そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

サービス業の生産性とギフトの経済学

2014-03-19 23:11:04 | Economics

3月17日付け日経新聞朝刊「経済教室」より。
筆者は柳川範之東大教授。

優れた日本のサービスは「おもてなし」として外国人を感動させるが、国際比較すると日本のサービス業の生産性はあまり高くないとされる。
それは何故か?

理由の一つとして計測上の問題が挙げられる。

 サービス業の生産性を計算する際、通常は小売マージン(利ざや)を産出量とみなすが、それがサービスの品質を十分に反映しているとは言い難い。消費者の満足度が企業側の金銭的リターンに結びつかない場合が多いからだ。
 例えば慶応義塾大学の中島隆信教授は、金銭的価値だけでなく消費者の満足度も反映して計算すると、実はサービス業の生産性はさほど低くないと指摘している。経済産業研究所の森川正之副所長の実証研究でも、製造業に比べ業種や事業所によって生産性のばらつきが大きいうえ統計が未整備で、一般的なマクロデータから計測することが難しいことが示されている。

サービスの質が金銭的リターンに結びつかない理由を解くカギとして「ギフト(贈与)の経済学」が挙げられます。

 我が国のサービス業では、実はサービスの販売だけでなく、同時にある種のギフトを提供している面が強いと考えられる。対価を直接的には要求しないサービスである。そもそも動機がギフトを与えることなので、金銭的リターンを得るとかえってうまくいかない。クリスマスプレゼントを渡すと同時に相手に金銭を要求したのではプレゼントの意味がなくなってしまう。
 販売したサービスに加えてギフトのサービスを提供すれば、当然売り上げはコストに比して相対的に低くなり統計的な生産性は下がる。これが日本のサービス業の基本的な構造ではないだろうか。 

自分が常々考えていたことを的確に言語化してくれたなあ、という感じ。

で、論考は企業がギフトを提供する動機と、長期的利益につなげるギフトの戦略性に展開します。

 日本のサービス業は伝統的に、長期的関係に基づく情報の蓄積と、属人的な経験に基づく顧客ニーズの予測に支えられてきた。しかし、海外との交流や競争が進み、サービスもローカルで固定的なメンバーに限って提供することが難しくなっていく。こうした中で新たな顧客への対応力を身につけるには、データベースを構築し、システムを通じてきめ細かい対応をすることがますます重要になるだろう。
 「おもてなし」は素晴らしい。だが国や企業にとって、自身の強みの源泉を整理し、環境変化に合わせてバージョンアップしていくことは必要不可欠な戦略なのである。 

「おもてなし」もアナログからデジタルへ、ということですかね。
確かに長期的関係を前提にするのはますます難しい世の中にはなっている気がします。 

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怪しい円安原理主義

2014-03-11 22:30:37 | Economics

久々に「大機小機」がわけわからんかったのでエントリ。

本日の日経朝刊マーケット総合2面コラム「大機小機」は、「魔笛」氏による「円安と日本経済」。
円安は雇用不足の日本経済の損得勘定で、必ずプラスに働く、との主張。
以下引用。

 では、輸入原料に頼る企業はどうか。
 例えば、15ドルの原材料を輸入し、国内で2000円文の価値を加えて作る商品を考えよう。1ドル=100円の場合、輸入原材料の円建て価格は15ドルで1500円、付加価値の2000円は20ドルになる。そのため海外市場では35ドル、国内では3500円となり、35ドルの外国産品と競合する。
 1ドル=200円ならどうか。15ドルの輸入原材料は3000円になるので、2000円の付加価値と合わせて国内では5000円、海外では25ドル。外国産品は海外で35ドルのままで、日本に輸入されると7000円になる。これでは国内外で国産品に負ける。
 このように、少しでも国内で価値を加える商品なら、海外の競合品への競争力は必ず増す。さらに、国内の付加価値の割合が高い商品ほど上昇幅は大きい。このことは同業者との競争ではもちろん、異業種との関係でも成立している。 

なんか高度なことを言っているようで、実は当たり前のことしか語っていないのだが、それはそれとして。

注意しなければならないのは、引用文の例では、1ドル=100円の時3500円だった国産品の国内価格が、1ドル=200円では5000円に上がっていること。
要するに輸入インフレ。
価格が上がった分、消費者の可処分所得が向上しなければ、いくら海外産品に対する競争力が上がったところで、需要は増えないだろう。
モノを買うのを控えて貯金したり、サービス消費に切り替えたりするのがオチではないか。

要は、著者の関心は製造業にしかなく、視野狭窄に陥っているのか、確信的にまやかしを書いているのか、どっちかなのだろう。 

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「入り口」からの雇用慣行転換

2013-04-14 14:35:53 | Economics
今朝の日経新聞に高島屋の鈴木弘治社長のインタビュー記事が載っていました。

同じ職場で5年を超えて働く契約社員・パートが希望した場合に無期雇用への転換を義務付ける改正労働契約法がこの1日に施行されましたが、高島屋では既に契約社員を積極的に正社員に登用する施策を進めているとのこと。
契約社員が正社員になるための試験を受ける資格を「勤続5年」から「勤続3年」に短縮したそうです。

正社員と契約社員では給与面での差はあるが、それは役割・責任の重さを反映したのものである、と。
で、「正社員は保護されすぎ」という認識に基づく今の解雇要件緩和の議論に対しては「社会全体が不安定になる」として反対姿勢を示しています。

インタビューでは新卒採用について触れられていなかったので、高島屋の新卒採用サイトを見てみたところ、2014年度の採用予定人数は50名。
過去実績は、2012年度が64名で2013年度が80名(予定)と書いてあります。
社員数が単体で約1万人、連結で約1万5千人いることを考えると新卒採用はかなり少ない印象ですね。

要は、新卒の正社員採用は最低限に絞って、契約社員として働く人の中から有能な人材を正社員に転換することで基幹人材としていく、という方針に転換した、ということなんでしょうね。
これって今後日本企業における雇用慣行が変化していく一つのモデルケースなんではないかと思います。

新卒一括採用って学生側にとっても企業側にとっても一発勝負になるのでリスクが高い。
学生側からすると、ここで正社員としての身分を得られるかどうかで人生が変わってしまうし、企業側からすると将来数十年にわたって抱え続けることになる正社員をほんの短い選考期間で選択しなければならない。
経済の成長度や人口構成が昔とは様変わりする中で、もはやそのような慣行を続けていくことができない状況になっている。

高島屋のケースは小売業ならではの特殊性もあるんでしょうが、これがいろいろな業種・企業に波及して、正社員を新卒一括採用するという「入り口」が多様化していくのはよい方向なんじゃないかと思います。

解雇規制の緩和により労働市場の流動性を高めるという考え方もわかるんですが、それはセーフティネットの強化と一体化して進める必要があり、なかなか難しいのではないか。
解雇という「出口」よりも「入り口」から変えていくた方が現実的なのではないかと。
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回りくどいTPP擁護?論

2013-04-10 23:37:12 | Economics

本日付け日経新聞朝刊コラム『大機小機』が久々に面白かった、というかよく分からんかったので、以下メモ。
『TPPに必要な消費者の視点』、文責は「魔笛」氏。

 外国製品に関税をかければ、国内での販売価格が関税分高くなる。それでその製品の需要が抑えられ、国際価格が下がる。安く輸入できるから、日本は得をする。
 このとき消費者の払う額は関税分だけ高いが、その分は政府の歳入となり、減税や歳出拡大を通して国民に戻る。そのため総合的な便益は、国内価格ではなく国際価格の動きが決める。
 つまり保護貿易とは、外国製品を買い控えて国際価格を下げ、その輸入支払い分を稼ぐために必要な国産品の輸出量を減らす政策だ。海外に渡す国産品が減れば、国内で使える量が増え、消費者の生活が豊かになると説明する。このように損得すべて考慮しても、日本のある程度の保護継続と、相手側の保護撤廃が望ましいことになる。 

ここまでが「標準的な貿易理論」であるとして紹介されているのですが、本当なのでしょうか。
どうも感覚的によくわからないものがある。

関税をかけて高くなった外国製品の需要が減ると国際価格が下がるというが、それって1国対1国の貿易しか考えていないのでは。
日本だけ関税をかけたら、日本以外の国に輸出することになるので、単純に国際価格は下がらないという気がしますが。

それから「海外に渡す国産品が減れば、国内で使える量が増え」という部分も違和感。
これって国内の供給力が限られていた時代の話では?

ただ、「魔笛」氏も、上に言う「標準的な貿易理論」を支持しているわけではありません。
続き…

 しかし「国内で使える国産品が増えて消費者が得をする」という理屈は現実には合わない。需要不足の現状では国産品の購入は増えず、物余りが拡大する。結果的に景気が悪化すれば、人々の生活は逆に苦しくなる。

「需要不足」というようり「供給力の過剰」ではないだろうか。
同じことなのかもしれないけど。
さらに続き…

 さらに、輸出を増やすことに成功したら、日本の経常黒字が拡大する。これが円高を呼んで、結局は輸出が減少する。円高を避けながら販売を伸ばすには、内需拡大しかない。それにはTPP交渉において、企業の立場だけではなく消費者の立場で考えることが重要だ。

この辺になると、ややちんぷんかんぷん。
いきなり「輸出を増やすこと」が「成功」とされているが、そんな文脈だっけ?
「需要不足」だから「内需拡大しかない」って単なるトートロジーのような気も。
さらに続き… 

 例えば消費者が喜ぶ外国製品の輸入を促進する。これが円安を導くから国産品の需要も増える。内需拡大で新産業が育つ環境も整い、産業構造の転換も容易になる。商品の種類も増えるから消費者も喜ぶ。内需拡大による雇用増加で、景気も上向くだろう。

うーん、相当ちんぷんかんぷん。
「消費者が喜ぶ」と内需拡大するってこと?
飛躍があるような… 

これでコラムは終わっちゃってるんですが、要するに自由貿易で国は富むということが言いたい?
回りくどいわりには普通のことしか言っていないような… 

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平均への回帰

2013-02-16 17:10:13 | Economics

体罰の有効性の錯覚は「平均への回帰」が理由(大竹文雄の経済脳を鍛える)

 カーネマン教授は、この章の冒頭で、彼がイスラエル空軍の訓練教官に訓練効果を高めるための心理学を指導していた時の話を書いている。彼は、「教官たちを前にして、スキル強化訓練における重要な原則として、失敗を叱るより能力向上を誉めるほうが効果的だと力説した。この原則は、ハト、ネズミ、ヒトその他多くの動物実験で確かめられている」と訓練教官たちに講義した。ところが、講義を受けていたベテラン教官が、訓練生の場合はうまくできたときに誉めると次には失敗し、しかりつけると次にはうまくいくので、カーネマン教授の話は飛行訓練生にはあてはまらない、と発言して、叱る方が訓練には有効だ、と主張したということだ。

 これに対して、カーネマン教授は、「誉めると次に失敗し、叱ると次に成功する」というこの教官の観察は正しいけれど、「誉めるとへたになり、叱るとうまくなる」という推論は「完全に的外れ」だという。

 これは、「平均への回帰」として知られる純粋に統計的な現象であって、因果関係を示すものでもなんでもないのである。どういうことだろうか。あるスポーツ選手が、何かの技を練習している途中であるとしよう。何回も練習していると選手はだんだんうまく技ができるようになるが、時としていつもの技の水準よりずっとうまくできることがある。逆に、たまたま技がうまくできないときもある。たまたまうまくいったときは、その時の実力よりもうまく行ったのだから、次にその技を行うときは、いつもの水準に戻ると予測するのが、統計学的には正しい。逆に、たまたま技を失敗したときには、次の回にはいつもの技の水準に戻ってよりよい技を発揮できると予測するのが正しいのである。誉めなくても、叱らなくても、いつもよりよかった際は、次の回は平均的には前よりも悪くなり、いつもより悪かった際は、次の回には平均的には前よりもよくなるのだ。これは、指導の成果でもなんでもなくて、純粋に統計的な現象だ。

この「平均への回帰」という現象、今読んでる『統計学が最強の学問である』という本でも紹介されてます。
オリンピックの最終予選で素晴らしい成績を挙げたアスリートが、本番では奮わない結果に終わってしまうことが多いのも同じように説明できるという話。

先日、首都圏の大雪が警戒されて、JRが前日の夜の時点で朝から間引き運転を実施すると決めたところ、みぞれしか降らず、ただ通勤ダイヤが混乱してブーイングを買った、という出来事がありました。
成人の日に思いがけぬ大雪で大混乱が起こったことが、結果的には「過剰な」警戒を生んでしまったわけですが、警戒すると大したことなく終わり、警戒していないと大変なことになりがちである、というのも同じく「平均への回帰」の一種なのかな、と考えた次第。 

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日経三題 TPPと再軍備とアルゼンチン化

2012-12-11 23:26:15 | Economics

最近は日経新聞もほとんど流し読みしかしなくっているんですが、今朝の朝刊には「ほぅ」と思わされた記事が3本ほど。

まずは金融面のコラム「風速計」。
JAグループがTPPに反対する最大の理由は農業保護ではなく、稼ぎ頭である共済事業を守るためだとの見方が出ている、と。

 だが保険と共済の事業者には決定的な違いがある。保険会社が生命保険と損害保険の兼営を禁じられている一方、共済には兼営規制がない。法人税率も共済は優遇されている。経営破綻時に契約者を保護するためのコスト負担を保険会社は義務付けられているのに共済事業者にはない。
 米国はTPPで官民、国内外の企業の競争環境を平等にするように求めている。政府出資が残る日本郵政による新規事業への参入動向に注目が集まりがちだが、JAを監督する農水省幹部は「実は共済の扱いは隠れた焦点だ」という。 

こういうことなら米国に云われずとも日本の保険会社ももっと文句云えばいいのに、とも思いますが…

2本目、国際面のFinancial Times配信記事「フィリピン、日本の再軍備支持?」。

 フィリピンは軍事的な自己主張を強める中国と対抗させるために、平和憲法で武力を放棄している日本の再軍備を強く支持するかもしれない。
 フィナンシャル・タイムズとのインタビューでデルロサリオ比外相は「我々は日本の再軍備を大いに歓迎するだろう。地域でのバランス要因を求めており、日本は重要な役割を果たすことができる」と語った。

ここまで踏み込んで語ったとしたらちょっと驚きです。 
こういう後押しがあると憲法改正・国軍化というのも強ち非現実な話ではない気になってきます。

3本目、投資・財務面のコラム「一目均衡」、藤田和明・米州総局編集委員の署名記事。

アルゼンチンと日本。かつて、経済学者クズネッツはこう評したという。「世界の国々は4つに分類できる。先進国、発展途上国、そしてアルゼンチンと日本だ」。没落したアルゼンチンと、工業化で奇跡の成長を果たした日本。この2国は例外との意味だった。

その日本もアルゼンチンと同じ道を歩みつつある…という文脈ですが。 
トリビア的に面白い表現だな、と。 

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暗い世の中の明るい消費

2012-03-20 17:27:00 | Economics

昨日(3/19)の日経朝刊に、しまむら社長の野中正人氏へのインタビューが掲載されていました。

「消費者がプラス思考になっている。政治や経済情勢など、世の中の悪いことを批判的にみていた空気が薄らいだように思える。そんな不満をぶつける場合ではなく、一人ひとりが元気に行動を起こそうとしている」

「淡いピンクやグリーンの商品がよく動いている。これは景気拡大期にみられる現象だ。売り場の見栄えをよくするためにもっと目立つ色彩の衣料品を陳列すると、その商品が先に売れている。リーマン・ショック後の消費風景とは全く違う」

うん、なんとなく実感としてわかります。
確かに、ここ最近、そんなムードを感じる。

相変わらず政治はダメダメだし、国家財政も就職難もエネルギー問題も明るい兆しは全く見えないけど、いい意味で国民が政治を見放し始めたというか。
個人的にも、前の首相と前の前の首相には時に殺意?を憶えるほどの憤りを感じたけど、今の野田政権にはそんな怒りの感情すら浮かんできません。
開き直りというか、関心が起きない。 

「単価は上がっている。客単価や1品単価は前年比で2~3%の上昇だ。この傾向は昨年あたりから顕著だ。確かに、絶対的な価格の安さを求める消費者もいるが、価格と商品価値のバランスを考える消費者は多い。明確な価値が分かると値下げしなくても売れる」

このへんも世相を反映してますよね。
老後のためにせこせこ節約して小金を貯めたところで、人間なんていつ死ぬかわからない。
一年前の大震災から、そんな感覚も生まれているような気もします。

「景気刺激策の家電エコポイントの終了で、対象以外の商品やサービスの支出に回った可能性が高い。百貨店の売り上げが堅調なのも、そうした影響が出ているのではないか」 

面白いですね。
やっぱし、消費行動をゆがめるような政策なんて、採るべきじゃないな。 

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”日本車”か?

2012-03-17 13:50:23 | Economics

今朝の日経紙面で興味を惹かれたのがこの記事。

メキシコ、ブラジルへの車輸出制限で合意 日系に影響必至(日本経済新聞)

メキシコとブラジルの両政府間の貿易交渉により、メキシコからブラジルへ輸出される乗用車に制限が設けられることになったとのこと。
この措置により、メキシコで生産しブラジルへ輸出している日本の自動車メーカーへ影響が発生するとの趣旨の記事です。 

こういう話を聞くと本当にクロ―バル化しているなあと実感します。
メキシコで作られてブラジルで乗られる車が果たして「日本車」と呼べるのか? 
国(政府)の所管範囲と、国民の生活範囲と、企業の活動範囲、それぞれ不一致がどんどん広がっていく。
こんな時代に「日の丸ナントカ」にこだわることのナンセンスさ。 

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AIJとか、エルピーダとか

2012-02-28 23:15:57 | Economics

運用実績「10年で3.5倍」 AIJ、実態と違う宣伝(朝日新聞) - goo ニュース

AIJ投資顧問の年金資産消失問題は、他人事じゃないなと思いつつ、素人にはなんともコメントしようがないのですが。

AIJ社、その筋では前々から怪しいと思われてたみたいですね。
↓のブログ記事にもあるように。

AIJ投資顧問は問題外だが、なぜ、年金基金はAIJのファンドを購入したのか(株式市場は非常識:変化をつかめ!)

しかし、いろんな人が怪しい怪しいと思っていても、なかなか表面化しないわけです。
で、金融庁の監督が甘い!などと批判されているわけですが、こうした不良事業者が怪しいと思われながらなかなか表面化しないという構造の解説として、以下ブログ記事は秀逸と思いました。

AIJ投資顧問にマルコポロスは生まれたのだろうか?(ビジネス法務の部屋)

哀しいかな、人間、自身に直接利害が生じないことには、関心があってもなかなか積極的な行動には出ないという真理。
ビジネスでもプライベートでも「人を動かす」ための基本ですな。


エルピーダ株がストップ安(時事通信) - goo ニュース 

こちらについても大した見識を持ち合わせないのですが。
もういい加減「日の丸ナントカ」ってのは卒業しましょうよ、というくらいで。

「ものづくりニッポン」「一億総中流」への幻想はまだまだ根強いですが、こういうのを繰り返しながらだんだん目が覚めていくんでしょうね… 

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無理筋押してくるときは…

2012-02-16 23:05:29 | Economics

TPPの日米事前協議で、米側が、日本の自動車市場は閉鎖的だの軽自動車規格を廃止しろだのイチャモンつけてきたという報道は、かなりの反発を呼んだところですが、これに関して、本日の日経新聞夕刊「ウォール街 ラウンドアップ」から、以下引用。

かつての日米自動車摩擦をTPP交渉に舞台を移して再現するかのような展開。ところが、米自動車大手交渉筋の声に耳を傾けると全く違ったホンネが聞こえてきた。
「今さら需要が伸びない日本市場を開拓しようという考えはない。決断できない日本が交渉に参加することで、TPPの枠組み自体の完成が遅れるリスクを排除したい」

日本に無理筋の「自動車開国」を迫るのは、日本にTPPに参加させないためのビーンボールといったところか。日本抜きでTPPを早急にまとめ、新興国進出を急ぎたいのが米自動車業界の真意だという。TPP交渉に余計な時間と労力を割きたくない自動車業界の消極的な姿勢が、米メディアの無関心にも表れているのかもしれない。 

これ納得。
無理筋押してくるときは、話を潰そうしてきているとき、というのは交渉事のセオリーなんだよな。

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