薩長公英陰謀論者さんが、ガメ・オベール氏のツイッターとブログの記事を紹介しながら以下のようなコメントを寄せられました。「左」と「右」とを問わず「天然全体主義」の文化を持つ日本(長州政権以来の伝統?)において、「止揚的知性」は何よりも必要とされているのだ、と。以下の投稿内容に心より共感いたします。
実際、ネット空間を見ても、右と左を問わず、新古典派とケインズ派とマルクス派を問わず、糾弾的知性だ . . . 本文を読む
どうやら安倍首相は「悪いのはぜーんぶブロック経済なんだもん。日本は悪くないんだもん」とでも言いたいようなのである。何と幼稚な理屈だろう。その上で「ブロック化なんかせず、開かれた自由貿易体制を推進すれば、世界は繁栄し平和になる」というノーテンキな結論を導きだすわけである。戦後70年談話にかこつけてTPP推進まで正当化しようというわけだ。やれやれ。TPPは、加盟国の内部と外部で関税率に差をつけるという、最悪の形態の差別主義的なブロック経済に他ならない。まさに戦争の原因にしかならない愚行である。安倍首相が、戦争の過去の教訓から「自由で、公正で、開かれた国際経済体制」で世界平和を推進するというのであれば、いますぐTPP交渉から離脱せねばならない。 . . . 本文を読む
昨晩発表された安倍首相の戦後70年談話。その歴史解釈のウンチクの部分が、まさに「公式長州史観」に彩られたものだった。安倍公式長州史観の誤謬を指摘してみたい。他の箇所も指摘したい部分は多いのですが、とりあえず、何点か指摘しておきます。水色字が安倍70年談話からの引用。白地は、安倍首相が本当に不戦を誓うのであれば、本来口にすべきと思われる談話です。
× 植民地支配の波は、19世紀、アジアにも押し . . . 本文を読む
平山優著『天正壬午の乱(増補改訂版)』(戎光祥出版、2015年)を読んでみた。これは名著である。膨大な史料を渉猟し、これまでその詳細が明らかでなかった「天正壬午の乱」の全容をはじめて描き出した。その躍動的な筆致は、専門的な歴史書であるにもかからわず、下手な小説よりもはるかに面白い。この平山氏が時代考証を担当するということは大河ドラマもすごく期待できる。
旧武田遺領をめぐって北条・徳川・上杉の三戦国大名と真田昌幸・依田信蕃・小笠原貞慶・保科正直・木曽義昌などなど信濃の国衆が虚虚実実の駆け引きを繰り広上杉・徳川・北条の複雑な三カ国抗争という点では、天正壬午の乱は中国の三国志にも比肩されるが、真田・依田・小笠原・保科以下、信濃の国衆が三大国を翻弄し、国衆が各々勢力を維持・拡大している点など、三国志よりも面白い歴史ドラマとすらいえる。アメリカ、中国、ロシアという大国のはざまにいる日本が進むべき途を考える上でも、天正壬午の乱における信濃国衆の戦略を学ぶ意義は大きい。 . . . 本文を読む
ガメ・オベール氏「日本社会は20年の停滞と、覆えなくなった衰退の苦しみを通じて、おおきく変わりつつある。遠くから見ていて、最も顕著な変化はいままでの攻撃的糾弾的な口調が疎まれだして、古く感じられて、『議論をしたい』『自分の意見を聞いてもらいたい』という自由社会ができあがっていくには絶対に必須の姿勢が若い世代を中心に生まれてきたことだとおもう。これだけたくさんの、急進的右翼、体制側、反体制側、リベラル・・・あらゆる階層の「ガミガミおっちゃん」「皮肉屋おじさん」「軍人口調の軍師気取りおやじ」たちに囲まれながら、まっすぐに自分が保持している自由の主張に向かった若いひとびとの魂は、他国、とりわけアジアの若い世代のなかにおおきな共感を呼んでいる。民主制が壊れてしまうのが先か、かろうじて踏みとどまって、民主制という容れものが戦後70年間、『国民的情緒』として湛(たた)えてきた澱んだ全体主義に、自由主義の新しい、冷たく透明な水がいれかわっていくか、時間との競争で、はらはらするような気持ちで見ています」 . . . 本文を読む
大河ドラマ「真田丸」の主要登場人物の顔ぶれをみると、脚本の三谷幸喜さん、戦国の村々で文字通り「一所懸命」に生きていた地侍層など民衆の姿を躍動的に描き出そうとしているのだということが伺われる。
ちなみに、真田昌幸は、豊臣政権下でも検地を実施せず、兵農分離も行わず、元来からの地侍の土地所有権はそのまま、石高制も採用せず貫高制のままであった。以前の研究では、在地掌握ができていない真田領の「後進性の現れ」と指摘されることも多かった。私は、真田昌幸は「人民平等」の意識をもって意図的にそうしていたのだと思う。だから二度の対徳川戦では百姓・商人・職人も含めた全領民が籠城戦に参加ないし協力するという体制が可能だったのだ。そんな戦国の人々の郷土愛と人間愛を描くのが、ドラマの意図なのではないだろうか。 . . . 本文を読む
国家の干渉や、国境障壁を可能な限り緩め、国家に束縛されない企業による自由で公正な競争を促進することがTPPの一応のタテマエであるはずだ。であるならば、国家が先頭に立って、他所の国の企業の盗聴までしている「大きな政府」の国になど、「公正な競争」を語る資格はないし、そのような国がTPPに参加すること自体、許されてよいはずはない。アメリカが盗聴をするのであれば、日本はただちにTPP交渉から離脱すべきである。 . . . 本文を読む
りくにすさんと岸信介元首相の「サイレントマジョリティ論」と、先月にお亡くなりになった鶴見俊輔さんの「ファシズムに対抗できるのは欲望むき出し個人」という議論との関係について、以下のような対話がありました。鶴見俊輔さんの追悼をかねて紹介させていただきます。水色字がりくにすさんのコメントです。
>岸首相が「サイレント・マジョリティ」論を展開して甲子園球場で野球を観戦したり、銀座でショッピングしたりし . . . 本文を読む
過日、薩長公英陰謀論者さんがハーバード・ノーマンの『日本における近代国家の成立』(邦訳、岩波文庫)を検討の上、追加の投稿をいただきました。紹介いたします。
ノーマンの歴史観は、日本の左右の長州史観(講座派史観と長州=靖国史観)の明治維新賛美論と親和的なようにも見えるが、「人民民衆の生活への身の丈目線での共感」という点で、長州史観とは根本的に異なるのではないかという論点です。
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薩長公英陰謀論者さんから以下の投稿をいただきました。そのまま再掲させていただきます。日本を影で操る米国ネオコンの過激派セクトCSISと安保法制の関係についてです。薩長公英陰謀論者さんは「彼らは彼らなりに追い詰められての焦慮に駆られており、それゆえに見境なく凶暴になっている」と分析されています。同感です。
「立憲主義」や「法の支配」というのは、アメリカにおいては何にもまして優先される、「 . . . 本文を読む