おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

ルース・スレンチェスカ ピアノリサイタル 2018年4月21日

2018年04月22日 | コンサート情報
1925年生まれ、東京で演奏するのは初めてという93歳のスレンチェスカさんの演奏をサントリーホール大ホールで聴いて参りました。

客席は満席に近く、このピアニストを皆さんどのようにして知ったのかと思いました。

私は知人から「ホロヴィッツが本番前にいつも聴いてもらっていたピアニストで、岡山でしか弾いたことがなかったが初めて東京で演奏する」と聞き、聴きに行きました。

プログラムは
ショスタコーヴィチ:『24の前奏曲とフーガ』より第5番 Op.87-5
J.S.バッハ:『24の前奏曲とフーガ』より第5番 BWV850
ブラームス:3つの間奏曲 Op.117
ブラームス:2つの狂詩曲 Op.79   
       休憩
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番 「テンペスト」
ラフマニノフ:絵画的練習曲 Op.33-7
ショパン:練習曲 Op.25-12



ピリスと同じくたいへん小柄な方でした。
しかし歩くスピードは速めで、袖に引っ込んでもすぐに出てきてお辞儀されていました。

音に重みがあり、現代のピアニストに多く見られる細やかで繊細な音作りはほぼないにも関わらず、しかもロマン的な香りも感じられませんでしたが、骨太で大きな音楽には圧倒されるものがあります。

プログラムの中ではブラームスが一番心に残っておりますが、Op.117が始まった途端ブラームスが弾いているような気がしました。
これだけの人生を生きてきた人に見える世界。
苦しみも悲しみも幸せもあきらめも後悔も全て抱えて生き続けているような。
晩年にそれらが昇華されるのではなく、全て抱えたまま人間は生きていくものだと。

彼女なら今でもブラームスのコンチェルトが弾けるだろうなと思わせるほどの体力と技術でした。
あの骨太で重量感のある音楽と音を作り出せるピアニストは現代ではそうそういないのではないでしょうか。



聴くことができて幸運です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする