「溜池通信」の2月26日付「かんべえの不規則発言」にオバマ大統領の議会演説に対する所感が記されていました。
深く感銘を受けたので、僭越ながら全文引用させていただきたいと思います(太字体は引用者によるもの)。
○オバマの議会演説を聞いて思ったことを、若干追加しておきます。
○アメリカ政治の決まり文句に、「子や孫の世代のために」という言葉があります。もともとが移民の作った国ですから、自分たちは父の世代より豊かに、子や孫の世代はさらに恵まれるべし、というのがあの国における一種の大義(もしくは強迫観念)です。
○ゆえに「子や孫の世代のために」と言われると、誰も反対ができない。オバマ大統領が「教育への投資が重要だ」「赤字のツケを後世に残してはならない」と言った場合、党派を超えたスタンディングオベーションになる。これは非常に健康なことだと思うのです。
○というのは、日本の政治で「将来の世代のために」なんて言葉は、少なくとも近年は聞いたことがない。「年寄りをいじめるな」というのはよく聞くし、「若者が割りを食っている」という主張も最近は増えてきたけれども、「これから生まれてくる世代」のことなんて、誰か考えているんでしょうか。
○少子化が問題だ、もっと子供を増やさなければならない、という声がある。しかるにその動機は「年金を払ってもらえないから」であったりする。つまりこれから生まれてくるのは、巨額の借金と介護の負担を背負った世代ということになる。それじゃあ出生率が上がらないのも無理はないですな。そんな浅ましい動機に支えられた少子化対策が、効果を挙げることはけっしてないでしょう。
(「だったら移民を増やそう」という意見も、その浅ましさにおいては大同小異です)。
○とにかく、「この俺はいくらもらえるんだ」式のスモール・ポリティクスの発想でいる限り、建設的な提案など出てくるはずがない。前向きのエネルギーも生まれては来ないでしょう。嘘でもいいから、「未来の世代のために、いい国を残そう」という発想がなければならない。本来の日本社会というものは、子供を大事にする文化があったはずだと思うのですが。
○ともかく、政治家が悪い、メディアが悪い、官僚が悪いなどと言っている間は、いわゆる「閉塞感」がいつまでも続くのではないかと思いますぞ。
自戒も込めて、まったくおっしゃる通りだと思います。
勿論、人の親である自分は、我が子が将来を過ごすことになる社会の在り様に思いを巡らせることがないわけではありませんが、それにしても結局「我が子」のことしか考えていない。
ましてや子供を持つまでそんなこと考えもしなかった。
ダメですな、こんなことでは。
目を開かれた思いです。