今日から「ぼくの短歌ノート」(穂村 弘 著 講談社刊)を読んでいる。
今の短歌というものはこんななんだ、と素朴に感動した。
よくわからないけど二十回くらい使った紙コップをみたことがある 飯田有子
牛乳のパックの口を開けたもう死んでもいいというくらい完璧に 中澤 系
賞味期限切れは任せろ俺達は何でも食って生きて来たんだ 荒垣一雄
缶詰の消費期限の日の空は晴れか曇りか日本はあるか 藤原健一
四百円の焼鮭弁当この賞味期限の内に死ぬんだ父は 藤島 秀憲
わが残生それはさておきスーパーに賞味期限をたしかめをりぬ 潮田 清
昼なのになぜ暗いかと電話あり深夜の街をさまよふ母より 栗木京子
父のなかの小さき父が1人づつ行方不明になる深い秋 小島ゆかり
試食用のさくらんぼ食む老人を嫁らしき人連れて帰りぬ 米沢 義堂
事務員の愛のすべてが零れだすゼムクリップを拾おうとして 雪舟 えま
年下も外国人も知らないでこのまま朽ちてゆくのか、からだ 岡崎 裕美子
一度にわれを咲かせるようにくちづけるベンチに厚き本を落として 梅内 美華子
ゆうべぬるき水に唇まで浸りゐて性欲とは夏の黄の花のやうなもの 河野 裕子
性欲のこととつとつと語りをれば水仙はひかりを吸いてみひらく 米川 千嘉子
体などくれてやるから君の持つ愛と名の付く全てをよこせ 岡崎 裕美子
今日、34ページまで読んだ。
ぱっと読んでいいな、と思ったのを選んでみました。
いいですね。
大好きです。