そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

大雪

2018-01-22 23:10:25 | Diary


早く退社したらしたで、みんな同じ行動するから駅に人が溢れる。
どうにもならんなあ。

まあ、いつもと違う迂回ルートで帰るのもちょっと楽しかったけど。

明日の朝も交通混乱しそうだから、予定はキャンセルしてテレワークすることに。
世の中どうなることやら…
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銀行というビジネスが終わっている件

2018-01-21 19:33:59 | Economics
昨年末に個人向け国債を銀行で購入しようと思い調べたところ、まず債権口座を開設しなければならず、それはネットでは開設できないので支店に行かなければならないことがわかった。

仕方ないので、休暇を取った平日に来店予約して近所の支店を訪問。
2階の資産運用コーナーに案内されたのだが、とにかく手続きに時間がかかる。
書類を何枚も書かされて、印鑑も何箇所も押さなければならず、たかが口座開設するのに1時間超。
ハンコの押しすぎで手が痛くなった。

それで無事国債は買うことができたのだが、今週になって見知らぬ電話番号から着信が。
仕事中でなかなか出られず、何度目かの着信に応答すると、その銀行の営業担当の人からだった。
書類に、1箇所記入漏れがあるのでまた来店してほしいと言う。
なんだよそれ、と思いつつ、平日は無理なんですけどと言うと、日曜に資産運用相談窓口を開くのでその日でもよいという話。
それならいいです、ということにして、今日行ってきた。

支店に着くと、警備員が扉を開けてくれて2階に通される。
と、カウンターの向こうには支店長みたいな男性と、営業担当の女性の2名だけ。
当然、他に客など一人もいない。
で、書類の方は、本当に1箇所だけチェックをするだけで用件は一瞬で終了。
あの人たち、たったこれだけのために出社したんだよな、たぶん。

なんかねえ、全てが終わっている感じがする。
これだけデジタル化が言われている時代に、連絡手段は電話、来店して対面で手続き、紙の書類、ハンコ…
働き方改革だの、これだけ叫ばれている時代に、たかがほんのちょっとの書類の記入漏れのためにわざわざ休日出勤。
いつまで20世紀のやり方続けてるんだよ。

全部ネットでできる話だし、ハンコなんて認証の手段として優れているとは全然思えない。
生体認証やブロックチェーンでいいじゃん。

金融の法規制って、この莫大な無駄な事務処理をする人間を維持するためにあるんじゃないか、っていう気がしてくる。
ようやくメガバンクで数万人規模のリストラみたいな話が出始めたけど、遅いよ。
ああ、早くディスラプトされてほしい。
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『シンパサイザー』 ヴィエト・タン・ウェン

2018-01-15 22:35:43 | Books
シンパサイザー
ヴィエト・タン・ウェン
早川書房


正直、文体は読みやすくないし、状況描写も不親切で、登場人物の関係もわかりづらい。
読み始めはページを繰る手も鈍りがちで、最後まで読み切れるとは思えなかった。

ところが、場面が、サイゴン陥落から米国、フィリピン、再び米国、そしてインドシナへとダイナミックに移り、ハードボイルドを超えて、「常軌を逸した」としか表現できないような展開を見せるにつれて、小説の世界にグイグイと引き込まれていく。

主人公のアイデンティティも、周囲の人間との関係性も、ぐちゃぐちゃに破壊されていく。
それは、引き裂かれ、大国に翻弄され続けた祖国・ベトナムの姿そのもの。

フィリピンでの映画撮影は『地獄の黙示録』をモデルにしているようだが、小説から受ける印象は、向こう側からみた『ディア・ハンター』という感じ。
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『ゴースト』 中島京子

2018-01-09 22:18:30 | Books
ゴースト
中島京子
朝日新聞出版


幽霊をモチーフにした7編の連作集。
7編いずれも、先の戦争と戦後に何らかの関わりを持つ。
ただ、連作といっても、各作品の舞台や登場人物には何の繋がりもないし、作風も見事なくらいバラバラ。

ネット上の感想をいくつか眺めてみると、戦争孤児を題材にした『きららの紙飛行機』、SFっぽい作風の『キャンプ』あたりが好評価のようだが、反戦臭が直截的過ぎてやや鼻につく。
人を描いて教条的になるよりも、『原宿の家』『ミシンの履歴』『廃墟』など、建物やモノに化体して時の流れを感じさせる作品が好ましい。
そういえば、作者の直木賞受賞作は『小さいおうち』だったね。
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『失敗の本質』 戸部良一、他

2018-01-08 15:35:19 | Books
失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
戸部 良一,寺本 義也,鎌田 伸一,杉之尾 孝生,村井 友秀,野中 郁次郎
中央公論社


初回刊行は1984年、今回読んだ文庫版も初版は1991年。
もはや組織論のバイブルのようになっている本著。
読んだのは初めてだったが、この本をベースにした日本軍の組織特性についての論考をいろんなところで読んだり聞いたりしているので、新たな知見を得るというよりは、知見を改めて整理して現在に生かすという点で収穫を得ることができたと思う。

全体に、研究論文の形式でまとめられており、特に本書の3分の2を占める第1章では、日本軍の「失敗例」の事例研究のケースとして、6つの戦局が精緻に記載され、単に戦記として読んでも興味深い。

日本軍の「失敗」を体系的に取りまとめ、その本質を普遍化して捉え直す試みは第3章にて行われている。
以下、要点を記す。

第1に、日露戦争の成功体験に基づき、陸軍の
では白兵銃剣主義、海軍では艦隊決戦主義というパラダイムに固執してしまっていたこと。
兵器・装備などのハードウェア資源の蓄積は、この基本思想に最適化される形で蓄積され、また、ソフトウェアの面でも、現場での日常のリーダーシップを通じて行われる組織学習を通じて、パラダイムが伝承されていった。

第2に、この全く違う方向を向いた基本パラダイムを持つ陸軍と海軍とを統合する機能を欠き、統合的価値の共有に失敗したこと。

そして第3に、外部環境・内部環境の変化に適応して、これらパラダイムをアップデートしていく自己革新組織たり得なかったこと。
凡そ適応力のある組織は、その内部に多様性や不均衡を内在させることにより、ダイナミクスを生じさせる構造になっている必要がある。
日本軍は、そのような自己革新性を悉く欠いていた。
・人事昇進は年功序列で抜擢人事はなかった。
・暗記と記憶力を強調した教育システム(陸軍士官学校、海軍兵学校)を通じて養成されたエリートは不確実な状況に弱かった。
・現場の指揮官に人事権が与えられず、戦闘単位の自律性を制約した。
・業績を評価するよりも、プロセスや動機を重視した。
・合理性を否定し、精神主義による自己超越を求め、資源に余裕がなかった。そのため、逆説的だが、重大局面で消極行動に走る傾向が見られた。
・異端者は嫌われ、ボトムアップによるイノベーションは困難だった。
・失敗の蓄積・伝播を組織的に行うリーダーシップやシステムが欠如していた。

何より重要なこと。
これら日本軍の組織特性を、現在の日本の組織ははたして克服できているのか?
以下、最終節から引用する。

戦略については、⑴明確な戦略概念に乏しい、⑵急激な構造的変化への適応がむずかしい、⑶大きなプレイク・スルーを生みだすことがむずかしい、組織については、⑴集団間の統合の負荷が大きい、⑵意思決定に長い時間を要する、⑶集団思考による異端の排除が起こる、などの欠点を有している。そして、高度情報化や業種破壊、さらに、先進地域を含めた海外での生産・販売拠点の本格展開など、われわれの得意とする体験的学習だけからでは予測のつかない環境の構造的変化が起こりつつある今日、これまでの成長期にうまく適応してきた戦略と組織の変革が求められているのである。とくに、異質性や異端の排除とむすびついた発想や行動の均質性という日本企業の持つ特質が、逆機能化する可能性すらある。

繰り返すが、これ、バブル経済前夜の1984年に書かれた文章である。
バブル後の日本経済・社会の低迷を予見したかのような、その先見的な慧眼に驚き、感服するとともに、その後30年以上が経過しても、日本的組織の本質を変えることができていない闇の深さに嘆息を禁じ得ない。
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