そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

『貘の檻』 道尾秀介

2014-12-23 20:44:15 | Books
貘の檻
道尾 秀介
新潮社


道尾秀介の小説を読むのは『光媒の花』以来2冊目。
だけど、読んだのが4年も前だったのでテイストをすっかり忘れてしまっていた。
ああ、確かにこんなふうに人間のダークサイドを描く志向の作風だったな、と。

ただ、その志向がスタイルの域を脱しないというか、人間の性(さが)の本質まで迫っていない感じがするのだよね。
土着的な寒村の古くて狭い人間関係をモチーフにしているあたり、横溝正史みたいのがやりたかったんだろうなとは思う。
ミステリとして、読む者を飽きさせない筆力があるのは認める(夢のシーンのおどろおどろしさも含めて)。
が、肝心の、人が他人を殺めたり自ら死を選んだりする動機がイマイチ説得性をもって迫ってこない。
悪くはないけど、やや物足りない。
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『沈黙博物館』 小川洋子

2014-12-21 20:21:17 | Books
沈黙博物館 (ちくま文庫)
小川洋子
筑摩書房


Kindle版にて読了。

この前に読んだ『薬指の標本』と似たテイスト、というか、「形見を収蔵する博物館」という設定は「標本」とモチーフが同じと言ってもよい。
ただ、こちらは長編だし、サスペンス的な要素も盛り込まれている。
世界観は隅々まで完成されており、そこはかとない違和感を覚えながら、その世界に心地よく浸ることができる。

しかし『薬指の標本』からも感じたのだけど、作劇にやや既視感があるというか、世界観ほどのオリジナリティを感じないのだよな。
無難すぎるというか。
今一歩の毒気だとか官能性だとかが欲しくなってしまう。
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『アベノミクスが支持された』という結果になってしまうのは安倍サンにとってよいことなのかね?

2014-12-13 22:38:26 | Politcs
明日は衆院選投票日。
ネット上では「若者よ、投票に行こう」的なキャンペーンが盛んに行われているのが目に入ってくるけど、そのアクションは価値あることだとは思う一方、これだけコンテンツとして面白みがないと、いくらがんばったところで盛り上がりようがないよなというのが正直なところ。
しかしまあ何だってこんなにもつまらないんだろうね。
野党の政見放送とかホント目も当てられないほど酷い。
説得力のある対案を打ち出せなきゃ、いくら批判だけしててもダメだって。
期日前投票した人の数は、前回衆院選のときに比べて増えてるらしいけど、最終的な投票率は相当下がるだろうね。
50%切ってもおかしくないんじゃないの。

選挙戦の序盤から、自公圧勝、自民党だけで300議席超えなんて言われてて、逆アナウンス効果でそこまではいかないんじゃないかと思ってたけど、全然情勢変わらないみたいね。
なんとなく「安倍政権やり過ぎだろ」的な空気はあると思うので、小選挙区については前回よりは多少自民党が取りこぼすところも出てくるだろうとは思う(多少、だけど)。
一方で比例区、振り返ってみると、前回の比例代表は自民57議席、維新40議席、民主30議席と印象ほど自民圧勝ではなかったんだね。
その後の民主の体たらくは酷いってことだな。
なので、比例では自民が議席を伸ばすだろうね。
維新は苦しいと言われているけど、みんなの党に投票するメンタリティを持っている有権者の票が一番流れるのは維新だと思うので、言われるほど負けないのでは…と思ってたんだが橋下サンはさっさと白旗あげちゃったみたいね。

安倍サンが「アベノミクス選挙」なって自ら打ち上げてしまったから、与党圧勝したら堂々とアベノミクス継続・拡大するのが当然の帰結。
だけど、実際にはアベノミクスは世間であんまり支持されていないから、続ければ続けるほど支持率は下がることになりそうだよね。
世間で言われている通り、安倍サンの最終目的が憲法改正で国の形を変えることだとすると、アベノミクスに焦点当てて推進するのはあんまり巧い進め方だとは思えないんだよな。
まあ、そういう老獪さに欠けるところが、逆に安倍サンにどこか安心感を感じるところではあるんだけど。
個人的には、ここまで来たら中途半端に止めずに、アベノミクス行くところまで続けたほうがよいような気はしている。
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