そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

『罪名、一万年愛す』 吉田修一

2024-12-31 15:23:00 | Books
台風で外界との往来を絶たれた孤島を舞台に、実業家一族とその使用人、ゲストの元警部と私立探偵が集うという、なんともオーソドックスな密室ミステリのフォーマット。

ところが、期待していた犯人探しの謎解きはお遊び程度で、迷宮入りした40年前の主婦失踪事件の真相へと意外な展開を見せていく。
このあたり、やはり吉田修一が本業のミステリ作家ではないことを思い知らされる。

『飢餓海峡』『砂の器』『人間の証明』3本の映画作品をキーにして、辛うじて戦争の哀しい痕跡を引きずっていた1970年代という時代の感覚が甦る。

ラストの真相明かしは些かぶっ飛んでいて、興醒めさせるか否かのギリギリの線を攻めて余韻を掻き乱してくるのも吉田修一らしいところ。

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『僕たちの保存』 長嶋有

2024-12-17 21:21:00 | Books
長嶋有が、またまた特定の世代にしか響かない間口の狭い小説を書いたなー、と同世代としては嬉しくなってしまう。MSXパソコンなんて、何十年ぶりかに思い出したぞ。

でも、決してそれだけでなく、新幹線の切符を忘れてギリギリ間に合う件りや、狛江のコミュニティバスの描写や、刀剣を担いでチャリで都庁に向かう場面など、躍動感と臨場感にも溢れている。

クラウド、EPレコード、カセットテープ…新旧入り乱れる媒体への「保存」というモチーフが貫かれているのは何とも慧眼。

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『ザッソウ 結果を出すチームの習慣』 倉貫義人

2024-12-04 09:59:00 | Books
「ザッソウ」とは、「雑談+相談」或いは「雑な相談」。

ザッソウの効果についてたくさんのことが語られているが、
・「壁打ち」を通じて「悩む」が「考える」に変わる
・「フィードバック」が「手応え」を生み、「働きがい」につながる
という点は、とても重要なポイントだなと思った。

その他、個人的に印象に残ったのは以下。
・本来マネジメントは「なんとかする」という意味であり、管理は「なんとかする」ための手段に過ぎない。
・ザッソウでメンバーの関心を引き出すためのフレームワークは「YWT」
「やってきたこと(Y)」「わかったこと(W)」「次にやること(T)」
・採用面接でもザッソウする。小一時間の雑談すらできない人とは、一緒に働くイメージがわかない。

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