そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

アイルランドの復調

2011-11-26 23:31:19 | Economics

依然として先の見えないドツボにはまっている欧州ですが、そんな中でもアイルランドの経済には復調が見られるとのこと。
本日付け日経新聞朝刊国際面から。

欧州でPIIGSと呼ばれる重債務国のひとつ、アイルランドの経済が上向いてきた。賃下げと外資の呼び込みで輸出競争力を回復させ、2011年は07年以来初めて実質経済成長率がプラスに転じる見込み。

記事で解説されている回復の要因は以下の通り。

・官民挙げて賃下げをのみ、単に当たり労働コストを1割も圧縮。リストラが輸出競争力の改善をもたらし、GDPに占める輸出の比率は96%にのぼるという外需主導の景気回復。

・法人税を12.5%の低水準に据え置き、大陸諸国に比べて労働市場が弾力的、ユーロ参加国で唯一の英語圏といった背景もあって、米国企業を中心に外国企業の直接投資が衰えない。

・金融については大手行を6行から3行に集約し、大規模な公的資金を注入。銀行に対する外国からの投資も積極的に受け入れ。ハゲタカによる買収などという感情的な批判とも無縁。

どっかの国とは大違いの、積極的な構造改革ぶりのようです。

これで国民から不満や批判も出ていないというのなら、本当に理想的なモデルケースと言えそうですが、実際どうなんですかね。
記事中でも失業率は高止まりで個人消費を圧迫、内需には力強さが見られないといったマイナス面も紹介されてますが。
もうちょっと実情を知りたいところです。

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平壌の蹉跌

2011-11-15 23:47:35 | Sports
日本、北朝鮮に敗れる=平壌で、ザック監督初黒星―サッカーW杯予選(時事通信) - goo ニュース

北朝鮮戦、録画観戦。

アウェーの異常な雰囲気と北朝鮮代表の気迫というのは別としても、あれだけボールが落ち着かず、こぼれ球も拾えない日本代表というのもかなり久々に観た気が。

・遠藤も本田も香川も不在で、ボールを預ける先が無かった。
・相手の放り込みに合わせて全体が下がり過ぎた。
・慣れない人工芝でバウンドしたボールをキープできない。

そんなところ?
遠藤の後継者問題はホント深刻かもしんない。

前半の左サイドの守備は痛恨でしたな。
あそこからボンボン放り込まれて相手をますます勢いづかせた。
ザッケローニの修正もワンテンポ遅れてた感じ。

選手交代もいつもの采配とちょっと違ってました。
後半から遠藤投入もアリかなと思ってみてたけど…
そのへんにザッケローニのこの試合に対するスタンスが出てたようにも思えます。

日本からのサポーターも窮屈そうでしたね。
正直、全然楽しそうじゃなくって、あんなんじゃあ行く気せんわ。
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「なずな」 堀江敏幸

2011-11-06 16:53:34 | Books
なずな
堀江 敏幸
集英社



この小説は途中で始まり、途中で終わっています。
思いがけず生後2か月の姪っ子「なずな」を育てることになった独り身の中年男性が主人公。
小説の始まりではすでに主人公の育児は始まっており、なずなを実母に無事受け渡す直前で小説は終わります。
400頁を超える長編ですが、小説内の時間は、なずなが生後2か月から3か月になるまで、ほんの1~2か月しか経過しません。

この時間の切り取り方がまずユニークなんですが、時間がゆっくり流れる、という感じかというとまたちょっと違います。
慣れぬ育児に悪戦苦闘する主人公は、周囲の人たちにサポートされながら、そろりそろりと少しずつ行動範囲を広げ、地方都市のコミュニティ紙記者としての仕事を傍らで進めていったりと、けっこう忙しい。

一方で、大きな事件や出来事が起きるかというとそんなことはなくて、近所の人たちの過去についての噂話だとか、食材や料理の話だとか、地域碁会所やゲートボール場の話だとか、ショッピングモールの回転すし戦争だとか、交通事故に注意喚起する看板が悪戯で書き換えられただとか、はっきり言ってどうでもいいような話題が次から次へと現れていきます。
ところが、読んでいるうちに、この「どうでもいいような話題」こそがまさに「人間が生活をする」ことそのものなんだよな、という気になってきます。
そして、そんな俗世の事柄を構いもせず、少しずつ、確実に成長していくなずな。
考えてみれば、赤ちゃんを育てるという営みほど、人間が生活する、生きていく上で根源的なものはないでしょう。

生きるってこういうことなんだよな、としみじみ感じ入ってしまいます。
これこそ堀江ワールドの真骨頂でしょう。

友栄さんとのほのかなロマンスの香りを漂わせる、余韻もいい感じです。
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食糧安全保障論議のバカバカしさ

2011-11-01 21:20:02 | Society
昨日Twitterでもつぶやいたけど、TPP論議が喧しすくなればなるほどバカバカしくなってきます。
TPP推進派も反対派もどっちもどっちというか。

経団連・日経新聞を筆頭にした推進派は「このままじゃ日本は取り残される」と煽りますが、韓国がFTAで先行して、ただでさえ円高で苦境に立たされている輸出型製造業が焦ってるってだけのことでしょう。
韓国をライバル視するというポジショニングがまず間違ってると思うんですがね。
いつまで発展途上国型重商主義を続けるつもりなんでしょうか。
そんなことよりそろそろ産業構造を転換することを考えるべきだと思いますが。

で、一方反対派は「TPPで日本の農業は崩壊する」と煽るわけです。
確かに高関税のコメなんかは関税撤廃されれば外国産が入ってくるでしょうよ。
だけど、いくら安いからといって外国米ばかり食べるようになるとホントに思いますかね。
自分だったら、たとえ値段が10倍違ったとしても新潟のお米食べますがね。
だって美味いもん。
外食産業とか、安けりゃ安いほどいいって価値観・境遇の人は外国産米に流れるかもしれません。
だけどそれは消費の多様化として考えりゃいいし、全てが流れるとは到底思えない。
日本米のブランド価値さえしっかりしてりゃ「崩壊」なんてありえない。

そもそも農業にしても国民皆保険制度にしても、TPP云々に関わらず「崩壊」の道を歩みつつあることはどう考えるんでしょうか。
そっちのほうがずっと重要な話ではないかと思いますが。

何よりバカバカしいのが「食糧安全保障」っていう与太話。
食料自給率がカロリーベース云々…って件はとりあえず置いておくとして。
「日本に食料を入って来なくなったらどうするんだ!」って…あのねえ、売るほうだって売る先がなくなったら困るんですよ。
商売ってそういうものでしょう。
どうして「売ってもらえなくなる」なんてことを真っ先に心配するのか、理解に苦しみます。
しかも「TPPはアメリカの農産品を日本に売り付けるための陰謀だ」とか言ってるのと同じ人が食糧安全保障を唱えてたりするからますますわけわからん。
そんなに農産品を売りつけたいんだとしたら、なんで「売ってもらえなくなる」なんて事態が起こり得るんでしょうか。
売りに来られても困る、売ってくれなくても困る、っていったいどっちなんですかね?
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