そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

『犯罪』 フェルディナント・フォン・シーラッハ

2013-01-15 23:37:13 | Books
犯罪
フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社


著者は弁護士にして作家。
デビュー作である本作がドイツで大ベストセラーになったとのこと。

一風変わった「犯罪」の関係者から依頼を受けた弁護士の視点による、11篇の短編集。

個人的に印象に残ったのは、長年連れ添った妻を衝動的に殺めた老夫を描いた『フェーナー氏』、コソ泥たちが制裁の恐怖に巻き込まれそうになる『タナタ氏の茶盌』、正統派ミステリの『サマータイム』、なんだかスカッとする『正当防衛』、主人公の大河で数奇な人生に感動を呼び起こされる『ナイジェリアの男』…

けっこう凄惨な描写も多いけど、どこか喜劇的なおかしみがあるというか。
罪を憎んで人を憎まず、というよりも、罪を憎んですらいない。
罪は罰すべきものであることを肯定しながら、罰することと憎しみの感情はまた別ものなのである。
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総子化の時代

2013-01-04 22:47:17 | Society

本日の日経朝刊コラム「春秋」より。
(ネット版はこちら) 

▼日本の「子供」は増えているか、減っているか。小さい子は減少の一途をたどる。しかし親と生きる人、と解釈するなら話は別だ。いま親が存命中の人は、大人から赤ん坊まで約8700万人。総人口の7割だという。試算をまとめた博報堂生活総合研究所は、少子高齢化とは見方を変えれば「総子化」だと位置づける。

▼「子供」の平均年齢は終戦直後こそ10代だったが現在33歳。20年後は40歳近い。存在感を増す大人の親子。一緒に旅を楽しんだり、起業したり。転職、子育てと、力を合わせて何かに挑戦したり、人生の困難を乗り切ったりという例が増えているそうだ。高齢化を嘆くより、家族の力を生かす。前向きな発想で生きたい。

総人口の7割が「子」である時代…

確かに自分自身、両親健在、さらに祖母も一人健在であり、ヨメさん方も同様。
年齢的には立派なおっさんであり、独立した生計を営んでいるとはいえ、どこかまだ精神的に「庇護下」にあるような気分が抜けないのは正直なところ。 
親の世代のほうが総じて裕福だし、なんだかまだまだ意気軒昂だし…

コラムにあるように「力を合わせて」 と前向きに捉えるのもよいけど、本当は親の世代を凌駕するくらいの勢いを我々の世代がもっと持たなきゃならんのだろうなぁ…

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『金の仔牛』 佐藤亜紀

2013-01-03 16:05:37 | Books
金の仔牛
佐藤 亜紀
講談社

世界史上の三大バブルの一つに挙げられるミシシッピ会社事件(参照:wiki)の時代、18世紀初頭のパリを舞台にした歴史小説。

単純に、金融市場や投資術の成り立ちを知ることができるという意味で興味深い。
投資については完全な素人である自分には完全には理解できないまでも、証券化やデリバティブによるリスクヘッジ手法や、空売りによるの初歩的な考え方というかその萌芽を感じることができます。
或いは、それまで金や銀などの貴金属が通貨の役割を果たしていたものが、兌換紙幣となり、不換紙幣となり、やがて通貨が単なる数字の「記録」となっていく、その展望も含めた過程を俯瞰することも。

で、そこに投資家紳士や追剥ぎの親方、故買屋、残虐貴族などの怪しげなキャラクタが乱立し、猥雑で絢爛な大混乱の時代を主人公のカップルが軽やかに駆け抜けていく痛快さ。
描かれているのはほんの一年程の期間、バブルが最大限に膨らみ弾けるスピード感と刹那感がなかなか佳い余韻を残してくれます。

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Year of Snake

2013-01-01 20:47:11 | Diary
新年あけましておめでとうございます。

今年は久々に正月出勤しなければならないため、妻子をヨメさんの実家に残して帰京、おそらく生まれて初めて、一人で元旦の朝を迎えました。

さて、巳年ですね。
自分にとっては生まれてから四度目の巳年を迎えることになりますが、過去に遡って巳年を振り返ると、

2001年 9.11アメリカ同時多発テロ事件

1989年 昭和天皇崩御

1977年 ダッカ日航機ハイジャック事件

と、結構大きな出来事や事件が起こっているんですね。
2013年は穏やかな一年になってくれるといいんですが。

個人的には、昨年不惑を迎えて体力も思考も中年化していることをひしひしと感じており、引き続きプライベートも仕事もあまり「頑張る」ことをせずに「楽しみながら勝負する」ことをテーマに生きていきたいと考えております。

本ブログも足掛け9年目を迎えましたが、細々と続けていければと。
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