アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

立派なご婦人

2015年09月28日 | Weblog
 JRの近郊線に乗りました。対面の長ーい椅子席の車輌。立っている人もおりましたが、ほぼ座っておりました。そこへ一人の女性が乗り込んできました。女性には違いないのですが…いわゆる、「老婆」。身なりが…「その服、どこから出してきたの?」と質問する人がいるでしょうねえ…今は、まだ戦後だったっけ?って感じ。髪は…コレも、戦後?お顔は…哲学好きの女性が日焼けしてノーメイクで…うーん…せ、戦後か?
 人のことを戦後の老婆などと表現するアンティークマンはどんな顔だって?そりゃ、戦後ですよ!
 ともあれ、女性が乗り込んできました。

 女性は、座席の20cmほどの隙間へ、強引に尻を割り込ませました。両脇の乗客は、スマホに夢中で全く表情を変えませんでした。が、向かいの座席の乗客は、「何が起こったんだ?」といった表情。失礼ながら、戦後の香りを漂わせる奇異な風体の老婆ですから、スマホに夢中の向かいの座席の乗客も注目するのです。
 次の駅で数人が乗り込んできました。その中に年配の女性がおりました。女性は、座るところがないので立ったままでした。

 その時です。戦後の老婆が大きな声で向かいの席の若者に言いました!
 「おにいさん!少し詰めて座らせてあげて!」

 素晴らしい老婆だと思いました。私など、気持ちはあっても、そこまでは言えません。その後、若者に殴られるかも知れませんから。殴られたら、即死かもしれませんしね。
 周囲には一瞬静寂がよぎりました。若者がどう出るか?
 「るっせんだよ、クソババア!」
 「なんですかぁ?クソをしないババアがどこにいるの!ババアは全員クソババアなんですよっ!あんただって、クソガキだんべ!」
 こうなると、「まあ、まあ、下品な話はやめて…」と、私の出番だったのですが、このような口喧嘩にはなりませんでした。若者は、素直に尻を浮かせて年配女性の座る場所を空けたのです。
 ほどなく、車内は何事もなかったように…私を除くほとんどがスマホ画面を見ておりました。

 戦後老婆も、年配女性もスマホを持っていたのかって?そうなんです。スマホの普及ぶりはすごい…おっと、結論はそれじゃありませんで…戦後の風体の老婆は凄いって事だったのですがね。
 日本には、立派な方もおられるんですねえ!