以下の三点を論じたいと思います。第一に河川工学における「飽和雨量」の定義のおかしさ。第二に貯留関数法という流出解析モデルがいかに自然の現実から乖離しているか。第三になぜ貯留関数法で洪水流量の計算値を過大に算出することが可能になるのか。
「何やら難しそうだ」と思って敬遠しないで下さい。貯留関数法というモデルの欠陥を恣意的に利用することにより、国交省は国民を騙し、八ツ場ダム建設を決めました。総額4600億円の事業です。全く必要のない事業のために、赤ん坊からお年寄りまで、国民一人当たり4600円の支出を強いたのです。国交省は、審議会で偽証をし、疑問を呈した委員を騙し、4600億円もの血税を詐取したのです。国民一人一人が、こうしたトリックに騙されぬよう十分な懐疑精神を持たねばなりません。でなければ、彼らはそれに付け込んで、さらに私たちを騙そうとするでしょう。 . . . 本文を読む
<前回の記事の続きです>
10月12日の馬淵大臣の国会答弁で得られた数値の重要性はもう一点あります。
S33年とS34年では森林保水力はほぼ変わらないにも関わらず、33年が飽和雨量31.77で34年が65と2倍にもなっていることです。これはすごく重要な問題です。
以前の記事(この記事)で、私は、「国交省の誤謬は二つある」と論じました。一つは、これまで論じてきたように森林の生長による保水力の . . . 本文を読む
私どもの計算結果は「森林が荒れていた時期は飽和雨量は48㎜でも、森林が生長した今日では100㎜以上にしないと当てはまらない」というものでした。国交省は、「48㎜で計算して22000立米。これは近年の森林状況でも妥当である」と主張してきました。
本日の衆議院予算委員会で国交省は、戦後から時間が経つ後年ほど、飽和雨量が増大している事実を認めました。同省はいまだ、飽和雨量の増大が森林の生長によるものだという因果関係までは認めていませんが、ここまでくればそれを認めざるを得なくなるでしょう。
半ばまで、私どもの主張の正さを認めてしまったことになります。こうなれば「48mmモデルで計算して22000立米」という主張も続けられなくなります。少なくとも飽和雨量は125㎜以上で再計算して、基本高水を改訂せねばならないことになるからです . . . 本文を読む
前回の記事で、八ツ場ダム建設の根拠となる基本高水計算に関して、前原誠司前国交大臣が「開示すべき」と語ったデータを、官僚が反対して非公開のまま開き直っているという事実を書きました。
10月2日の「東京新聞」の特報面によれば、馬淵澄夫国交省は、前原発言を撤回し、一転して「情報非公開」を決めたとのことです。
東京新聞は、前原発言と馬淵発言を次のように比較しています。
***「東京新聞」10 . . . 本文を読む
5回に渡って、国交省が、治水面の八ツ場ダム建設の根拠である利根川の基本高水を過大な値にするため、資料を捏造していたという問題の解説記事を書きました。私の周囲からは、「まだ難しい。分かりにくい」といった指摘を受けました。そこで「解説の解説」を書きます。
まさの様、Kimera様、松田様、ブログなどで紹介して下さってありがとうございました。松田さんが紹介しておられた十勝川の基本高水は、利根川に輪 . . . 本文を読む