アマゾナス州奥地ペルーとの国境に接するあたりに「Vale do Javari」という地域が広がっています。
グローボサイトより転載
ここは2001年5月にインヂオ保護区に指定され、いくつものインヂオの部族が暮らしています。
普通の人たちは容易に立ち入れない地域のため、逆に様々な問題が内包されている地域になっています。
例えば金の不正採掘、木材の不法伐採等々。
そして 殺人、暗殺。
今月5日、この地域に関して取材を続けてきたイギリス人ジャーナリストと彼と行動を共にしていたブラジル人のインヂオ研究の専門家が行方不明になりました。
イギリス人ジャーナリスト Dom Phillips氏は2007年に渡伯。
イギリスの新聞「The Guardian」などにブラジルに関する記事を書いてきました。
また、アメリカの「New York Times」や「Washington Post」などに環境問題に関する記事を多く寄稿していました。
一方でここ10年、バイア州の州都サルバドールでファベーラの若者たちにボランティアで英語を教える活動をしていて、地域の人たちからも慕われる存在だったといいます。
インヂオ研究・保護の専門家である Bruno Pereira氏 は2010年にインヂオ保護局(FUNAI)に入り、新しく発見される部族の保護活動などに携わりますが、2019年退職しています。
これはこの地域に開発の手を入れたいボルソナロ大統領による圧力によるものだと言われています。
それだけこの地域での彼の影響力が大きかったものと思われます。
以来、研究者としてインヂオの保護に携わってきました。
2人は先月末から調査と取材のためにこの地域に入り、3日にはジャブル湖という湖をボートで渡る姿が目撃されています。
この地域は、以前から環境保護やインヂオ保護にに携わる人たちと金の採掘人・木材の不法伐採人との争いの場となっている地域で、今までにも同じような事件が起こってきました。
Brunoも日常的に多くの脅迫を受けていたということです。
2人の失踪では、軍を投入して大規模な捜査・捜索が行われました。
目撃者の情報から7日には容疑者が身柄を確保され、9日には正式に逮捕されました。
2人が乗っていた小舟からは血痕が見つかり、また近くでは何かを埋めた跡が見つかっているということです、
捜査は現在も行われていて、詳しいことがわかるためにはまだ少し時間がかかりそうです。
この地域を開発していきたいボルソナロ大統領は二人の失踪事件について「この地域に入るための手続きが不十分だった」などと言っていると報じられています。
行方の分からない二人と残されたご家族を想うと、今後の捜査にボルソナロ大統領の横やりが入らないことを願うばかりです。