先週の金曜日と日曜日の二回にわたって放送されたNHKスペシャルの「世界同時食糧危機」、すばらしい内容でした。何が良かったって、中米のエルサルバドルを事例に、自由貿易が飢餓の原因となったことを取材を通して論証していたことでした。その図式は以下の通りです。
エルサルバドルはアメリカに要求されてトウモロコシ輸入を自由化 → 米国からの輸入トウモロコシに市場を席捲される → 農家は困窮し離農 → 国 . . . 本文を読む
丸山氏は、この「正のフィードバック効果」に対して、次のように反論します。
「大気中の二酸化炭素濃度が増えれば、たしかにある程度気温は上がります。しかしその一方で、植物や珊瑚など、それを吸収する生物は喜んで活発に活動するため二酸化炭素を吸収し、大気中の二酸化炭素を小さくする方向に働くのです」(丸山、前掲書、34ページ)
私はこれを読んだときに思わず、「え゛ェー!」と叫んでしまいました。何の数字もデータもなく、こんなことを断言するのは、およそ科学者の取るべき態度ではありません。しかも決定的に間違っているのです。 . . . 本文を読む
日本のマスコミときたら、「米国の旺盛な個人消費が世界経済のエンジン」「日本は輸出立国。対米輸出こそが景気回復のかなめ」「自由貿易体制をさらに発展させよう」「米国の共和党は自由貿易主義だからよいけど、民主党は保護主義だからダメ」・・・、まあざっとこんなイデオロギーをまき散らしてきました。「自由貿易は日本の生命線」と叫ぶさまは、「満蒙は日本の生命線」とわめき散らしていた1930年代の日本のマスコミをほうふつさせるものでした。
現実には、「自由貿易による米国の経常収支の不均衡」こそが、今日の世界恐慌を引き起こした根源的理由です。貿易不均衡の累積が、遅かれ早かれ世界的クラッシュをもたらすことなど、分かる人はみな分かっていたのです。 . . . 本文を読む
収穫逓増の貿易理論は国際収支が均衡しない理由を説明するし、政府介入を正当化する。クルーグマンの理論は、そもそもは伝統的な新古典派の「比較優位論」を否定する、複雑系の貿易理論の端緒となる反自由貿易論だった。新古典派的な比較優位論を打ち崩す内容のものなのだ。
ところが、クルーグマン本人は、いったんは収穫逓増理論で新古典派の比較優位論を崩し、複雑系の理論に足を踏み入れ始めたかに見えたが、その後、保守化した。1990年代の半ばごろから、収穫逓増の研究を打ち止め、「比較優位論はたいへん美しい理論であり、ただ経済学者だけが理解できるようである」などと述べたりするなど、態度を豹変させたのである。 . . . 本文を読む
日本がやるべきこと。海外からの資源・エネルギー・食糧の輸入を最小化しようという国家戦略を立案することだ。当面、エコロジカル・ニューディール政策の実施により、食料自給率70%、エネルギー自給率70%ぐらいを目指すべきであろう。それによる内需拡大と国内の雇用創出は、失った外需を補って余りある。外需指向は、低賃金化と労働者の使い捨てをひたすら強要するが、内需志向は賃金の上昇と余暇の増大、そして国内の安定と調和をもたらす。貿易は、お互いの国が助け合うために行うべきなのであって、お互いの国民を潰し合うために実施するものではない。日本とアメリカ、アメリカと中国がやっていることはお互いの潰し合いなのだ。 . . . 本文を読む
マネタリストは、政府の財政出動が民間投資を冷え込ませる「クラウディング・アウト」を引き起こすなどと主張しますが、全くのウソ八百です。そんなもの、公共投資のやり方次第です。つまり質次第。
新エネルギー分野への公共投資は、その分野への民間投資を増加させる「クラウディング・イン」の効果しか持ちません。政府の公共投資・公共事業を起爆剤にしながら、あとに続く民間投資の波を作り出せばよいのです。公共投資と民間投資にはそれぞれ長所短所があるので、お互いに補い合うべきなのです。
それでも利権まみれの官僚は信用できないという人々が多いと思います。それへの対処法としては、やっぱり官僚の手からプロジェクトの立案権を剥奪することでしょう。 . . . 本文を読む