おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

なんて素敵な

2019年09月29日 | 書籍紹介
こちらの本をご存知ですか?


ロシアのおとぎ話の挿絵を集めたものです。
近くの図書館を調べましたらありましたので早速借りてきました。







この絵の美しさ。
細かいところまで丁寧に書かれています。アート作品です。温かみもあります。
どれも部屋に飾っておきたいくらいです。
美術館にポストカードにして売っていたら止めどなく買ってしまうかも・・

ロシアはおとぎ話が多いのだそうです。
文字で書き留めるのが遅かったからだそうです。文字で書き留めるのは教会が管理する宗教的なもので、世俗的なものはその価値がないとされていたのだそうです。

伝承されているうちにちょっと違う話になってしまって、登場人物は同じでも逆の結末になったパターンで増えていったのでしょうか。

この本にはおとぎ話のあらすじが短く載っていて、それに関連した挿絵がたくさん掲載されています。

森の中の花や木の美しさ、地面に転がる木の実。擬人化された動物たち。家の中の暖炉やテーブルの上にある食べ物。
音楽の物語を想像しようとした時のヒントがたくさんあります。

熊が出てくる話はあれとこれがあったな、キツネはこんなことしてた、あんなめにあった。

などなど、一つのものから想像できるネタが多いようです。
さらに美しい挿絵の記憶が想像を広げます。

この本は絶版になっているようでamazonで中古品が入手できるようです。
本の定価は¥2800+税ですが、販売されているものは少し高いです。300ページ近くある厚い本です。
参考にご覧ください。
ロシアの挿絵とおとぎ話の世界 (単行本(ソフトカバー))
解説・監修 海野 弘 (その他)

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「遊藝黒白 」第2巻#3

2019年09月29日 | 書籍紹介
この本、思いがけず奏法や楽派の話を知ることができ、とても興味深く読んでいます。

詳しいことは書くことができませんが、ちょっとだけフランスの話を。

例の50年前に誰も使わなくなったというマルグリット・ロンやデカーヴ等の奏法。

フランスではちょうどベロフ、ロジェ、ルヴィエ、ジャン=フィリップ・コラール等の年代がその過渡期だったようで、学生の頃に奏法を直したり、両方を上手く取り入れたりしたようです。

彼らは1950年前後に生まれています。9~16歳でパリコンセルヴァトワールに入学しています。
その頃にロン一派の奏法では軽く速く弾けるが音色に乏しく乾いた音しか出せない。その奏法は好きではなかったとロジェ以外は言っています。(ロジェはロンのテクニックや演奏スタイルには全く興味がなかったと。楽曲の解釈や作曲家について教えてほしかったと。)

ロジェの場合はロン一派の奏法ではありませんが、ロンがテクニックについて教えることはなかったのだそうです。(ロンは、独学で弾いていた9歳のフランソワに自分の奏法を押し付けることは全くしなかったのだそうです。不世出の天才。絶対に変えることはしてはいけないと言って。)

サンカンという16歳からピアノを始めたピアニスト・作曲家がいて、彼は人間の体の筋肉の構造をよく研究していて、どう使ったらどんな音が出せるのか熟知していたそうです。ロシアの奏法もよく知っていたそうです。

ジャン=フィリップ・コラールが、難しかったことは新しい奏法を覚えることではなく古い奏法を忘れることだったと言っています。
原田英代さんも全て忘れて学び直したと本に書かれています。

コラールの話で笑ってしまったのが、その頃サンカンのような奏法で教える教師はいなかったらしく、学院内の教師たちが、
「サンカンの頭は狂ってる!あんな怪しい方法で教えている教師の所には絶対に行ってはいけない!行ったら頭がおかしくなる!」
と言っていたそうで・・

昨年、重力奏法で教え始めたところ、「こんな教え方はおかしい」とピアノ経験者が多くいる地域でことごとく入会を断られました・・

頭がおかしいと思われてたのかな・・

コラールは17歳でサンカンの所に行ったそうですが、サンカンに「今のテクニックをそのまま維持しても良いですが、もしあなたが学びたいと思うなら私は違う奏法を教えることができます」と言われ新しい世界を開いてくれたと言っています。

これらの話をベロフが上手くまとめています。

もう絶対にこの本はピアノの先生方に読んでいただきたい!!

フランスでは今70歳近くのピアニストたちが奏法の過渡期にあって古い奏法を捨てたわけです。
ベロフらが10代の時に変わったということは55年位前には現代の奏法に変わっていったということです。

日本では過去の奏法はまだ現役です・・

ベロフが古い奏法はすでに歴史になっていて誰も使っていない。私たちはピアニストになりたいのであって「フランスのピアニスト」になりたいのではないと言っています。
限られたテクニックと限られた曲に満足して自己陶酔に陥っていても意味はないと言っています。

この話の前にコラールがロン等は奏法を変えようとはしなかった。なぜなら自分たちの演奏に誇りを持っていたことと、フランスの聴衆がその速くて軽い演奏を好んでいたから、と。

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