅券を持ち日本人になりすまし、残虐な犯罪を日本人の仕業と見せかけるため、韓国警察を欺き続けた犯罪者です。しかるになぜ落合氏は、彼女に好意的な叙述をするのか、これが私の受けた違和感です。
彼女は拉致被害者の一人である、田口八重子さんから日本語の教育を受け、横田めぐみさんとも会ったと語ります。拉致被害者の救出が進まないから、情報を得るため、優しく接したということなのでしょうか。
事件当時、まだ二大政党の一角にいた社会党と、社民連が、「拉致問題」を頭から否定し、北朝鮮を誹謗する捏造だと反論していました。日本人拉致の中心人物だった、北の工作員・辛光洙(シン・グァンス) が韓国で逮捕され、死刑判決を受けた時、野党議員の多くが韓国政府に、「助命嘆願書」を送っています。総理大臣になった、菅直人氏もその一人です。
今は拉致が、北朝鮮の犯罪だと知られていますが、当時の野党は北朝鮮を向き、日本を糾弾していました。救出を叫んでいる自民党も、本気で取り組んでいるとは思えませんでした。
「私どもは、貴国における最近の民主化の発展、とりわけ相当数の政治犯が、自由を享受できるようになりつつあることを多とし、」「さらに、残された政治犯の釈放のために、貴下が一層のイニシアチブを発揮されることを期待しています。」
1989年 大韓民国 盧泰愚大統領貴下
土井たか子 衆議院 社民党 兵庫7区 (日朝友好議連)
菅直人 衆議院 民主党 東京18区
田 英夫 参議院 社民党 比例 (日朝友好議連)
本岡昭次 参議院(副議長) 民主党(元社会党) (2004年引退)
渕上貞雄 参議院(社民党副党首) 社民党 比例 (日朝友好議連)
江田五月 参議院 民主党(元社民連) 岡山県
佐藤観樹 衆議院 民主党(元社会党) 愛知県 (2004年辞職 詐欺容疑で逮捕)
伊藤忠治 衆議院 民主党(元社会党) 比例東海
田並胤明 衆議院 民主党(元社会党) 比例北関東
山下八洲夫 参議院 民主党(元社会党) 岐阜県 (日朝友好議連)
千葉景子 参議院 民主党(元社会党) 神奈川県
山本正和 参議院 無所属の会 比例 (社民党除名)(日朝友好議連)
スペースがなくなりましたので、本日はこれまでとし、次回はインタビュー内容を報告します。