9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために | |
伊藤 穣一、ジェフ・ハウ | |
早川書房 |
Kindle版にて読了。
MITメディアラボ所長の伊藤穣一氏とWIRED編集者ジェフ・ハウ氏の共著。
旧来の社会の常識やビジネスの定石が通用しなくなる、激変する世の中の新しいプリンシプルが9つのお題で語られる。
9つのプリンシプル(原理)とは…
1 権威より創発
2 プッシュよりプル
3 地図よりコンパス
4 安全よりリスク
5 従うより不服従
6 理論より実践
7 能力より多様性
8 強さより回復力
9 モノよりシステム
9章に分かれてはいるが、必ずしもMECEにはなっておらず、それぞれが重なり合って異なる角度から語られているように感じる。
1から4がより根源的な原理で、5から9はその原理に従うための心得、という感覚で受け止めた。
ところで、この本、日本語訳が酷い。
山形浩生氏の翻訳した本は過去にも読んだことがあるのだが、意図的なのか、どうしちゃったのだろうというくらい読みづらい。
その一方で「訳者あとがき」がとてもよくまとまっている。
9つのプリンシプルを以下の通り、端的に言い換えてくれているのだ。
・自然発生的な動きを大事にしよう
・自主性と柔軟性に任せてみよう
・先のことはわからないから、おおざっぱな方向性で動こう
・ルールは変わるものだから、過度にしばられないようにしよう
・むしろ敢えてルールから外れてみることも重要
・あれこれ考えるより、まずやってみよう
・ピンポイントで総力戦やっても外れるから、取り組みもメンバーも多様性を持たせよう
・ガチガチに防御をかためるより回復力を重視しよう
・単純な製品よりはもっと広い社会的な影響を考えよう
個人的に最も印象的だったのは「4 安全よりリスク」に登場する、中国の深センにおけるビジネス環境のダイナミズム。
日本に比べると異次元のスピードで進んでいることがよく伝わる。