近年、水害が起きるたび、ダムとスーパー堤防が必要だと叫ぶ声が高まる。実態をよく知らないまま、ダムとスーパー堤防に過剰に期待している「国土強靭化」論者の方々にこそ、この本を読んでいただきたい。著者は「究極の治水の形は400年前にある」として、戦国時代から江戸時代に発達した治水技術を再評価する。すなわち、相対的に被害の少ない場所を決めて、洪水を越流氾濫させ、流域全体の被害を分散、軽減するというシステムだ。越流してきた水は水害防備林で受け止め、被害を軽減すると共に、越流した水をゆっくりと川に戻していく。伝統的な知恵を取り戻し、それを発展させることにこそ、未来の治水の形があるのだ。 . . . 本文を読む