舞台は1940年代のアメリカ・メキシコ国境地帯。主人公の少年は、三度び国境を越え、馬に乗ってメキシコの地を延々と放浪する。
一度目は捉えた雌狼を生まれた地に送り届けに、二度目は盗まれた馬を取り戻すために、三度目は生き別れた弟を探しに。
主人公は孤独な旅を逞しく続けるが、その過程であらゆるものを抗いがたい暴力によって喪失していく。
壮大で厳格な喪失の物語である。
文庫本で600ページを超える大作だが、最初の1、2ページを読んだところで、あまりの読みにくさに挫折しそうになった。
独特な言葉遣いと長いセンテンス、詩的な情景描写、短い言葉を交わすだけのダイアログ、場面の切り替わりのわかりづらさ。
心理描写は極力排除され、ただひたすら事物だけが描かれていく。
特に、主人公が放浪の過程で出会う人物によって語られる挿話が長くて哲学的・宗教的で難解で、心が折れそうになるが、そこを乗り越えたときに頭で理解するのとは異なる、深淵な何かが確かに生じるのだ。
主人公の旅に付き合うことで、時間感覚や地理感覚が拡張されていく感じ。
先般(2023年6月)亡くなったコーマック・マッカーシーの「国境三部作」の2作目とされる。
1作目の『すべての美しい馬』より先に読んでしまった。
三部作すべてを読んでみたい気はするが、相当なスタミナが要求されそうだな…
#ブクログ
一度目は捉えた雌狼を生まれた地に送り届けに、二度目は盗まれた馬を取り戻すために、三度目は生き別れた弟を探しに。
主人公は孤独な旅を逞しく続けるが、その過程であらゆるものを抗いがたい暴力によって喪失していく。
壮大で厳格な喪失の物語である。
文庫本で600ページを超える大作だが、最初の1、2ページを読んだところで、あまりの読みにくさに挫折しそうになった。
独特な言葉遣いと長いセンテンス、詩的な情景描写、短い言葉を交わすだけのダイアログ、場面の切り替わりのわかりづらさ。
心理描写は極力排除され、ただひたすら事物だけが描かれていく。
特に、主人公が放浪の過程で出会う人物によって語られる挿話が長くて哲学的・宗教的で難解で、心が折れそうになるが、そこを乗り越えたときに頭で理解するのとは異なる、深淵な何かが確かに生じるのだ。
主人公の旅に付き合うことで、時間感覚や地理感覚が拡張されていく感じ。
先般(2023年6月)亡くなったコーマック・マッカーシーの「国境三部作」の2作目とされる。
1作目の『すべての美しい馬』より先に読んでしまった。
三部作すべてを読んでみたい気はするが、相当なスタミナが要求されそうだな…
#ブクログ