原題は、 circus maximus。
オリンピックは最大のサーカス、ということだろうか。
著者はスポーツビジネスな著作を数多く発表しているアメリカの経済学教授。
このため、東京オリンピック2020を控える日本としては、参考にしてもいい内容だろうと考え、読み始めた。
(ただしそのために書かれた本では無い)
当ブログの見解としては…
1.まず気になるのは、 第5章 バルセロナの成功例とソチの失敗例
夏季オリンピックと冬季オリンピックを同時に比べるのはいかがなものだうか?
夏期よりも冬季の方がダメージが圧倒的に大きいはずなので…
ボブスレー場とか、他の使い道はそう無いし…
そういう点で、政治主導で突き進み大変なことになっているソチのケースは興味深いが…
冬季オリンピックの問題はIOC内でも注力せざるえない状況になっているという本の指摘は正しい。
北京とアルマトイという2択の中から、北京を選ばざるえない、という究極の選択をせざるえなかった、という苦境があるので。
2.一方で夏期オリンピックについて
唯一?の 成功例とされているバルセロナ。
ところが日本は、東京オリンピック1964 という成功例を既に経験している。
その点で、都市の成長期にうまく重ねてオリンピックを開催できると、一気にインフラが整う、というのはもの凄く納得性がある。
そして東京オリンピック2020は、アジェンダ2020以降に発揮されている柔軟性によってかなりの恩恵を得ていると感じている。
そこについての記述を正直、もっと読みたかった。
が!
冒頭にも記したように、このために書かれた本ではないので、結論部分はそういう方向ではない。
アメリカ人としての著者が、幻と終わったボストン オリンピック2024招致活動の失敗に言及して 終了。
結論:予想外に、東京オリンピック2020への示唆が少ない読書。
その割には、日本版のタイトル・イラストはちょっと恣意的過ぎる(怒)
このため、ここで出す本の写真は、あくまでも原著の表紙で(笑)