代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

米国はなぜ「悪魔」が支配する国になってしまったのか?

2006年09月30日 | 政治経済(国際)
 すぐれた才能をもち、するどい社会正義の感覚をもっていた経済学の学生の多くがヴェトナム反戦運動に関わって、姿を消してしまったのですが、かれらが残っていたら、アメリカの経済学はまったく違ったものになっていたにちがいありません。それよりも心残りなのは、これらの人間的魅力にあふれた多くの学生たちが、ヴェトナム戦争の奔流に巻き込まれて、悲惨な人生をおくり、なかには、若くして、この世を去ってしまった人も少なくないということです。私はその責任の一端を負いながら、かれらの苦難を救うために、何もすることができなかったことに対して、つよい心の呵責を感じざるを得ません。 宇沢弘文『日本の教育を考える』(岩波新書、1998年、129-130頁)より。 . . . 本文を読む

実利と脅迫と友情と(米国とキューバ)

2006年09月27日 | 政治経済(国際)
 >「非同盟国=非アメリカ」と考えるのは短絡的です.    そのお考えこそ短絡的です。世界は臨界状態に近づいています。米国はあまりにも多くの南の人々を殺しすぎましたし、南の人々の生活を破壊しすぎました。パキスタンのような従米国家がもはや米国に見切りをつけつつあるのを見ても、もはや彼らは耐えられないのです。あとは雪崩を待つだけです。米国が、脅迫による外交路線から、親愛と道義に基づいた外交へと修正しない限り・・・・。 . . . 本文を読む

キューバのソフトパワー

2006年09月25日 | 政治経済(国際)
 前のエントリーの続きです。今月開かれた非同盟運動首脳会議の成果はいくつもありますが、インドのシン首相とパキスタンのムシャラフ大統領がキューバの仲介で会談し、和平プロセス再開の合意に達したなんていうのは画期的なことだと思います。この記事。日本のマスコミはなぜかほとんど報道していませんでしたが・・・。もし、この和平プロセスを仲介したのが米国であったら、一面トップの扱いだったことでしょう。しかし現実は . . . 本文を読む

チャベスの国連総会演説

2006年09月25日 | 時事問題
 今月は国際政治においてキューバ=ベネズエラ旋風が吹き荒れました。まずはキューバのハバナにおいて世界117カ国の政府代表が集まって開催された第14回の非同盟諸国会議。今後3年間、米国の宿敵・キューバが117カ国を束ねる非同盟運動の議長国になります。同会議では、名指しこそ避けたものの、「国連憲章と国際法の秩序を踏みにじる単独主義による軍事行動や経済制裁行動を非難する」声明を出しました(非同盟運動の公 . . . 本文を読む

タイのクーデターのこと

2006年09月22日 | 時事問題
 またタイで軍事クーデター。1992年の流血の「5月事件」以来だ。あのときは中国の天安門事件なみに多くの死者を出した。米国や日本のメディアは天安門事件ほどには騒がず、「アメリカの友好国の政府なら市民を殺してもいいのか」と怒りを覚えたものだったっけ。さて、私はタイ事情に詳しくないのだが、今回の件に関して、気になった情報が一つあるので書きとめておく。「バンコクの公立大が約2000人を対象に20日実施し . . . 本文を読む

サラ金地獄から脱却のための代替案 -郵貯を貯蓄銀行に-

2006年09月14日 | 政治経済(日本)
 本日の『毎日新聞』の朝刊トップの記事によれば、消費者金融大手5社は借り手全員に生命保険を賭け、借り手の死亡によって債権を回収した例は2005年の一年間でじつに3万9880件にのぼるそうです。死亡者の内、半分以上の2万855人が「死因不明」で、死因が分かっている1万9025人の方々の19.2%の死因は「自殺」なのだそうです。「死因不明」の2万件のうち、半ば強制的に強いられた自殺(=私の定義では「殺 . . . 本文を読む

歴史における個人の役割 パート2

2006年09月09日 | 歴史
 最近仕事で忙しくてブログの更新をサボっておりました。申し訳ございませんでした。とりあえず前の記事が尻切れトンボになっていますので、その続きを書きます。前の記事では「キー・パースン」の話題が出ました。バタフライ効果による「新しい構造の生成」を起こすには、コピーの複製、拡散、選択というプロセスが必要です。生物学者のリチャード・ドーキンスは、社会を構成する文化の伝達単位を「ミーム」と呼びます。  社 . . . 本文を読む