3月1日のラジオ文芸館(NHK第一 8時~)は、「スタンス・ドット」(作:堀江 敏幸)だった。
ここのところ聴いていてもなかなか頭に入ってこないものが多かった(私の感性の悪さか?)。
ところがこの小説は良かった。
朗読が始まった2・3分で、これは真剣に聴こう、と思わせてくれた。
山間の町にあるボウリング場がその日で営業を終わろうとしていた。
そのオーナーがボウリング場を閉めるのだ。
その最後の夜、あと30分で閉店というときに若いカップルが入ってくる。
どうも女の子がトイレを我慢できなくて、そのためだけにボウリング場に入ってきたようだった。
オーナーは気持ちよくトイレを貸す。
そして、その2人にゲームをしていかないか、と勧める。
女の子は、早くそこを出て予約してあるホテルに行きたいようだった。
男がゲームをする。
あまりボウリングはうまくなかった。
その青年のボールを投げる姿を見ながら、オーナーは昔のことを回想する。
回想の中で語られるのは、亡くなった妻の記憶であり、ハイオクさんという元プロボーラーのこととか、
ハイオクさんが投げた時と同じ音がするという理由で、わざわざ中古同然の古い型のボウリングレーンを
アメリカで買い付けてきた、ということなどだ。
9フレームまで青年が投げた。
10フレームの結果しだいで100点を超えるかどうかという点数だった。
10フレームをオーナーに投げてくれ、と青年がいう。
そしてオーナーが、自分のボウリング場の営業最終日の最後にピンに向かってボールを投げる。
「スタンス・ドット」という題がいいですね。
「立ち位置」という意味だそうです。
ボウリング場のボールを投げるところのことですかね?
堀江敏幸の小説を私は過去に読んでいる。
旗坊さんにいただいた「いつか王子駅で」という小説です。
この九想話があるので ↑ をクリックして下さい。
旗坊さん、いい本をありがとうございました。
この「スタンス・ドット」が入っている「雪沼とその周辺」(新潮文庫)という短編集を探して買って読んでみます。
堀江敏幸という作家、いいですね。