《 2. 新聞のスクラップ帖 ( 6月16日以来の、千葉日報の記事 ) 》
「前防衛大臣 岩屋毅インタビュー」記事が終わり、9.番目の「兼原信克インタビュー」です。残りの記事もあと2件となりました。
10. 7月29日 自民党ミサイル防衛検討チーム座長 小野寺五典元防衛相
11. 8月 1日 自民党国防部会
兼原氏の記事に入る前に、私は、共同通信社の報道姿勢の変化について、述べます。昨日紹介した、ロサンゼルス・タイムズ紙に寄せられた、米国歴史家の寄稿記事の報道とともに、本日の兼原氏の記事は、私が念願して止まない「両論併記」の実例です。
違った立場の意見を並べ、読者に提供するのがマスコミの使命だと、私は常々考えております。ロサンゼルス・タイムズ紙の記事は、東京裁判史観を覆す情報であり、兼原氏の記事は、岩屋氏への反対意見です。いずれの記事も、東京裁判史観を是とし、日本批判をする共同通信社にとって、不都合な反対意見です。岩屋氏の時と違い、兼原氏に賛同する論評はありませんが、自社への反対意見を公平に掲載したことには、敬意を表さずにおれません。
マスコミに文句ばかり言うのでなく、彼らが正しいことをしたときは、正しく評価し、敬意を示すのが大切でないかと、そんな気がいたします。同社の姿勢が今後も続くのなら、「反日・左翼マスコミ」でなく、文字通り「社会の公器」、「日本の宝」になるのだろうと思います。果たして、そんなうまい具合に行くのかどうか、全ては今後の話次第です。
「反撃力保有こそ抑止」「日米の防空体制は転換期」・・・記事の見出しは、そのまま岩屋氏への反論です。さすがに兼原氏は、岩屋氏と違い、言葉の使い方も正確です。不用意に「攻撃力」と言わず、計画の趣旨を理解し、正しく「反撃力」と語っています。
《 質問 1 》
「 『イージス・アショア』の断念を、どう受け止めたのか ? 」
《 回答 1 》
「政治判断で、唐突に決まった。」「だが米国は、日米ミサイル防衛体制の、大事な要素が外れたとは、」「受け止めていない。」
これは貴重な意見です。岩屋氏は米国の意向を忖度し、契約済みの武器はそのまま活用すべきと言っていました。日本独自の動きをしたら、米国の機嫌を損ねる心配からです。兼原氏は米国政府か米軍内かに、色々な意見があり、日本への理解者もいると言う確信の上で語っているのではないかと、思います。
氏の肩書は、「前内閣副官房長官補」です。副官房長官でも、どのくらいの地位なのか、私には分かりませんが、さらに「補」がついています。ここまで来れば、防衛大臣より、ずっと格下の役職であろうと、何となく想像できます。
記事の片隅に書かれた略歴を見ますと、外務省の国際法局長を務め、国家安全保障会議 ( NSC ) のメンバーでもありました。もしかすると氏は、岩屋氏を凌ぐ、実力を持つ官僚なのかもしれません。 日本が計画を突然中断しても、米国が驚かない理由を説明します。
「米国は、北朝鮮や中国、ロシアが開発を進めている、」「変則軌道の新型ミサイルや、極超音速滑空兵器について、」「従来型のレーダーシステムで、捉えられない恐れがあると、」「懸念を深め、ミサイル防衛体制の見直しに着手している。」「今は、転換期だ。」
つまり日本の防衛省は、何の根拠もなく、計画の断念をしたのでなく、水面下で、米軍との接触があったことを示唆していると、私は感じました。自衛官に信頼されていない岩屋元防衛大臣には、届かない情報ではないのでしょうか。
《 質問 2 》
「 転換の方向は ? 」
《 回答 2 》
「私は、北朝鮮によるミサイル発射実験が頻繁にあった、2017 ( 平成29 ) 年、」「国家安全保障会議で、日本は防衛力のバランスが悪いと、」「繰り返し、主張した。」
「米国は、『盾』が1%に対し、『矛』が99% 、攻撃されたらつぶす。」「日本は、『盾』が全てだ。」「常に、『真剣白刃取り』は、無理がある。」
注目すべきは、氏の『盾・矛論』です。これほど見事な、岩屋氏への反対論はありません。しかもこれは高度な防衛論でなく、誰にでも分かる常識の話です。凶暴な敵に対して、何が「専守防衛」かと、岩屋氏の危機意識の低さを軽蔑したくなります。
共同通信社の質問は、あと3問あります。どれも、日本にとって重要なことばかりですから、ここで一区切りをつけ、次回に丁寧な報告をいたします。
息子たちも、このブログをよく読み、両論併記の大切さを知ってください。共同通信社にも、たまには感心して良いと思います。