うちが映画館だった頃

1999年12月09日 | 映画

    なにをかくそう私の家は映画館でした。
 映画館とはいっても、映画の興行屋がうちの庭を借りて年に1度か2度映画
を上映する“映画館”でしたが…。
 スクリーンは、農機具や作物を入れてる納屋の前に張り、映写機は家の縁側
に設置し、米や大豆を乾燥させるときに使う筵を庭一面に敷き詰めた青空じゃ
ない、夜空映画館だった。
 家の回りに幕を張り、どこからも入れないようにして一ヶ所に木戸を作り入
場料をとった。私の親は、近所の人を勝手口のほうからただで入れていたのを
覚えている。
 かかっていた映画は、東映の時代劇が多かった。
 この頃から私は、映画が好きになった。
 午後3時頃から、子どもたちが座布団を持って場所取りに来る。暗くなるま
で鬼ごっこなどをして暇をつぶしていると、夕方映画の始まる頃、大人たちが
やってくる。柿、梨、林檎や煎餅などのお菓子にいなり寿司や海苔巻きを持っ
てくる。
 私が小学校に入る前から小学の低学年の頃ですから、昭和30年の初めぐら
いかと思う。まだ近所のどこにも、テレビなどなかった時代です。

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