アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

サルカニ合戦 ルーツはどこなんだぁー!

2011年11月01日 | Weblog
1年前、ペルーのリマにある、「天野博物館」で、サルがカニのおにぎりを持って逃げている様子が描かれている絵皿を見ました。撮影禁止でガイド付きなので、写真を撮ることができなかったのが心残りでした。
 「まさか!」と、思いました。ガイドの、日本人と思われる長身の女性はこともなげに、「サルカニ合戦です」と。
 サルカニ合戦は、日本の昔話で因果応報をテーマにしたものと思い込んでおりましたので、それはそれはびっくりしました。

 なぜインカ帝国に「サルカニ合戦が?」。「サルカニ合戦」のルーツは、インカ帝国だったのだろうか?それとも、日本人とインカ人の源流が同じだったのだろうか?
 この1年、物知りと思われる人に話を向けてきましたが、みなさん取り合ってくださらない。私は、「素っ頓狂なことを言って人を煙に巻くわけの分からない奴」と、思われている様子。まあ、それは日頃の行いからいたしかたないことか?
 図書館で調べてはみたのですが、インカ帝国とサルカニ合戦を結ぶものは…見つけられませんでした。田舎の図書館じゃあそんな気の利いた本などないか…。
 しかし、田舎の図書館でもサルカニ合戦は、「日本特有の昔話ではない」ということは分かりました。日本国内でも地域によって結構違いがある。

 一般的と思われるサルカニ合戦(私が子供のころ聞かされていた話を一般的としますと)のあらすじは…。
 カニはサルにおにぎり強奪され、代わりに柿の種をもらった。カニは、柿の種を脅しながら育てます。「早く芽を出せ柿の種。出さぬとはさみでちょんぎるぞ」脅しですよ!柿はちょん切られてはかなわないので猛スピードで成長し、見事な実をつけました。ところが、その柿の実もサルに食べられ、さらに固いカキをぶつけられ、死んでしまいます。これまでが前半。これって、「白雪姫」と似てませんか?あっさり、死んでしまう(殺してしまう)。
 後半は、死んだカニの子どもたちが活躍。子ガニたちは、「仇討ち」を企てます。「クリ(栗)、ハチ(蜂)、ウス(臼)」が助っ人になります。
 サルの留守中に、家に忍び込みサルの帰りを待っていた。サルが帰って来たところで、クリが囲炉裏から「はじけて」サルにヒット。あわてるサルを、ハチが刺す。刺された手を冷やそうと水瓶へ手を突っ込むと、待ちかまえていた子ガニがチョッキンチョッキンと攻撃。最後にウスが高所から落下するボデイアタック。こうして仇討ち成立。めでたしめでたし。白雪姫も後半めでたしめでたし…。

 地方によって、助っ人が様々となっています。「針」「キネ(杵)」「牛のくそ」「蛇」「包丁」「荒布」…つまり、基本になる話が伝わって、登場するものはそれぞれの地方に合ったものが使われるようになった…。
 サルカニ合戦に類似した話は、中国、モンゴル、韓国にもある。ますます、ルーツがどこなのか知りたくなります。アイヌの文化にも、サルカニ合戦に類似した話があります。江戸から蝦夷地のアイヌに伝わったとは考えにくい。偶然、類似した話が作られたとも考えにくい。と、いうことは…どこかから伝えられた…?大陸から?南米から?

 白雪姫と似ていますが、「ブレーメンの音楽隊」とも似ています。特に後半部の創意工夫でドロボウを追い払うところなどは、酷似ともいえるのではないか?…つまり、サルカニ合戦と一連のグリム童話は、ルーツが同じと考えてもよいのでは?グリム童話は、娘を殺して喰ったり…総じて簡単に殺します。しかし、ハッピーエンドへもっていく。「わらと炭とそら豆」は、「由来譚(ゆらいたん)」で、「ものごとの始まりを示す話(そら豆に黒い縫い目がついた由来)」ですが、サルカニ合戦と共通する臭いがします。また、「ライオンと蛙」も、「サルとカニ」と同じような素材…。実に似ています。

 日本、中国、モンゴル、韓国…アジアにあり、グリム童話に見られるようにヨーロッパにあり、天野博物館に証拠が所蔵されているように南米にある。
 サルカニ合戦は、世界中に広まっているお話しであることは分かった。ルーツはどこなんでしょうか?