アメリカの敵対国であるイランに、中国の先端軍事技術が、パキスタンを通じて売り渡されていました。CIAや国防総省、議会のユダヤ系議員たちの強い警告にもかかわらず、クリントン氏は、何らの制裁措置を取ろうとしませんでした。
「クリントン政権は、ブッシュ政権に比べると、」「基本的に、中国寄りの政策をとっており、」「中国政策を、アジア政策の柱にしようとしている。」
日高氏は、国務省のウィストン・ロード次官、ホワイトハウスのルードビン補佐官など、中国との関わりの深いスタッフの名前を挙げています。
「円高を背景に、日本がアジアや中国で経済的立場を固めれば、」「アメリカが締め出されてしまう。」
氏が紹介する国務省高官の話ですが、これを受けクリントン氏は日本を警戒し、中国に対しては、接近政策を取ろうとしました。
「中国の軍事政権について、クリントン政権は、ほとんど心配していない。」「中国は実質的に、軍事的脅威になることがほとんどなく、」「イランに対する軍事技術の提供なども、」「イランがその気になれば、中国以外から手に入れることが可能だと、」「見ているからだ。」
自国に敵対する国に対し、寛容政策をとり、世界の紛争を頻発させたのは、オバマ大統領だけと私は思っていました。しかしクリントン氏が先鞭をつけ、驚くしかない、無知な政策を進めていました。氏の説明の中から、主要なものをいくつか拾ってみます。
1. 中国が軍事力を強化しているのは、国内向けの必要からだ。
2. 中国の軍事力強化は、北京の権威を中国全土で確立しようとする、デモンストレーションだ。
3. 中国は経済政策に力を入れており、「金が全てを解決する」という政策に全力をあげている。
4. 中国はアメリカのドルと市場を必要としており、このためには妥協する。
5. 鄧小平から後継者への権力移転を、スムーズに行わせ、安定した形で経済発展できるよう援助する。
日本の外務省も似ていますが、中国親派の政策スタッフばかりを集めたため、クリントン氏のところには、チベットやウィグルにおける異民族の弾圧情報が、耳に入らなかったのでしょう。クリントン氏こそが、今日の無法な中国共産党政府を育てた、愚かな大統領だったと、知りました。
日高氏は、反日ではないのでしょうが、私たちを不愉快にさせる事例を、これでもかと示します。この本の出版される直前に、コロラド州のアスペン研究所で行われたセミナーで、テキストの一つとして使われた論文を紹介しています。
「マレーシアの外交官で、インド人のキショレ・マブバニの論文の中に、こういう一節があった。」
「冷戦体制が終わるとともに、日本は、アメリカとの関係を見直さなくければならなくなっているが、」「日本は、アジアにおいて、全く友人を持っていない、」「特異な国であることを、直視しなければならない。」
この文脈で読みますと、クリントン政権は、友人のない日本と手を組むより、中国と協力する方が利益になると判断した・・・ということになります。
捏造の慰安婦問題をそのまま信じ、安倍総理を「歴史修正主義者」として批判したオバマ大統領を、私は今でも軽蔑しています。氏の本を読んでいますと、日本にとって最悪の大統領は、オバマ氏より、クリントン氏だと分かりました。中国だけでなく、北朝鮮に関しても、クリントン氏は日本に冷淡でした。氏の本から、クリントン氏の北朝鮮への基本認識を、拾い出してみます。
1. 金日成が亡くなった後、金正日は日ならずして失脚する。
2. 軍首脳を中心に、経済初展の遅れに対する不満が高まっており、金正日では抑えきれない。
3. 軍部の誰かが指導者になり、鄧小平と同じ形の政権が生まれる。
4. 結局は韓国との合併の方向に動く。
5. 南北朝鮮が成立した場合、合併朝鮮に対して協力的姿勢をとる。
従ってクリントン氏は、金丸信氏を中心とする議員が、積極的に北朝鮮にアプローチすることを嫌ったと言います。これを妨害するため、クリントン氏は、細川総理に対し「細川政権の内部には、北朝鮮と繋がるダーティーなグループがいる。」と、語ったと説明します。どこまで本当なのか知りませんが、ネットの情報では、もっと具体的に、「幹事長の武村正義氏は、北朝鮮のスパイだ。」と指摘したと書いてありました。
もともと隙間風の吹いていた、細川総理と武村幹事長の関係が、さらに悪化したのはいうまでもありません。その後間もなく細川氏は、佐川急便とのスキャンダルが報道され、政権を投げ出してしまいました。今になって思いますと、田中首相と同様、アメリカの気に入らないことをすると、スキャンダルをリークされ、政権の座を追われるという噂は、こんなところからも出ているのでしょうか。( 真偽のほどは全くわからない、私の勝手な想像ですから、スルーしてください。)