風の数え方

私の身の回りのちょっとした出来事

大丈夫ですか?

2006年08月17日 | 清水ともゑ帳
先日、夕方の散歩をしているときのことだった。
歩道の脇にある花壇のところに、女性がしゃがみこみ、うずくまっている背中が見えた。
彼女は黒っぽいスーツ姿で、そばにはバーキンのような大きめのバッグが、無造作に地面に置かれている。
どこか体の具合が悪いのではないかと、私は気になった。

彼女との距離は50mほど、私は足早に歩き始めた。
けれど、対向して歩いてくる人たちは、彼女の姿が正面から見えているはずなのに、遠巻きにして無視するようにこちらへ向かってくる。
その間にも、彼女は苦しいのか、体を右に左にくねらせている。
みんな冷たいじゃん、声をかけてあげればいいのに……、私はちょっとばかり腹立たしい気持ちになってきた。

いよいよ女性との距離が縮まり、私は「大丈夫ですか」という言葉を用意し、少し深く呼吸した。
その瞬間、花壇がピカッと光った。
彼女は花の写真を撮っていたのだ。
バッグを下に置いていたのは両手でカメラを構えるためであり、体をくねらせているように見えたのはアングルを決めかねていたからで、周りを歩く人たちが遠巻きに過ぎて行ったのは、フレームに入らないための配慮だった、と私は合点した。


はぁ、すっかり早とちりしちゃいました。
よかったです、なんともなくて。
ご通行中のみなさんには、毒づいてしまいごめんなさい。

コメント (4)