おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

「遊藝黒白」第2巻#4

2019年09月25日 | 書籍紹介
楽派についてのピアニストたちの意見です。

楽派についてツィメルマンもシャンドールもアシュケナージもキーシンもパラスキヴェスコも(他にもいらしたかもしれませんが)存在しない、考えたことがない、または消滅したと言っています。

ツィメルマンは「ピアニズムとか楽派というものがそれほど重要なのでしょうか。特にアジアではすべてを分類しそれで満足するところがあります。芸術というものは人の心に存在するもので、日常の言葉では表現できない領域なのです。」

アシュケナージは「演奏者の務めは、楽曲が何を語っているかを聴衆に伝え、音楽を心で感じてもらうこと。決して音符を聴かせることではありません。」

ダヴィドヴィチは「ロシアピアニズムの最大の特徴は美しい音色を追求することですが、どんな奏法であろうと音楽を豊かに表現する手段の幅を広く持つべき。深く豊かな音色の世界を極めるには、多彩な表現の方法を探求し続けなければなりません。技巧は音楽を表現するために存在します。」

キーシンによるとロシアンピアニズムの4大支流について「4人の巨匠はお互いを区別しようとは思っていなかったようです。カントル女史によると、ネイガウスは自分の生徒たちにフェインベルクのバッハの演奏法やゴリデンヴェイゼルのベートーヴェンの解釈を学びなさいと言っていたそう。教師同士もお互いに独立して一派を築こうとは思っていなかったのではないでしょうか。」

キーシンは自分の演奏について「私はただ音楽の中から、美しく、豊かで、深く、偉大な特質を見つけ出し、音楽そのものを考えながら演奏しているだけです。つまり、私は忠実に音楽を体現しようとしているのです。」

パラスキヴェスコは「ピアノ教育という意味ではフランスピアノ楽派の特色や教え方の特徴があるかもしれませんが、演奏楽派としてはすでに消滅していると思います。実はあらゆる楽派がすでに消滅しているのです。私にとって楽派は二次的なもので、もっとも大切なのは音楽に対する情熱と才能だと思います。」

楽派云々ではなく心と音楽。


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