今、女房は3月にあるフラメンコの公演に燃えている。
この前なんか、公演に着る衣装を家に持ってきてそれを着て踊っ
ていた。しかたないので私はデジカメで撮ってやり、印刷してやっ
た。
かなり気に入ってるようだ。
私たちは結婚式を挙げてないので、あいつはウェディングドレス
を着ていない。しかし、ああいうドレス(? のようなもの)を着て
喜んでいることを考えると、彼女も着たかったんだろうな、と思っ
てしまう。
日曜日など一緒に出かけると、「手拍子して」なんて突然女房が
立ち止まっていう。とうぜん誰もいないところだが、いつものこと
なので、「イチ、ニー、サン、シー」と数えて手を打つと、それに
合わせて女房が足でステップを打つ。一区切り踊ると、「どう、ど
う、合ってた?」と訊く。「こんどのステップ難しいんだよな」と
いいながらも、嬉しそうだ。
亭主がいうのもへんだが、あいつのフラメンコも初めの頃よりず
いぶんさまになってきた。
人間、打ち込めることを見つけるということはすばらしい、とあ
いつを見ていて思う。フラメンコに出会うまでの女房とそれ以前の
彼女とは、目の輝きが違う。なんといっても吃驚したのは、昨年、
かしの木亭オフに参加して踊ったということです。あんたはあんた、
私は私、といってた女房が、オフに出て踊った。それまでかしの木
亭のこといろいろ話しても「ヒサシクンが参加していても、私には
関係ないよ」と冷たかったのだ。
それにしてもああいうものをやると、必ずついて回るのが、チケ
ットを売る、ということだ。私が昔演劇をやっていたときもそうだ
った。割り当ての枚数を売らなければならない。
女房は1月から友だち、前の会社で一緒に働いていた人、現在の
会社の人、私の友人、などに、電話、手紙、電子メールで“営業活
動”をしていた。しかし、そう売れるものではない。だけど、あい
つの熱意をわきで見てると感心する。ああ…、この人はフラメンコ
が本当に好きなんだな、と思う。自分の踊りを見て欲しい、という
気持ちを伝えている。勧誘される人たちは迷惑だろうが…。
それでも、14、5枚は売れたようだ。ノルマは20枚。さァー、
どうなりますか。おそらく売れ残り、自腹を切るのでしょう。1枚
3000円、5枚分としてもたいへんだ。
私は、家計費節約のためビールから発泡酒にしているが、とうぶ
んビールは飲めそうにありません。
それでも、活きいきとした目で暮らしている女房は悪くありませ
ん。 私もがんばらなければ…。
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2月の九想話
2/14 シクラメン
2/20 雨あがる
2/21 旅だつ友
2/23 燃えてる女房