そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

株主平等?

2007-06-28 23:56:04 | Economics
ブルドックソース買収防衛策、東京地裁が適法性認める(読売新聞) - goo ニュース

リンク先の読売の記事だと、判決要旨がよくわからないので、NIKKEI.NETの記事を以下引用すると…

鹿子木康裁判長は「買収防衛策を決議した株主総会の判断が明らかに合理性を欠くとは認められず、著しく不公正ではない」として、スティールの申し立てを却下した。
買収防衛策自体についても、スティールに割り当てられる新株予約権を買い取ることなどから、「株主としての経済的利益が平等に確保されていると一応認められる」として、株主平等の原則に照らして妥当性を認めた。スティールは同日、決定を不服として即時抗告したが、株主総会に続き、法廷闘争も苦境に立たされた形だ。
決定理由で、鹿子木裁判長は「現経営陣と買収者のどちらに経営を委ねるべきかは、双方の提案などを踏まえながら最終的に株主が判断する」と判示。「特定の買収者による経営支配権の取得が企業価値を損なう恐れがあり、対抗手段が必要との判断は、総会に委ねられるべきだ」とした。

判決は、株主平等の原則に照らして妥当性を認めたとのことだけど、いくら同等の経済的見返りがあるとはいえ、一部株主に新株予約権の取得を認めないというのを「平等」と言うのは、やや無理があるんじゃないかという感じがします。
それよりも、「スティールの買収が企業価値を減じる」との三分の二を超える株主の「圧倒的な意思」が、平等の原則よりも優先する、というロジックの方が素人目には納得感があるんだけど。

それにしてもブルドックに限らず、各社の株主総会においてM&A絡みにしても増配要求にしても、米系ファンド(米系に限らないけど)は連戦連敗のようで。
ここまで負け続けだと、今後、アメリカ政府からのガイアツとかかかってくるんじゃないかという気もするけど。
ファンドってそこまで政治力ないのかな。
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格闘の保障

2007-06-28 23:10:07 | Sports
死因は多発外傷ショックか 時津風部屋の17歳力士死亡(共同通信) - goo ニュース

17歳とは…痛ましい。
いじめと紙一重の厳しい稽古を経てこそ強くなれる世界だからなぁ。

プロレスラーだと、試合中や練習中の事故で死亡するケースを時々聞くけど、力士では意外と珍しいような。

ところでふと思ったのだけれど、こういう職業の人たちって生命保険に加入できるのだろうか?
リスクプレミアムを乗せた保険商品とかあるのかな。
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不祥事のエンターテイメント化

2007-06-26 23:31:33 | Society
社保庁長官、職員1万7千人に賞与の一部自主返納求める(朝日新聞) - goo ニュース

首相も、厚相も、正副官房長官も、社保庁長官も職員も、みんなしてボーナス返納だそうな。
この国は、どうしてこうも非論理的なんだろう。
「けじめ」だと言うけど、単に「憎悪」に対する「懐柔」でしかないんじゃないか。

人に劣らず自分も、社会保険庁というこの出鱈目な組織に対する呆れた思いと怒りはもちろん持っていますが、別に彼らにボーナス返上してもらいたいとも思わないし、返上したからって嬉しくもなんともない。
そんなことに労力をかけている暇があったら、どうしたら年金記録を修復できるのか(個人的にはムリじゃないかとは思っているけど)、どうしたら2度とこんなことが起きないような歯止めをかけることができるのか、そしてこの破綻が目に見えている社会保険制度をどのように立て直すのか、そういうことに全力をあげて知恵を絞ってほしい。
それが論理的で建設的な態度ってもんじゃないのか。

世間も世間で、あいつらは悪人(加害者)、自分たちは善人(被害者)と線引きして、悪人を吊し上げ、サンクションを受ける様に喝采を与えるような風潮は、けっきょく問題の本質から目を逸らしていることに他ならないことにそろそろ気付くべきではないか、と思います。
社保庁に限らず、最近の相次ぐ企業不祥事の報道を見ていると、なんだかすべてがエンターテイメント化しているような気がするので。
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火山列島に暮らしているということ

2007-06-23 00:30:51 | Diary
昨日は業後に渋谷の映画館に「大日本人」を観に行きました。
井の頭線の神泉駅から歩いたので、爆発事故を起こした温泉施設「シエスパ」の前を通ることに。
爆発の起きた従業員施設は路地を一本入ったところにある(非常線が張られているので姿をはっきりと見ることはできない)けど、シエスパ自体は東急本店から山手通りに続く、比較的人通りも多い道路に面しているので、仮に汲み上げ装置がこちらにあって事故もこちらで起きたとしたら、大変な惨事になっていただろうな、と。

今回図らずも広く知られるようになったけど、関東平野は広大な天然ガス田の上に広がっているとのこと。
あれだけの爆発を起こすだけのエネルギーを、うまく利用することはできないのかなと素人ながら思う一方、改めて日本という国は、火山列島の上に1億人を越す人間が暮らしているという、世にもオソロシイ環境にあるのだな、と思い知らされます。
今回の事故についても、マスコミは例によって悪者探しと吊し上げに躍起になっているように見え(本当にお気の毒なことに犠牲者も出ているわけだし、原因究明と再発防止が重要なことは当然だけど)、多少なりともリスクを垂れ流す行為(人災)に対する世論の憎悪はたいへん激しいものがあるように思えるのですが、そもそもこの国に暮らしていること自体、たいへんな自然災害リスク(地震、噴火、など)を抱えることが宿命的であるということについてはもうちょっと自覚的であった方がいいんじゃないかと思います。
(先日読んだ養老孟司対談集での石黒耀との対談でもそんなことが語られていました。)
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風吹ジュンは凄い

2007-06-21 23:11:33 | Entertainment
今クールは、自分には珍しく毎週欠かさずに観ているドラマが。
「わたしたちの教科書」。
久しぶりに見応えのあるテレビドラマに出会いました。

演出と、役者陣の演技が実に素晴らしい。
特に、感心させられるのが風吹ジュン。
謎めいた雰囲気を漂わせつつ、岩のような頑なさと表面的な柔らかさを表現するという難役を見事にこなしています。

それと谷原章介。
この人も巧いねえ。
いいアクセントになってます。

菅野美穂も表情とか立ち居振る舞いは良いんだけど、発声が良くないのが惜しいなあ。
ちびノリダー(伊藤敦史)は、1種類の演技しかできないけど、このドラマではうまく使われてる。

他の先生役も、地味だけど味のある役者さん使ってるし、子役もみんな巧い。
視聴率はいまいちみたいだけど、そんなのどうでもいい。
ちゃんと作ってるなあ、と。
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「ニッポンを解剖する―養老孟司対談集」

2007-06-18 23:44:22 | Books
ニッポンを解剖する―養老孟司対談集
養老 孟司
講談社

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養老孟司と14名の識者との対談集。
14名の顔ぶれは、上記リンク先(Amazon.co.jp)ご参照。
自分は、先日読んだ「会社はだれのものか」の岩井克人との対談が目当てで読んでみました。

「養老孟司対談集」なので14編すべてに養老孟司が登場します(←あたりまえ)。
で、14編すべてを通して養老孟司が言ってることは同じ。
しかも、「バカの壁」で言ってることともいっしょ(日本人は戦後60年でおかしくなった。都市化がすべての元凶だ。もっと身体を使わなきゃならん。云々)なので、読み進めていくうちに正直ちょっと鬱陶しくなってきます。

それでも、興趣がそがれないのはやはり対談相手に魅力があるから。
そしてその魅力が立ち現れているということは、養老さんがそれをうまく引き出しているという面もあるんでしょう。

冒頭のリービ英雄との対談なんて、自分にはほとんどちんぷんかんぷんだったけど、それでもリービ英雄というちょっと得体の知れない人物には関心を喚起されました。
次はこの人の本を読んでみよう、という気に。

「私はずっと好きなことして生きてきた」と言ってるだけの細川護煕とかはどうでもいいけど、ギリシャ語の聖書を故郷の方言に翻訳してしまった山浦玄嗣というおじさんや、火山オタクが昂じて震災小説を書くようになった石黒耀や、養老邸を設計した建築家・藤森照信による日本人の住宅論なんかは、ちょっとぶっ飛んでてなかなか面白かったです。
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うんざり

2007-06-13 23:08:18 | Entertainment
最近、テレビのニュース番組・情報番組を見る気になりません。
社会保険庁、コムスン、そして今度はNOVA。
テレビでは謝罪会見やら、怒りや困惑に満ちた「街の声」を拾うインタビューやら、そんなのばっかり流してるんだろうな、と考えるだけでうんざりしてきて、まったく見る気が起らんのです。
ネットニュースや新聞で事実関係だけ追えばいいや、と。

一方で、スポーツニュースはといえば、「ハンカチ」やら「ハニカミ」やらの話題ばかりで。
彼らがたいへん魅力のある青少年アスリートであることにはまったく異論はないけど、本当にみんなそんなに見たいんだろうか?

世界は失笑…テレ朝がウッズに「ハニカミ知ってる?」(産経新聞-Yahoo!ニュース)

↑この件についても、こういう質問をすること事態もそうだけど、失笑されたことを次のニュースのネタにしようとしているのがミエミエな、恥知らずを際限なく再生産していく姿勢が虫唾が走るほど大嫌い。
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「会社はだれのものか」 岩井克人

2007-06-13 22:45:38 | Books
会社はだれのものか
岩井 克人
平凡社

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世に名高い岩井克人の著作を初めて読みました。
著者は、2003年「会社はこれからどうなるのか」を発刊後、実際に多くの企業人との意見交換を行なったとのことで、そういった意見交換を繰り返す中で整理が進んだ点を盛り込んだ新論文(実際には編集者によるインタビューの聞き書きみたいだけど)を前半に、意見交換の実例として小林陽太郎、原丈人、糸井重里との対談を後半に収録した2部構成。

著者の会社論は実にシンプルで、全ては会社(=法人化された企業)の定義に始まります。
すなわち、法人とは「本来ヒトではないモノなのに法律上ヒトとして扱われているモノ」
法人とは、モノでありながらヒトである、という矛盾をはらんだ存在であるというとらえ方が出発点。

そこから、
・米国流の株主主権論は、会社(法人)をモノとしか捉えておらず、ヒトとしての側面を考慮に入れていない点で法理論として誤っている。
・会社(法人)は法律上ヒトとして扱われるが、自然人と異なり意思も持たないし自ら行動することもできないので、会社になりかわって意思決定し行動する自然人が必要となる。それが経営者である。従って、経営者には私的利益よりも会社の利益を優先し「倫理的に」行動する義務が本来的に存在する。
・会社は、社会にとって価値を持つからこそ、制度上ヒトとして認められているのであり、原理的に社会的責任を担っている。その責任イコール”CSR”である。
といった主張を導き出します。

このブログにも何度か書いてますが、自分は、米国流の株主中心主義、株価至上主義に違和感を憶えつつも、それに対抗するだけの感情論を超えた論理的説得力のある反論になかなかお目にかかれないことを日ごろから歯がゆく感じていたので、この明快でシンプルな主張には目を開かれる思いがしました。
あまりに明快すぎるので、ちゃんと理解できているのかどうか不安になるくらいだけど。

その一方で、著者は米国流の考え方を安易に侮蔑するのではなく、それはそれで強固な信念に基づいた、非常に強力な理論であることを認めています。
米国流に対抗していくのは、とてつもなく体力の要ることだと(糸井氏との対談にで詳しく語られます)。
このへんからも、この人、信用できるなぁという気にさせられます。

で、著者は米国流の株主主権論には批判的な立場なわけだけど、その一方で資本主義の質的変化という観点から、従来型の日本的経営の限界も指摘します。
すなわち、いわゆる「産業資本主義」の時代には、資本さえあれば大きな利益を上げることができた。それは農村に人がたくさん余っていたために、安い賃金で人を雇うことができたからであり、日本の高度成長期を支えた構造はそうしたものであった。そして、終身雇用、年功賃金、会社内労組といった日本的制度はそうした産業資本主義の時代に非常にマッチしたものであった、と。
ところが、都市が農村の過剰人口を吸収しきって、労働者の賃金が上がってしまった「ポスト産業資本主義」の時代には、そうはいかない。資本を投下させすれば自動的に利益が上げられる時代は去り、いかに他者との「違い」を生み出して差別化できるかどうかが利益を生むかどうかの境目となる。そうしたポスト産業資本主義社会に、日本的会社経営がうまく順応できていないのではないか、と指摘しています。

自分も日本の会社に勤めるサラリーマンの端くれなので、このへんはよくわかります。
仕事で付き合いのある会社の人たちを見ても、大きな会社になればなるほど自縄自縛に陥って新しいことがしづらそうなんだよね。
コメント (2)
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焦ったところで…

2007-06-11 22:29:51 | Society
年金相談窓口に連日の行列…「年金手帳持参して」と担当者(読売新聞) - goo ニュース

「消えた」年金問題が、いつの間にか「宙に浮いた」に呼び名が変わったようで。

年金相談窓口がたいへんなことになっているようだけど、そんなに先を争って確認したところで納付記録が有るか無いか、結果は変わらないわけで、納めた証拠が残ってなけりゃリカバリが難しいのは同じことだと思うんだけど、まあそのへんは「気持ちの問題」ってことでしょうか。
早く確認しないと消えちゃう!みたいな気になるんだろうね。

こういうのを見てると、空港の搭乗ゲートの行列を連想します。
ゲートが開く前から並んでる人がたくさんいるけど、チェックインは済んでるんだから置いていかれることもないし、早く搭乗したからって良い席に座れるわけでもない。
欧米の空港だと、並んでるの日本人ばっかりなんだよね・・・
国民性なんだろうか、最善を尽くさないと運気が逃げるような気がするんでしょうかね。
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老兵健在

2007-06-10 23:28:44 | Sports
クレメンス初先発、初勝利=ヤンキース(時事通信) - goo ニュース

スポーツニュースで投球を少し見ましたが、相変わらず凄い球を投げているようでした。
44歳という年齢はともかく、毎年シーズン開幕後まで現役続行なのか引退なのか態度をはっきりさせないにも関わらず、復帰すればあっさりこのようなピッチングができてしまうのだから、春先からトレーニングして厳しい生存競争を戦っている他のピッチャーはイヤになってしまわないのだろうか。

さて、生存競争を勝ち上がったといえば、

夢かなった!桑田 メジャー電撃昇格(スポーツニッポン) - goo ニュース

個人的には桑田のようなタイプは(ピッチャーとしても、人間としても)あんまり好きじゃなくって、メジャー挑戦についてもどっちかというと冷やかに見ていたんだけど、このニュースは素直に喜び、賞賛したいと思います。
何より、不測の怪我にもめげることなく復帰し、マイナーの中継ぎ登板でしっかり結果を残して認められたという過程が素晴らしい。

メジャーに上がってどういうピッチングができるかはまだわからないけど、日本で過去2年間1勝しかできなかったピッチャーがそれなりに活躍できるとしたら、どう考えればよいのだろう。
ベイスターズでキャリアがほとんど終わりかけていた斎藤隆も今やドジャースの押しも押されぬリリーフエースだし、日本のピッチャーのレベルの高さを示していると考えればよいのか、それともモチベーションの違いなんでしょうか。
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