『プロレス深夜特急: プロレスラーは世界をめぐる旅芸人』の感想
この本を読んで改めて思った。プロレスは、真にユニバーサルな文化なのだなぁ、ということを。
思い返せば、自分が子供の頃観ていたプロレスでも、サーベル振り回して暴れるインドの狂虎や、火を吹くアラブ人や、ド派手に空を飛ぶ千の顔を持つ男や、多くの魅力的で怪しい外国人レスラーがリングを彩っていた。
肉体がぶつかればシンプルに、痛みが、感情が伝わる。そこに言葉の壁などない。
「プロレスラーは世界をめぐる旅芸人である」
プロレスという「芸」を携えて、TAJIRIはプロレス後進国を含む多くの国々を訪れる。
お国柄、食文化、生活水準はそれぞれ異なっていても、プロレスを通じて、選手たち、観客たちはすぐに一体となる。
プロレスという共通言語が多様性を飲み込んでいく様が、とてもエキサイティングだ。
米国や日本のプロレスに憧れ、自国のプロレス文化をゼロから立ち上げようとしているプロレス後進国の選手たち。彼らを指導するTAJIRIの語るプロレス哲学がまた魅力的だ。
「キャラクターっていうのはシンプルに『この人はこういう人なんだな』と、すぐさまその性質を理解できる。そして『何を願っている人なのか?』がわかりやすい、そういうのがキャラクターなの」
「キャラクターを紹介するためのツールとして技を選択していくのよ」
「それがね、プロレスはガチで願っていることが、なぜか見ている人にもジワジワ伝わる。そういう特殊な一面を持つ不思議なジャンルだとオレは思うんだよ」
大好きなことをやって、人と繋がって、継承していく。なんとも羨ましい人生だと思う。
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