従来の定説では、井伊を大老にする工作を影で行っていたのは松平忠固であると言われています。「忠固陰謀論」です(苦笑)。これは当時の一橋派がそう考えて、広めた噂話であり、証拠は全くありません。今も昔も、陰謀論が広がるのは、集団的な被害妄想からかも知れません。私の近著『日本を開国させた男、松平忠固』(作品社)では、井伊を大老にしたのが忠固であるという「定説」が、全くの根拠のない虚構であることを明らかにしています。 . . . 本文を読む
ドラマの中の藤田東湖は、過激な主君の斉昭を諫める常識的なストッパーという役柄でした。ドラマの中の東湖は「異国人といえど国には親やと友がありましょう」と言って斉昭を諫めました。結論から言えば、藤田東湖が、ロシア人の家族や友人を心配するような人道的な主張をすることはあり得ません。その前年のペリー来航の際には、薩摩藩士の有村俊斎に向かって、「私が当局者であったら、交渉と見せかけてペリーに接近し、隙をついてペリーの首を刎ね、私も当日のうちに死ぬ。しかし私の正気は残り、後に続く者が国を守るだろう」というように語っています。斉昭も斉昭なら東湖も東湖という、じつに似た者同士の主従です。超過激攘夷論者の東湖の口から、ドラマの中でのような発言が出るということはあり得ません。 . . . 本文を読む
本日(2021年3月7日)の大河ドラマ「青天を衝け」、あっというまに日米和親条約が結ばれてしまいました。本日も私の研究してる松平忠固との関係で、本当のところを補足しています。本日は松平忠固が登場するかなと思っていたのですが、登場せずでした。残念。
本日のストーリーでは、何か日米和親条約で開国になったかのようなニュアンスでした。和親条約は従来の長崎に加えて新たに下田、箱館を開いて外国船の寄港を . . . 本文を読む